EP:3 写真と憧れ。
昨日、帰りに希美が言ってたな。
「初っちゃん、写真、今度の大会いけそう?」
「どーだろーな。わからん」
「薫くん可愛いからいけるって!」
いやそういう問題じゃないんだが……
それに、結果なんて読めてる。
「受賞……してたらいいな」
「初っちゃんならいけるでしょー!」
希美はこう言ってたけど、多分無理だ。
あたしの写真は単なる“記録”に過ぎないんだから。
美しい風景、混沌とした日常非日常、そんな感じの写真しかない。
到底、あたしの憧れの人みたいにはなれそうにない。
彼のようには、なれない……
結果は昨日出てたはずだな……
カバンに入れっぱなしだった携帯を取り出して、メールをチェックする。
部長からメールが入っていた。
部長ともう一人、同級生が受賞。
あたしは落選!
……やっぱり、そうだよな。
あたしは彼には追い付けない。
悔しいけど、妬ましいけど、これが現実……
気が付けばあたしは布団に突っ伏していた。
いつの間にか寝てたみたいだ。
“裏のあたし”……心の中に住むネガティブな心が言う。
『これで茜もわかったでしょう?高望みしたらろくなことにならないって』
「……そうだな」
『バチが当たったんだよ』
「そうかもな」
『今の地位に満足しなかったから』
それを皮切りに、たくさんの自分への罵倒が浮かぶ。
『ウソツキだから』
『身の程知らずだったから』
『嫌われてるのにも気付かずに』
『虚構じゃなくて真実の愛情を求めたから』
『病気持ちの汚い女の癖に』
それは、笑いながら押し殺してきた不安の塊だった。
皆あたしといるのは嫌なんじゃないのか、あたしは迷惑なんじゃないか……
そんな考えの終着点だった。
『茜なんか死ねばいい』
『愛される価値どころか生きてる価値もないんだから』
「あたしなんて……あの時消えてれば良かったんだ!」
思わず叫んでいた。
ガッタン!と隣の部屋から音がした。
「お姉ちゃん、どしたの?いきなり叫んで」
「……美里、ごめん」
「謝らなくていいから」
……
「……写真、落選した。美里や薫にモデルやってもらったのに……」
「大丈夫だよ。きっと最後の最後まで残ったって!」
……なんでだろうな。美里に励まされるとそんな気がしてくる。
「それに、お姉ちゃんは写真だけじゃないもん!」
「……それ、どういう意味……」
「たまに物語作ってイラスト描いてるでしょ?」
そういう意味か。確かにあたしはイラストを描くときそれぞれに“物語”を作って描く。
それはあたしの妄想世界だったり、感情だったり。
たまによくわからないものも描いてるけどな。
「だから、また頑張って!」
「……そうだな。全国は逃したけど、また春の大会頑張るか!」
春の大会には思い出がある。
だから、頑張ろう。いつか憧れの彼に追い付けるように。




