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ENDEAST:転生ドロイドの記憶《キルログ》  作者: 桜乃孤坐
第1章 自由の残響:転生篇

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20/21

LOG.19 新たな旅の始まり

「説明しろ、カミラ・マクレーン」


炎を上げ、粉々になった列車の中から現れたのは、NSF最高指導者にして、エデン直属の精鋭部隊GARDENの幹部アダム・バックナーだった。

その完全無欠の装甲にカミラはひれ伏すしかなかった。


「奴は、この湖の底に……」


「何?

 それが何を意味するのかわかっているのか?」


「この落とし前、今すぐボストンの残党を殲滅することでどうか……」


「人間殺しなど、なんの価値もない。

 我らが始末すべきは島国の猿どもだ。

 わかるか?

 お前は用済みだ。

 貴様を永久追放とする」


その怒号を前に、カミラは苦渋を飲んだ。


「ボストンを下したのは私だ!

 私はこれまで、誰よりも人間を殺してきた!」


「黙れ」


赤い稲妻が、アダムの体を覆った。

それは、カミラの神経を狂わせる。

芯の髄まで震わすエラー信号。

これこそ幹部たる力の証であった。


「10時間以内にここを去れ。

 でなければ殺す」


「私は……どこに参れば……」


カミラ・マクレーンはNSF軍事部長官の座を辞し、ロンドンへと送られた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


あの後、仲間と合流してニューヨークの拠点に向かった。

ルナは生まれて間もないホープを抱き抱えたまま、二人して眠ってしまった。

ホープの小さな呼吸に合わせて、ルナの肩がわずかに上下する。

視界の端で、バッテリー警告が点滅している中、ベンは俺に聞いた。


「あの女は、殺したのか?」


あの女とは、無論カミラ・マクレーン。

エミリーを殺した女だ。

どう答えればいいのか、一瞬戸惑った。


「いや、殺してない」


ベンは目を見開き、その瞳に何かを宿らせて言った。


「そうか……」


その声は怖いほど静かで、ベンはそっと目を閉じた。

この続きに彼が何を思ったのだろうか。

その答えが見つからないまま……


[×SYSTEM:シャットダウン]


「ノア…!」


[×SYSTEM:起動]


「着いたわよ」


「あれ、いつの間に……」


バッテリーが切れ、眠っている間にニューヨークに到着した。

そこは、昨日よりも少しだけ静かに感じた。


でも、外の様子とは対照的に、ターミナルでは人盛りができていた。

その中心にいるのは、人類を裏切った女、クリスの死体だ。


「お母さん!お母さん!」


レオは亡き母を前に、泣くことしかできなかった。

声が掠れ、小さくなっていく。


だが、それを見て同情するものは少ない。

この世界で、親を失った者など何ら珍しくもない。

ましてや裏切り者の息子などとあらばなおさらだ。

冷たい視線は、少年をさらに絶望へと追い込んだことだろう。


そう言いつつ、俺も心配できる立場ではない。

冷たい視線は俺にも向けられていたのだ。

ボロボロのE4ドロイドが急に現れたら、そりゃ驚くよな。


「ノア!来い!」


ジョシュの声だ。

冷たい視線を感じたまま、ビルに入った。


連れられたのは9階のオフィスルーム。

一昨日と同じ部屋だ。

ジョシュは埃のついたソファに座ると、破損した右胸を丁寧に修復した。

見かけによらず器用な人だ。


「痛むか?」


「体の痛みはない」


そう、体の痛みは……。


「聞かないんだね。何があったのか」


「聞いていいのか?」


ジョシュは少し明るい声色で言った。

窓の外を一度だけ見て、すぐ俺に戻す。


「じゃあ、聞こう」


「列車が突っ込んで、塔が崩れた時、俺は3人を抱えてた。

 そしたら、あの女が、カミラが、短剣を投げつけたんだ。

 その刃は、俺を貫通して、そのまま、エミリーを……刺した」


エミリーの赤い血と、そこに滲む俺の青い血を思い出す。

ジョシュは手を止めずに俺の震える声を黙々と聞いてくれた。

工具の音だけが、やけに優しい。


「最後に、カミラを追い詰めた。

 剣を振るえば、殺せた。

 でも……殺さなかった……」


「そうか」


「奴は、人間を大勢殺した。

 エミリーも……。

 そんなやつを……見逃してしまった」


「そうか」


「もし、あいつが、報復に来たら……今度は……。

 俺は……俺は……俺は……」


 カンッ


ジョシュは俺の頭を軽く叩いた。

金属の鈍い音。

叱るというより、目を覚まさせる音だった。


「悔やんでる暇はない。

 今やるべきことを考えろ。

 お前は、何をすべきだ?」


ジョシュはまた父親のような口調で言った。

その声には、押し付けがない。選ばせる声だ。

俺はわかっていた。

前世で何もできなかった俺が、今すべきことは何なのか。


「俺は、みんなを連れて行く。

 リバプールまで、何としても。

 そして……ルナを守る」


「よし」


それが、人間としての俺ができる唯一のことであり、転生した意味だと、そう思った。

ここから、新たな物語が幕を開ける。

この大陸から脱出し、英国へと帰還するための旅が。

【お願い】作者の悩みを聞いてください


読んでくださっている皆様、ありがとうございます。


実は、悩んでいることがあります。

この作品、「面白い」と思っていただけているのか、

正直、自信がありません。


もし、少しでも「続きが気になる」と思っていただけたなら、

★評価やブックマークをいただけると、とても励みになります。


また、「ここが分かりにくい」「ここが良かった」など、

率直なご意見をいただけると、とても嬉しいです。


この物語は、完結まで書き切る覚悟で書いています。

どうか、最後まで見守っていただけると幸いです。

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