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ENDEAST:転生ドロイドの記憶《キルログ》  作者: 桜乃孤坐
第1章 自由の残響:転生篇

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LOG.14 後悔を叫ぶ魂の導き

 ガチャ…


ジョシュが銃を構え、勢いよくドアを開いた。


「やはり、ここにいたか…」


この声、どこかで聞いたような。


「魂の導きは正しかった」


「うっせえ、ただのまぐれだろ」


立っていたのはグランドセントラルにいた二人。

お坊さんとスナイパーのコンビだ。


「お前たち誰だ?」


ジョシュが低い声で尋ねた。

指先は引き金にかかったままだ。

男は、戦火で煤けた墨色の法衣を纏っていた。

その背後で、長いガンケースを肩に担いだ男が、気だるげに立っている。


「私はシム・ジン。青蓮寺せいれんじの住職だ。でこっちは…」


「ビクターだ。よろしくな!」


デボンが机の下から這い出て来た。


「ジンさん。なんでここにいるんだ?」


知り合いのようだ。

二人はレストランの中に入り、腰をかける。


 ガチャンッ…


ドアが閉まると月明かりが途絶え、再び暗闇がやってきた。


「ああ、実はな…」


破れた法衣を纏うお坊さんは、柔らかい声で数時間前のことを話し始めた。


  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「あーあ、いつまでこんな生活してりゃいいんだろうな」


「不便なのは皆も同じ、辛抱せい」


日が暮れ出した頃、グランドセントラルに残っていたこの二人は見回りの登板にあたり、地下ターミナルを巡回していた。


「でもよお、あのリバプールから来たとか言う連中の仲間、海岸で大勢死んだんだろ。

 ここにいてもそのうちバレるだろうし、もうとっくに詰んでるんじゃないのか?」


「いいや、我々は必ず生き残る。

 それが、神のご意志だ」


ビクターは横目でジンのピントの合わない追った。


「あー、腹減った」


「へっ、煩悩まみれめ」


「にしても、食料調達しに行った奴ら遅すぎねえか」


「しっ…こちらから魂の叫び声が聞こえる」


ジンがそう言った先には、事務用の「STAFF ONLY」と書かれた通路があった。


「行くぞ…」


「待てよ、本当に行くのか?

 ったく、しょうがねえな」


鍵の開いたままのドアを開き、暗闇に向かって歩き出した。

床には乾いた泥、どこからか漏れ出した水、そして赤い血痕。


「こっちだ」


「なぜわかる?」


「迷える魂が、私たちを導いている」


しばらく暗闇を進み続け、ようやく辿り着いた。


「ここだ。ここにいる」


ドアを開けると、オレンジ色のランプが照らされる。

が、しかし、ジンが感じ取ったのは、金属の音と銅の匂いだった。


「避けろ!」


 ガガガガガッ!


ガトリングガンの銃声が鳴り響く。

ベクターがドアを閉め、急かすように言う。


「おい、逃げるぞ!」


「いや、待て。

 ここで奴らを討つ」


「はあ?!

 何言ってんだ」


「敵は5体。私がやる。

 お前は下がっておれ」


「前々からイカれたやつだと思っていたけど、本当にいっちまったのか?」


 ガタンッ…!


勢いよく扉を開き、待ち伏せしていた1体のE3ドロイドが銃弾を放つ。

だが、その銃声よりも早く錫杖の鈴の音が鳴った。

瞬間、10突きを機体の関節部に、そして、破裂。

青い血液が散らばる。


「次はどいつだ?」


さらにそこに、襲いかかる2体のドロイド。

しかしその銃弾も彼に見切られていた。

銃弾を華麗に交わし、錫杖を振るう。

2体同時に薙ぎ倒し、駆動音を消し去る。


 ダンッ!!


ビクターが奥から迫る影をスナイパーで撃ち抜いた。


「おい、あぶねえぞ」


「ふっ、お前の出る幕ではないわい」


お前など敵でないと言わんばかりに、ノールックで最後の一体を倒しながら言った。


「やったか?」


「ああ、もう敵はおらん。

 敵はな…」


ジンは女の死体を見つけた。

そのオレンジ色のランプの下にいたのは、クリスの死体だ。

ビクターが首元に指を当てた。


「この死体、冷たいが、まだ腐っていない。

 それにこの女、昨夜ターミナルで見かけたな

 確か、クリスといったか」


「聞こえる、魂の叫びが。

 このものが最後に抱いた感情、それは、後悔だ」


そのまま両手を合わせ、念仏を唱え始めた。

ビクターはその側、周りに散らばったドロイドを見て言う。


「なんでこんなところにやって来たんだ?

 それに、このドロイド、ずっとここにいたみたいだぞ。

 妙だな」


「お前にはわからんか…

 見ろ、この真っ二つに斬られた拳銃を」


「それがどうした?」


「これはボストン市警の拳銃だ。

 ここにもう一人いた」


 ジンは淡々と言った。

 そして、暗闇の方向に向かって歩き出した。


「行くぞ、神が導くところへ…」

 

  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「待て、説明になっていないぞ」


ジョシュが言った。

お坊さんの説明が終わったようだが、つまりどう言うことだ?


「おれが話すよ。

 その1、クリスという女がドロイドに殺された。

 その2、そこにもう一人いた人物がどこかへ消えた。

 その3、ニューヨークは無事だ」


ビクターがジンの代わりに端的に答え、こちらの話とようやく合流した。

やはり裏切り者はクリス、それを追ってエミリーが捕まった。

そして、ニューヨークが無事だということは、これが裏切りの対価なのだろう。

ベンの方を見た。

眉間に寄せた皺、大きく見開いた目、怒り狂っているのがよくわかる。

信頼していた仲間に裏切られ、愛する人を捕らえられた。

その怒りは、容易に想像できる。


「とにかく、グランドセントラルが無事だということが重要だ。

 今すぐ帰って、食料を届けよう」


「ダメだ!エミリーが間に合わない…」


ベンが叫んだ。

エミリーを助け出すには俺が犠牲に必要がある。

俺はもう、とっくに死ぬ覚悟はできているよ…

でも…でもさ。

タダで死ぬわけには、行かねえよな。


[×CALCULATION:ロード中…完了]


「みんな、俺に作戦がある…」


俺がそういうと、全員が揃って俺を見た。

明日の午前5時、作戦を決行する。

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