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ENDEAST:転生ドロイドの記憶《キルログ》  作者: 桜乃孤坐
第1章 自由の残響:転生篇

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LOG.09 少女の面影、そして母親

物流センターから5台のトラックを飛ばし、

西のコーンベルトに向かった。

出発して間もないため、

外はどこまで行っても廃墟だった。


ルナは運転席にいて、

俺たちは荷台に、

カルは出発まもなく眠った。

ジョシュとの約束をちゃんと守る、

素直でいい子だな本当。


対して、

ベンの仲間らしき3人はただの居眠りか?

緊張感がないやつだな。

 

ベンとかいう元警察官はというと、

無言でソワソワしてるみたいだな。

もうすぐ父親になるなら当たり前か。

だが、俺はこの空気に耐えられず、

つい口にしてしまった。


「お腹の子、男の子?それとも女の子?」


ベンはこちらをじっと見た。

俺、なにかまずいこと言ったか?

ジョシュも何してんだお前、

っていう目でこっちを見る。


「おい。

 コイツ、本当にただの荷物持ちなのか?」


しまった。

そういうことになってるんだった。

まずい、なんて言い訳する…


「ああ、コイツは…子供が好きなんだ。

 アンドロイドはみんなそうだ。

 子供を殺したところを見たことがない」

  

ジョシュがしどろもどろに言ったが、

流石にそれは無理がある。

ベンはぐっすり眠るカルの方を見て行った。


「この子のお友達が殺されたって言ってなかったか?」


まあそりゃそうなるよな。


「ああ、それで、どっちなんだ?」


ジョシュはゴリ押した。

すまん。


「まあ、いいか。

 実は、まだわからないんだ。

 臍の緒が絡まっててな。

 だから、まだ名前も決めれてない。

 明日にでも生まれそうだから、

 今日は早めに帰りたいところだけど、

 軍隊が全滅して、

 俺なんかがリーダーになっちまった。

 そんな悠長なこと言ってられんな」


日の出前で外はまだ暗い。

だが、建物の高さが徐々に低くなっていくのがわかる。

もうすぐ郊外だろう。

俺は、複雑そうなベンの顔を見兼ねて、再び余計な口を開いた。


「こう言う時ぐらいは、

 家族を優先してもいいんじゃない?」


家族を持ったことも、リーダーになったこともない俺が言うのもなんだけど、本当はそばにいたいに決まってる。


「正直、まだ戸惑ってる。

 本当にこの世界で父親をやれるのか、自信がない。

 警察官なのに情けねえよな」


複雑そうな顔が悪い方向に傾いてしまった。

ここはいい話題を引き出さないと。

すまんなジョシュ。


「どうして、警察官になったの」


「ああ、それは…」


ベンの顔には笑顔が浮かんだ。

作戦成功かな。


「…彼女の影響だ。

 世界が滅びたあの日、

 エミリーは迷子の女の子を連れていたんだ。

 俺はただの無気力な学生で、

 それを見て驚いたよ。

 こんな時に他人の心配なんかしてる場合か?

 って。

 でも、彼女みたいになりたいと思った」


「それがなり初め?」


「まあな」


彼がどれほどエミリーを愛しているのか、

言うまでもないか。


「その女の子がどうなったかは知らないが、

 無事だといいな…」


ベンは懐かしむように目を細め、夜明け前の白み始めた空を見上げた。


  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


[×MEMORY:44TD1PS]


——2046年9月7日グランドセントラル地下通路——


空のない、厚いコンクリートの天井。

オレンジ色の非常用ランプが光るその下で、

ボストンの生き残りクリスと、黒人の女が密談していた。

エミリーはその様子を非常ドアの隙間から覗き見た。


「奴らはどこに向かった?」


「その前に、約束してくれるんですよね。

 今後5年間、

 グランドセントラルとヒルズには立ち入らないと」


「もちろんだ。

 部下たちにそう命令するよ。

 それで、奴らはどこに行くつもりなんだ?」


「オハイオ州のリスボンです。

 食料の調達に…」


その黒人が機械であることにようやく気がつくと、エミリーは大きなお腹を抱えつつ、コートの内ポケットから拳銃を取り出した。


「そこまでよ!」


銃口を黒人に向けたが、後ろにはE3ドロイドが複数体いた。

暗くて気づかなかったのだ。

E3はエミリーに向かってガトリングガンを放とうとした。


「待て!そいつは殺すな…」


カミラがそう言い放つと、E3は静止した。

エミリーは震えた声でクリスに問う。


「どうして?

 なんでコイツらに…」


「本当にごめんなさい。

 でも仕方がないの。

 あなたも母親になるならわかるでしょ…」


涙ぐんだ声で言う。

エミリーは知っていた。

クリスティーナ・モーリスのことを。


彼女は16歳でレオを産んだ。

直後に夫は戦死。

ここまでたった一人、命懸けで育ててきたのだ。


だがそれと同時に、人類を、仲間を裏切ることの代償を、エミリーは知っていた。


彼女は銃口をクリスに向け、母親のような口調で言った。


「そんなことのために…

 あの日、あなたを助けたんじゃない…」


あの日、命懸けで救った髪の長い少女の面影は、もうどこにもなかった。


クリスの目から一滴の涙がこぼれ落ちる。

だが、その機械は…それを笑った。


「はっ、実におもしろい」


 パーン!!


乾いた銃声が、トンネルに響いた。


「ああぁぁああ!!!」


エミリーはコンクリートの床に倒れた、かつての少女に駆け寄った。

こめかみから溢れ出す赤い血を、手で覆い…


「どうして…

 どうして殺したの!!」


「すまないな、人間。

 だが、考えてみろ。

 そいつは人類を裏切ったのだぞ。

 私はお前たちの代わりに罰を与えてやった。

 ただそれだけだ」


エミリーは瞬時に銃口を向けた。

が、引き金を引くよりも早く、視界が赤く閃いた。


 ガキンッ!


カミラはその銃を銃身ごと切り裂いていた。

この機械が持つ短剣は赤く光り、彼女の残酷さを物語った。


「この妊婦を連れて行け!

 B26を誘き出すための保険だ。

 死体の方は……

 このまま放置しておこう」


E3ドロイドが死体の周りに群がり、それを見下した。


エミリーはクリスの見開いた目をそっと閉じた。

まだ温かい彼女の頬にキスをすると、お腹を抑え、彼女に誓った。


そして、エミリーは奴らの腕に掴めれ、引きずられていく。

トンネルの闇、さらにその奥まで…

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