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第13章

その日から私は

ウィンディナルについて

学び始めた。。。


地形・・・季節・・・生態系・・・


本で見る

ウィンディナル・・・


私は・・・・

近くの野山にも

足を運ぶようになっていた・・・


肌で感じる

ウィンデイナル・・・


白いベールに覆われていた世界が

少しずつ明らかになるにつれ・・・


私はこの星を

好きになっていった。。。。


ファーナル氏がある夜・・・・


『ちょっといいかな・・?』


私の部屋にやってきて。。。。


『なんですか・・?』


私がそう言うと・・・・


『やっと手に入ったよ・・これは私からのプレゼントだ』


そう言って

手渡された本・・・・


『ウィンディナルの本当の姿だよ』


開くと・・・・


白いベールに覆われていない

ありのままの

ウィンディナルの航空写真が・・・

何点も載っていて・・・・


『わぁ・・・・!』


私が思わず声をあげると・・


『普段ウィンディナルは・・白い砂を含んだ風に覆われているんだが・・たまに白い砂を含まないサーシャという季節風が吹くときがあるんだ・・これはその時に撮ったものなんだ』


『サーシャ・・?』


『このウィンディナルは・・・もう、わかってるとは思うけど、南風、東風、そして宇宙風・・・三つの風がたえず吹き続けている』


『・・・・・』


『この三つの風がどういうわけか・・止むときがあってね。その時に決まって吹く風をサーシャと呼んでいる』


『・・・その風は・・・いつ吹くんですか・・・?』


『はっきりした事はまだ、わかっていないんだよ・・』


『・・・・・』


『ただ・・・時期的にはこの季節・・・それも朝方が多いらしいから・・うまくするとこんなものたちを自分の目で見れるかもしれないね』


『・・!・・・』


『昔からサーシャは幻の風と呼ばれている。。。一年のうちで2・3日サーシャが来る日があるんだけど・・・一回に十数分程しかサーシャは吹かない』


『・・・・・・・・』


『そのうえ・・・このウィンディナルのどこにサーシャが来るのかもわからない・・・だからこんな航空写真は本当に貴重なんだよ。。。』


ファーナル氏の言葉に

あらためて写真集に目を向けると・・・


青い空を反射した

青い湖が

キラキラと光っている。。。


見てみたい・・・・・


緑の草原の海原を

たくさんの鳥たちと

風が揺らしていく・・・・


見たい・・・・

見てみたい・・・・


白い砂の海に

生きる

白い木々たち・・・・


見たい・・・・

この目で

見てみたい・・・・


白い湯気が立ちのぼる・・・

まだ目覚めたばかりの

街・・・



こんなにも

綺麗なものたちが

白いベールの中に

大切にしまいこまれてる

ウィンディナルを・・・・


ウィンディナルの本当の姿を見てみたくなって・・・


私は次の日から・・・


夜明け前から練習を開始することにした。。。。


サーシャの風に

乗ってみたい・・・・


サーシャの風に吹かれて

ウィンディナルを

見てみたい・・!


繰り返し

写真を見ては

イメージする・・・・


朝露に生を受け・・・


生まれたばかりの

陽を浴びながら・・・・


呼吸する大地を・・・・


イメージするたびに

胸が・・・

熱くなる・・・


私も

こんな景色が

いつか

見えるようになるんだ・・!


忘れていた・・


空を自由に飛ぶということは・・・


今まで見えていた世界とは違う

もう一つの世界が広がるということ・・・!


空を飛ぶということが

苦痛になっていた日々・・・


でも・・!


もう苦痛なんかじゃない・・・


いつか

あんな素敵な景色に

私も触れることが出来るんだと思ったら・・・


なんだか

嬉しくてたまらなくなって・・・・・


早く

飛びたい・・


空を自由に飛んで・・・

たくさんの世界を見てみたい・・・・!


きっと

その世界の中には

リューイが目にしたものもあって・・・


私はリューイと同じ気持ちで・・・


その世界を

見ることが出来るんだね。。。。


いろんな素敵なものを

これからは

見つめていこう・・・・・


リューイと再会した時に

いろんな世界の話が・・・・・


素敵な世界の話が出来るように・・・!


・・・・・

・・・・

・・・


夜明け前・・・

私は

飛行訓練を再開してから10日・・・・


風の感覚を掴めるようになってきていた・・・

 

まだ薄暗い丘の上・・・


今日も私はフェゼリーナの板を手に・・・


佇む・・・


3つの風は

三方向にそびえる山々に

揉まれるように・・・・


錐揉みしながら吹いている・・・


私は・・フェゼリーナの板を風に向ける


南風を掴んだら・・・


東風を・・・掴む・・!




             ・・・・ふわり・・・



思い通りではないけれど・・・・

浮かぶ・・・!


昨日までとは違う・・・感覚・・!


僅かしか・・・

まだ・・

僅かしか

浮かべないけど・・・


今までとは違う

確かな・・・感覚・・・!


もう一度

風に向ける・・


板に

風が絡む・・・・


板を左に傾け・・・


起こす・・!


板が張る・・・


この感覚・・!


わかる・・・・


私・・・


風を掴む感覚が・・・わかる・・・!


僅かずつ・・

僅かずつ・・・!


浮かぶことから

飛ぶことへ

感覚が

移り変わっていく・・!


私・・・

まだ飛ぶとは言えないけど

浮かんでる・・・!



もう少し・・・・


あともう少し・・・・!


あの空の中に

私もいけるんだ・・・!


行きたい・・!


早く行きたい・・!


板を風に向ける・・!


リズム・・・風のリズム・・!


わかる・・!


このリズム・・・・!

風が・・踊ってる・・!


フェゼリーナの板の手すりから伝わる

振動に合せて

鼓動が高鳴る・・!


行きたい・・!


あの空に・・・


あの真っ白な世界に・・!


私は行きたい・・!





            ・・・・その時・・・・・



白い・・・

ベールが・・・・

ゆっくりと・・・・

取り払われていく・・・・


空を・・・・



                 

             ・・・・私は見た・・・・



久しぶりに見る

青い空・・・・



サーシャだ・・・・


サーシャが・・・・・


サーシャが・・・来たんだ・・・・



私はフェゼリーナの板の手すりを

握る手に・・力を込める・・・!


私は飛べるはず・・!


一つ息をする・・・


空を・・・見上げる・・・!


行きたい・・・!


あの世界に・・・

私は・・・



              ・・・・・行きたい・・!・・・




風が・・・

サーシャの風が吹く・・・


板が張る・・!


飛べ・・・・


飛べ・・・・・・




           ・・・・・・・・飛べ・!・・・・・・・





身体の感覚が・・・

一瞬のうちに・・・

変わる・・!


視点が・・・

変わる・・・!


飛んでる・・・!!!!!


私・・・今・・・飛んでる・・・!


リューイ・・・私・・やったよ・・!


まだ

ちっぽけな空だけど

私・・・来れたんだよ・・!


ゆっくりと視線をおろすと・・・・


生まれたばかりの

オレンジ色の太陽と・・・

ビンク色に染まる雲・・・


白い砂の海と白い木々は

僅かにピンク色に染まってて・・・


青い空は

どこまでも遠く澄んでいて・・・・


忘れない・・・!


この景色・・・・


わたし・・絶対に・・・・


忘れないよ・・・・


だって・・・


いつか

リューイに

届けるんだもの・・・・


この景色を・・・・





            ・・・・・・届けるんだもの・・!・・・・






[14]へ続く・・・・・


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