EP:3 これ以上痩せないでください。
「……お姉ちゃん?」
月曜日の夕飯時。
「なに?」
「今日も夕飯こんだけって!大丈夫なの!?」
今日のおかずはハンバーグと目玉焼きとサラダ。それをお姉ちゃんは半分くらい残していたのだ。
いや、三日前(お姉ちゃんがフラれて帰ってきた日)からこんな感じだ。
お姉ちゃんは細い体に似合わず大食いだ。
いつもなら普通の人の一人前平らげて薫の残したご飯まで食べてしまうのに……
自分の分すら食べないって……
はっきり言おう。“異常”だ。
「残りは明日食べる……」
これはダメだ。お姉ちゃんに現実を見てもらわないと。
「……お姉ちゃん、ちょっと来て」
ビビリのお姉ちゃんには気迫押しが一番効く。
そのまま洗面所の体重計まで連行。
「乗ってみて」
お姉ちゃんはゆっくりと体重計に乗った。
39.8kg。
これは……
いくらなんでも痩せすぎだ。
「お姉ちゃん!現実見なさい!」
平均体重を下回るだけならいい。
しかし40kg切るのはダメー!
……これでもお姉ちゃんの身長は150を越える。
これ以上痩せたらミイラ通り越して骨だよ!
これで危機感(生命的な)が出てくれれば……
「39.8か……確かにこれはヤバいかな……」
「わかったでしょ!?」
フラれて食欲が失せてるのはわかる。
でも、ちゃんと食べなきゃダメ!
結局、この日の夕飯の残りは翌朝食べていた。
火曜日の夕飯時。
おっ、今日は全部食べた!
「美里ちゃん、今日は全部食べたよ」
「うん、お姉ちゃん偉い!」
声も元気が戻っている気がする。
「お姉ちゃん、今日何かあったの?」
「うーんと、まあ、なんか吹っ切れた!」
お姉ちゃんに何があったんだろ?
でもまあ、元気になったんなら、細かいことなんてどうでもいいか。
そんな火曜日の午後十時。