EP:4 豪雪と月日
「……」
あたしは今、強烈に困っていた。
「バス来ねぇ……」
学校はちょっと遠いからいつも電車とバスを乗り継いで学校行ってるんだけど、今現在、“バスが来ない”という深刻すぎる問題に直面していた。
もう十分も待ってんぞコノヤロー!と叫びたくなるのを我慢して、あらためて周囲を見回す。
花壇も建物も街路樹も真っ白。
数十年に一度と言われる大寒気がこの国を凍らせていた。
そういや昨日のニュースで、大都市でも積もるって行ってたな……
こんな事態じゃなきゃ年甲斐もなくはしゃぐのにな……
“こんな事態”とはバスが来ないせいで学校に行けないことじゃない。いや、それもあるけど……
一番の問題は、“今日は試験”ということだ!
遅刻常習魔のあたしでも試験はちゃんと出なきゃ……いや遅刻常習魔だからこそ出なきゃいけないんだ。
……エラソーに言えた台詞じゃないけどな。
十分待ってもバスが来ない。
ん?
雪で視界が悪い中目を凝らしてみると……
他の乗り場に、学校前まで行くバスが来ていた。
あれたしか大学前まで行くやつだな。
ここで待ってても遅刻だし、乗るか。
バスの中は外に比べて格段に暖かい。
中の包み……チョコレートが溶けないか心配だな……
今日は試験だがバレンタイン。仲のいい友達のためにチョコ頑張って作った。
写真部の男連中にも作ったよ。義理チョコみたいなもんだけどな。
正直言って今回は自信がない。味は保証できん。
用意で手一杯だったからな。
「はあーあ……」
本当は今日で、終わらせるはずだったのにな……
それが4ヶ月も早まって……
心を撲りつけられた痛みとその血を纏ったまま生きて……
……気付けば4ヶ月だ。そんな月日いつの間にか経ってしまっていて……
「次は、団地前、団地前……」
もう学校のところの停留所か。降りなきゃな。
今日の試験科目は何だったっけ……地理と化学基礎か。
試験、頑張ろう。
そんで気持ちにも決着つけよう。裏のあたし……気弱で泣き虫な心が出ないように。




