EP:1 クリスマスは暇な茜姉ちゃんと僕。
薫編突入!
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「じゃあ、行ってきます!」
美里姉ちゃんが出かける。
今日はクリスマス。美里姉ちゃんは友達同士のパーティーに呼ばれたらしく、おしゃれしていた。
「茜姉ちゃんはどっか行かないの?」
「薫はー?和泉くんと遊びに行かないのー?」
あ、ないな、予定。
まあ、ダメダメなヒキニートの茜姉ちゃんに予定なんてあるわけもないか……
「『ダメダメなヒキ』までしか合ってねーぞ」
いや全否定しろよ。何故ニートだけ否定した。
ダメ人間なのは否定しないのか……
「って、なんでわかるの!?」
「お前、口に出してたぞ」
血の気が引く。
「ね、姉様、ごめんなさい!」
茜姉ちゃんは怒ると怖い。
特に悪口なんて言ってしまった日にゃ……あー考えたくない。
頼むから雪の中に放り出されたりしませんように……!
「薫、ハッカ飴買ってこい」
ほっ……
ハッカ飴で済んでよかった……
ハッカ飴を買って帰ると、茜姉ちゃんは電話で話していた。
「あー、そうなの?美里は出かけたー。あ、うん、わかった」
何を話してるんだろ?
「はーい、じゃあね」
……電話、終わった。
「あ、薫、お帰り。菖蒲姉、正月には帰ってくるんだって」
菖蒲姉は従姉のお姉さん。
今は外国で仕事をしているらしい。
「ママは?」
「餅つきまでには帰るって。なんか年末進行大変みたい」
今日は姉ちゃんと二人か……
和泉くんも今日は無理だった。
暇。無茶苦茶暇。
「仕方ない、久しぶりに打つ?」
姉ちゃんは囲碁をそこそこ打てる。
美里姉ちゃんより強い。
互先(実力を互角とした場合の対局)ではまず勝てない。
「じゃ、二子局で」
「あいよ」
二子局はハンデの置き碁で二つ置いて打つということ。僕が黒、茜姉ちゃんが白。
そして、対局が始まった。
「ぐはー!」
負けた。碁盤は真っ白だ。
「こんなもんか」
茜姉ちゃん容赦ない。
僕の死活問題を殺しに行くって……
対局三回やって三回負けた。
茜姉ちゃんも飽きてきたらしい。
「あたし漫研の描くわ」
……また暇。
仕方ない、本でも読もう。
「たっだいまー!」
美里姉ちゃんが帰ってきた。
「おかえり美里」
茜姉ちゃんが迎える。
「夕飯どうしよ?美里」
「二人でやろうか」
僕は放置ですか……
録画したアニメでも見てよ。
茜姉ちゃんと美里姉ちゃんの二人で作った夕飯は美味しい。
プレゼントも何もないけど、ケーキは食べた。
餅つきのある明後日にはママも帰ってくる。
冬休みはゆっくりと過ごしたい。
そんな今日はクリスマス。