EP:2 眠り姫に憧れているようです。
日曜日の正午。
お姉ちゃんいつまで寝てるんだろ……
あ、やっと起きてきた。
「おはよう美里ちゃん……」
「なに言ってんの、もうお昼!」
「あー、そう……」
まったく……パパとママが仕事でいないからって……
まだ眠気の抜けないお姉ちゃんはおいといて、お昼の支度しなきゃ。
今日のお昼はオムライスにした。
お皿を洗うのはお姉ちゃんの仕事だ(というより、ご飯の支度をしなかったほうがお皿を洗うことにしている)。
食洗機に小さなお皿を入れながら、お姉ちゃんが言った。
「眠り姫って、羨ましいな……」
「なんで?王子様が起こしにくるから?」
お姉ちゃんは冗談抜きでそういうこと考えるような人だ。
しかし、返ってきた答えはわたしの予想の右斜め上をいってしまっていた。
「ちがーう!だってさ、眠り続けるってことはさ、外の世界のこと何も感じてないってことでしょ?」
「……」
正論だけど……
「だから羨ましいなって」
いや、お姉ちゃん、頭が大変だよ。
失恋のショックが大きいってことを理解した気がした。
まあ、あっさり立ち直れるものじゃないだろう。立ち直れるならそれは恋愛じゃない……と思う。
本屋に行って、帰ってきたと思ったらまた寝てしまった。
やっぱり、何も考えたくないのかな……
そうでなくとも疲れてるだろうし、夕飯まで起こさないでおこう。
明日はまた学校だ。
お姉ちゃんはちゃんと学校に行くんだろうか。
立ち直らずとも、学校にはちゃんと行ってくれることを祈った。