EP:2 美味しいけど大変なきな粉餅。
「なぁんでこんなに混んでるのよー!」
朝の9時、満員電車。
今日はお餅つきだからおばあちゃんの家に行く最中。
平日だから仕方ないとは思う……わけない!
9時にはがら空きになるはずだよ!?
年末恐ろしや……
乗り換え駅までぎゅうぎゅう詰めの電車の中、潰されるかと思った……
乗り換えの電車を待って、今に至る。
「あ、来たよ」
美里姉ちゃんの言う通り、ホームに電車が入ってきていた。
この電車は空いてる。
潰れずにすみそう。
電車から降りてもまだバスがある。
これは混んでない。
やっと着いた時には11時!
さすがに疲れた……早く何か食べたい。
お餅つきはうちにとって一大イベント。従兄弟に会う少ない機会だし。
「茜姉ちゃん久しぶりー!」
「麻美ちゃん!」
麻美姉ちゃんだ!
美里姉ちゃんの一歳年上。
「哲くんと百合ちゃんは?」
「二人とも上行ってる」
お餅できるまでみんな好きに過ごしてる。
雑談してる茜姉ちゃんと麻美姉ちゃんはおいといて、哲くんと遊んでこよう。
お昼過ぎ、ナンプレやりつくした。
「薫ー!哲ー!お餅食べるー?」
「食べるー!」
「食べる食べるー!」
今回はなんだろうな?
きな粉餅かぜんざいか……
きな粉餅だった。
きな粉嫌いな美里姉ちゃんは砂糖醤油。
百合は小さいからなし。
それ以外はみんなきな粉餅。
つきたてのお餅はもちもちで美味しい。
そしてよく伸びる。
……茜姉ちゃん、なにやってんの……
お餅が鼻についてる。
それを見て麻美姉ちゃんが爆笑してる。
「あれ、汐子ちゃんは?」
「もう帰ったよ」
会えなかった……
またお正月に会えるとわかっていても、帰りは寂しいお餅つき。
新年まであと2日。