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その男ターナー

逃亡殺人 1

作者: ジオ

アメリカのとある街

一人の白人の男が呆然と立っている。雲一つない晴れた空とは対照的に彼の心は

黒く曇っていた。

その男の名はターナー。年ぬ齢は40後半、アメリカ人にしては比較的低い身長で中肉、中途半端に伸ばした髪と髭が風で少しなびいてる。

彼は、4か月前まではごく普通の会社員だった。しかし、この不況のせいでリストラにあってしまったのだ。妻と子供はいたが、10年前に離婚しているおり独り身だ。今までの貯めてきた貯金は底をついていた。

もう失う物は何も無い…と彼は心の中で呟き、車に乗り込んだ。



車で走ること一時間、ある都会に着いた。

彼が車から降りた時にはハリウッドばりの特殊マスクで白髪頭の別人の男と化していた。

彼は少し腰を曲げ、右手をポケットに手を突っ込み、大きなリュックを提げゆっくりと銀行に入った。

そして受付にゆっくりと歩みより右のポケットから銃を取りだしそこにいる全員に聞こえるようこう叫んだ。「ぜ、全員手をあげて、ひざまずけエエ!!!!」

言い終わった後天井に向けて銃を一発放った。

バアアアン!!

その瞬間、銀行職員、客たちが一斉に悲鳴をあげた。

彼はまた大きな声で叫んだ「静かにしろオオオ!!!!さもないとこの銃で頭ぶち抜ぐぞ!!」

さっきまで、悲鳴をあげたいた人々が一斉に黙った。

そして彼は職員に対して「このリュックに詰めれるだけ詰めろオオオ!!」

職員は震えた声でハイと言い、リュックを受け取り、後ろに下がって行った。

「早くしろ!!サツを呼んだらお前ら全員ぶっ殺すぞオオ!!」彼は早口に叫んだ。

まだ職員は戻って来ない。彼には一分一秒が恐ろしく長く感じた。

彼が焦っているのが、尋常ないほど濡れたシャツから見てとれる。




待つこと2~3分。さっきリュックを渡した職員がターナーのもとへ戻って来た。すぐに彼はは叫ぶ「早く渡せエエ!!」

職員からパンパンに張ったリュックを奪い走って、銀行を出た。

それを確認し、職員が警察に通報する。

「ぎ、銀行に強盗が現れました。犯人は金をリュックに入れて持って逃走しました。すぐに来てください。犯人の特徴は白髪頭の60代ぐらいの中肉中背の男です!!」




「ハアハアハア …」

ターナーはかなり息切れしている。

ターナーは乗ってきた車に急いで乗り込むと、猛スピードで逃走した。

警察に通報するのが遅かったせいか、パトカーは追ってこない。

彼は不気味に笑み浮かべていた。警察に捕まる心配や不安よりも逃走を楽しんでいた。


(俺は本当は悪魔のような人間なんだ。それ今まで心の中に押さえて生きて来たんだ!これまでどんな事をしてもこんな楽しさを感じたことはなかった。最高だ!!最高の気分だ!!今となっては俺をリストラした会社に感謝するぐらいだ!)



都会を出て、追っ手が来ないことを確認し、彼は運転しながら右助手席にあるリュックを開けてみた。するとサツの束がボロボロとこぼれ落ちた。

それを見ては彼は思わず声をあげて笑った。「ワハハハハハ ざっと400万ドルぐらいか。いい気分だ。一生遊んで暮らせる。ワハハハ…」

笑い声が止まらない。

鼻歌を歌いながら上機嫌で、スピードをあげて走り去った。



車を走らせること数時間…

人気も全くない田舎のだだっ広い道路。

そこにターナーは車を停め、降りた。トランクからスコップを取りだし、キョロキョロと周りを確認してスコップで穴を掘り始めた。

そして、顔にべったり張り付いた特殊マスクを外し掘った穴に入れ、臭いのきつい香水をまんべんなく振りかけ、その香水とともに埋めた。

埋めたマスクは銀行の防犯カメラから顔割れを防ぐために買ったものだ。

そして、買うのも直接買いに行かず、ホームレスに声をかけ、駄賃をやって買わせた。臭いのきつい香水をいれたのはもし掘り起こされた時、警察犬に臭いがばれるのを防ぐため。

車にはナンバーが見えにくくするためにナンバーにカバーをつけていた。

その車はマスクを被った姿で一週間前に中古を買ったものである。

なるべく、地味でどこにでもあるような車を。

彼はは数か月前から計画していて、準備していたのである。

家は数ヶ月に賃貸のマンションを解約し、格安のホテルを転々としていた。





ターナーはまた車に戻り、走り出した…

ラジオつけると案の定、銀行強盗のことがやっていた。

「犯人は車で逃走中。60代の中肉中背の白髪の男とみられています。…」

それを聞き、彼はは大声で「ワハハハ サツめ騙されていやがる。捕まってたまるか。ワハハハワハハハ」と札束を一つ握りしめ言った…




次は湖の橋の上に車を停めた。そして用意していた道具で車に細工し、湖に突っ込ませた。勿論車は沈んだ。ナンバーには見えにくく細工したものの、特定された時のために沈めたのだ。もし車がばれても、事故で死んだと扱われる可能性がある。



彼は重いリュックを背負い歩き始めた。


彼は1時間程歩き続け、やがて小さな町に到着した。

そして、ある一軒家のドアをノックし「すいません~ 前にこの家を借りると電話で予約したブラウンというものですけど」と言った。


すると太った男が出てきた。

「やあ、ブラウンさん。私が大家のケビンです。いや~来るなら前もって電話してくださいよ~」と陽気に言った。



「いや~すぐにここに引っ越したくなってね~都会というジャングルから抜け出したかったんですよ。あそこにいると精神的にまいっちまう。田舎の人は寛容だとネットで見たのでいきなり来ても大丈夫かと思ってねえ」とターナーも冗談混じりに答える。

「そうですか~ここはいいですよ~みんな優しいし。ではブラウンさんごゆっくり。家賃はまた受け取りに伺います。 ガレージにある車は使って頂いて結構ですよ。ボロいですけど動きます。私は新車をかったのでご安心ください。ハハハハハ 」


「やっぱり田舎の人は優しい。都会のやつは金のことしか頭にない猿ですよハハハハハではよい明日を」とターナー


「では また」と手を振りながらケビンはどこかへ行った。


ケビンを見送り、ターナーはドア閉めた。

この家も前もって準備していたのである。ブラウンという偽名で。


ターナーはご機嫌に歌を歌いながら、シャワーを浴び、服を着替えて、フカフカのベットに安堵の表情で眠りについた。



それからというものターナーは豪遊した。

金はたらふくあるのだ。数えてみれば金は430万ドルもあった。

しかも、この町は物価が安い。

毎晩バーに行き、酒を浴びる程飲み、家には娼婦を呼び楽しんでいた。

中途半端に伸ばした髪を整えオールバックにし、髭をそり

身だしなみにも気を使った。

気づけば、大家のケビンとも一緒に酒を飲む程の、友人なった。

もうブラウンという偽名で呼ばれるにも抵抗がなくなっていた。




数週間経ったある日、ターナーのがワインを飲みながら、ソファーでくつろいでいるとコンコンとノックする音がした。


ターナーはテーブルにあったナイフを左手に持ち、用心深くゆっくりとドアの前に立った。

「ブラウンさん~家賃を受け取りに来ました。ケビンです。」

と聞き覚えのある声がした。

ターナーは左手を後ろに回しドアを開けた。

「ケビンさんでしたか、どうぞお上がりください。ワインでもどうです?

昼間から飲むワインは最高ですよ」

とターナーはリビングに招き入れた。

「これはどうもどうも。今日は暑いですね~まいっちまいますよ」

といつも通り陽気な声で話す。

ターナーは家賃をケビンに渡し、二人でソファーに座りながら、ワインを 楽しみながら、雑談をした。

付けっぱなしのテレビからはニュースが流れていた。

「 ○日に○○街で起こった銀行強盗ですが、警察が今日犯人を指名手配しました。銀行職員の証言と違うのは犯行時はマスクでカモフラージュしていた模様です。…」その後、ターナーの写真が画面に映し出された。その瞬間、ターナーは右手に持っていたワイングラスを落とした。

ターナーはすぐさま、ケビンを見た。

ケビンはさっきまで陽気に酒を飲み、赤い顔していた人とは思えないほど蒼白い顔色をしていた。

今、横にいるのが犯罪者だと気付いたのだ。

その瞬間、ターナーはソファーの下に隠したナイフを持ち「ヴぁあああああああ!!」と叫びながら、ケビンの胸を突き刺した。

グサツ という音ともに血が吹き出した。

ケビンは「あ、あ…ああ、やめてくれ!やめてくれ殺さないでくれ」

声を振り絞って言った。

それを聞き終え、ターナーはとどめ一撃を加えた。

初めて殺人を犯してしまったのだ。

「クッ殺っちまった。ああ殺っちまったああ。逃げるしかねえ捕まるわけにはいかねえ」

ターナーは小さく呟いた。

考えてる暇はなかった。

急いで血の着いた服を着替え、引き出しに入れておいたナイフと銃を取りだし、金の入ったリュックを持ち、家を出た。

そして、ケビンからもらったボロボロの車に乗り込んだ。

念のためにターナーは車のガソリンを満タンにし、トランクには食料と水を詰め込んでおいたのであった。

直ぐにアクセル全開で町を出た。












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