表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

第四章

どのくらい

眠ってたんだろう・・・・

ゆっくりと揺り動かされて

目が覚めると・・・


『お!無事か・・・良かった・・!』


ふんわりと微笑むリューイと

目が合った


『あんまり起きないから・・・もう起きないのかと思ったよ!』


私はあれから二晩眠っていたらしい・・・

頭が・・・すこし・・・痛い・・・


ぼんやりとした意識の中・・・・

頭のなかを・・整理する・・


ここは・・宇宙艇・・そうだ・・・

リューイに助けらたんだ・・・


あの星から・・

脱出できたんだ。。。。。


『女の子の服ってわからないから・・・適当に買ってきたよ』


かわいい服・・・きれいな服・・・新しい・・・・・服・・・


部屋の中には・・私の服が・・溢れていて・・・

その中でリューイが・・・・


『とりあえず買って来たから・・後で一緒に買いに行こうな・・!』


リューイが優しく・・・

ぼんやりとしている私の頭を

撫でてくれた・・・・


『早くシャワー浴びて着替えろよ!』


『・・・・・・・・』


『この星はいい星だぞ〜!たっぷり案内してやるからな!』


リューイはにこやかにそう言うと

部屋を出て行った



久しぶりの温かなシャワー

浴びるほどの水・・・・


満足に飲むことさえ許されなかった

水が・・・


ここには

浴びるほど

ある・・・・・


ぼんやりと・・

身体に

あたる

シャワーの感触を

感じながら・・・・・


ひとつずつ

ひとつずつ・・・・

戻っていく感覚を

確かめていた・・・・・


あの・・・

アルフィールドの宇宙艇の大量襲来の夜の前には

当然だったこと・・・


それが・・・・


現実から

かけ離れ・・・


また現実に・・・

戻ってきた・・・・


でも・・・

すべてが

変わってしまった・・・





       ・・・・・・現実・・・・・・・




ひとつずつ

戻ること・・・


それは・・・

私の

感情が

戻るということで・・・・


私は・・・・・


シャワーの温かさに・・・・









     ・・・・・・・・・号泣した・・・・・・・・・・






やっと

泣ける・・・・・


思う存分

声を上げて・・・・

泣ける・・・・・・・    




シャワールームの外から声がした・・・


『どうした?!!』


リューイの慌てた声・・・・・


私は・・・呼吸を整えながら・・・静かに言った・・・


『・・・・ありがとう・・・・大丈夫よ・・・』


『本当に・・大丈夫なのか・・?!!どこか痛いのか・・?!!』


リューイの声・・・・心配そうな声・・・・


『・・・大丈夫よ・・・・』


『そうか・・・・』


『リューイ・・・あのね・・・・』


リューイ

わたしね・・・・・


やっと

泣けるの・・・・・


思う存分

泣けるの・・・・・


・・誰にも気にせず・・・思う存分・・・


・・心のままに・・・・泣けるの・・・・・・



わたしは

泣けることが

ただ

嬉しかった・・・




  ・・・・・・泣けることが・・・ただ・・嬉しかった・・・・・・・・    





リューイが

シャワールームの外から・・・


『・・良かったな・・・泣けて・・』


『・・・・・・・・・・・・』


『・・好きなだけ・・泣け・・・いくらでも・・』









      ・・・・・・・・・待っててやるから・・・!・・・・・・







そう声をかけてくれて・・・・


私は・・

2年分の涙を

ただ・・

しばらく・・・

流し続けていた・・・・・



今・・・・


泣けるということを・・・感謝しながら・・・・・





着替えを終えて宇宙艇から外に出ると・・・

綺麗な夕日が

町を染めていた・・・


町全体を水路が囲んでいて・・


水に浮かんでいる・・・町・・・


そんな感覚が頭をよぎる・・・・


空には・・・


星が近いらしく・・・


とりわけ大きな星が

二つ・・・

夜を前に

もう・・・浮かんでいる・・・・


穏やかな風が吹くたび・・

水がさざなみ・・・・


町の家々に反射して・・・


きらきらと光っていた・・・


宝石が

散りばめられた

町・・・・・・・


思わず見とれていると・・・・


『じゃあ!行くか!』

リューイがふんわりと微笑みかけた


『どこでも連れてってやる!何が見たい?』

そうリューイが言うので・・・


わたしは・・・・



わたしとリューイはこの町をしばらく散歩した・・・


『・・どこにも行かなくていいのか・・・?』


私は頷いた・・・


わたしには

すべてが

新鮮で・・・


その

ひとつ

ひとつを

ゆっくりと・・・


心に焼き付けていきたかった・・・



今欲しいのは・・・・


ゆっくりとした・・・時間・・・・


心を・・・


自分を・・・


取り戻す・・・・・






    ・・・・・・・時間・・・・・・・・






町をゆっくりと歩きまわり・・・・

レストランへ・・・


薄暗い店内を通り抜け・・・

一番奥の扉を開くと・・・・


『・・・・・!!・・・』


       





         ・・・・一面の湖が広がっていた・・・・・




湖に浮かぶテラス・・・・・


その湖は・・・・

鏡のように

宇宙の星々を映し・・・


中心部には

大きな世界樹が・・・・

一本・・・・

たっていて・・・・


その蒼く光る世界樹を・・

見つめて・・・・



         

         ・・・・・息を呑む・・・・・




水を・・・


きっと・・・・


この星の

命の水を・・

生み出し続けている・・・

世界樹・・・・


一人ぼっちの世界に


毅然と

立ち尽くす・・・

世界樹・・・・・




リューイにポンッと肩を叩かれて・・・・

やっと

身動きが取れた・・・・


椅子に腰掛ける・・


リューイとわたし・・・・・


まるで

二人だけが

その世界にいるような


錯覚・・・・・



水音から伝わる・・・静けさ・・・・


いつの間にか料理が

テーブルいっぱいに

運ばれていて・・・・・


わたしは・・・・


わたしは・・・・・・・




温かい寝床・・・・

温かいシャワー・・・・

温かい食事・・・・・・・・・・


私を温めていくものたち・・・・・


どうしてだろう・・・・・


温かさに

敏感になっている・・・・


テーブルの前に置かれた

温かなスープ・・・

喉を通る


瞬間・・


また・・・

涙が込み上げる・・・・


一粒・・・涙が・・・スープに・・・





         ・・・・・落ちた・・・・・




リューイは

優しくわたしの頭を撫でると・・・・


『いくらでも好きなだけ・・自分の思うようにすればいいさ・・・』


涙が伝う・・・


『遠慮はいらない・・・生きていることに・・遠慮はいらない・・』


堪えようとしても・・・涙が・・・・


『ありのまま・・・心のままでいることが・・・』



           


『・・・一番の幸せだから・・・』




涙が・・・・



『ミリにとっても・・・・そばにいる人間にとってもな・・・!』





       ・・・・・・とまらない・・・・・・・・





温かいものたちばかりじゃない・・!

わたし・・・

リューイの温かさに

涙が

とまらないんだ・・・


どうして

こんなに

温かいんだろう・・・・



この人は・・・

どうして・・・・

温かいんだろう・・・・・・




       ・・どうして・・こんなにも・・温かいんだろう・・・・





わたしの

涙が

やっと・・・とまると・・・



『スープ・・温かいのと交換するかい・・?』

リューイが

声をかけてくれた・・

わたしは首を横に振って・・・・


『・・・すごく・・・美味しい・・・・!』


やっと・・・わたしから・・・・不恰好な・・・・・

微笑がでた・・・・・


リューイはふんわりと微笑んで・・

『そうか・・!』

冷めたスープをリューイも飲み始めた・・・・



食事が終わっても・・

しばらく・・・世界樹を二人で見ていた・・・・


世界樹を見つめながら・・・


『ミリはどこの星から来たか・・覚えてる・・?』


『・・・・ミルフィールド・・・・』


リューイが・・・・

黙り込んでしまった・・・


わたしは・・・リューイに視線を向けると・・・


リューイと目が合う・・・・

リューイが無理に笑顔を作ろうとしているのが

なんとなくわかった・・・・


『・・送っててやりたいんだけど・・・そこは・・俺でも無理だ・・・・』


『・・・・・』


『ごめんな・・・・』


わたしは静かに頷いた・・・


なんとなく・・・

今の笑顔で・・・

感じた・・・



・・・・嫌な予感・・・・


わたしは・・・・


ただ

自分の勘が

外れることばかり

願っていた・・・


自然と・・・身体中に・・・

力が入る・・・


・・・妙な・・緊張感・・・・


不安が・・押し寄せる・・・・

震えが・・・・包む・・・・・・



ふいに・・

リューイが

わたしの

震えを

とめるべく・・・・


わたしの手を・・固く・・・握ると・・・


『よし!ミルフィールドに帰れるようになるまで!俺の星に来い!』


明るく力強い口調で・・・・


『居心地がよければ!一生いたっていいぞ!』


『・・・・・・・・』


『ミリが家族と再会できるまで・・・俺が家族になってやる!』


『・・・・・・・・』


『それとも・・・俺じゃ・・・不服か・・?』


まっすぐな明るい口調で・・・・リューイはそう言うから・・・・

すべてが・・・信じられる気がしてきて・・・・


『・・・・・・・・ありがとう・・・・』


わたしは自然とそう・・・気持ちと言葉が溢れていた・・・・・・



リューイは・・・・・


『今日から・・・俺たちは・・・家族だ・・・!』


抜けるような笑顔・・・・・・




わたしの全身から力が・・・

少しずつ・・・

抜けていって・・・・・


『うん・・・・!』


ふんわりとした笑顔を

リューイに向けることが

やっとできた・・・・・


[五]へ続く・・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ