第三十五話:管理局・乙女の会談(あるいは聖戦)
管理局の応接室。そこには、これまでの激戦でも見られなかったような、張り詰めた空気が漂っていた。
円卓を囲むのは、如月、ベルフェリエ、桃華、シロ。そしてその中心で、優雅に紅茶を啜る「ツノの生えた美少女」こと、結である。
「……さて。お兄ちゃんの同僚の皆様? お集まりいただき感謝します。私は九条家の長女として、兄を支える皆様の『適格性』を判断しに来ました」
結が不敵に微笑むと、如月が音もなくカップをテーブルに置いた。その衝撃で、ソーサーにヒビが入る。
「……結様。九条様の『適格性』を管理するのは、秘書であり事務官である私の職務です。妹君とはいえ、業務領域への不当な介入は看過できません」
「あら、事務官? 家族の絆に勝てる書類なんて、この世に存在するのかしら? 私なんて、お兄ちゃんと同じお風呂に入っていた仲(※5歳まで)なのよ?」
「お、お風呂だとぉっ!?」 桃華が椅子を蹴り飛ばして立ち上がる。「俺だって旦那の背中くらい……流したことはねえが、心臓は預け合ってる仲だ! 家族だからって、旦那を独り占めさせるわけにゃいかねえ!」
「……あの、あのっ! わたし、レンさまとおなじベッドで、クンクンしながら寝てます……!」 シロが純粋な瞳で爆弾を投下すると、場にさらなる衝撃が走った。(※実際は足元で丸まっているだけである)
「シ、シロさん!? それは業務外報酬の過剰受領よ!」 ベルフェリエが赤面して叫ぶ。「大体、九条さんはこの世界のバグを治すために必死なの! 家族の情に絆されて、判断が鈍るようなことがあっては……!」
「ふふん。お兄ちゃんはね、昔から真面目すぎて、私が甘やかしてあげないと壊れちゃうの。……いい? あなたたちが『お仕事』をしている間、私は『癒やし』を与える。……お兄ちゃんの隣、空けておきなさいよね」
結の角が黄金色に輝き、如月の瞳が事務的な殺意で紺碧に燃える。 その時、ドアが静かに開き、バインダーを手にした蓮が入ってきた。
「……皆さん、こんなところで何を。結、あなたの『特別嘱託職員』としての雇用契約書が完成しました。内容は『オフィスの浄化』と『害虫(不法侵入者)の排除』。……あと、私の執務室への立ち入りは、原則として許可制です」
「「「「……ナイスです、九条様(旦那・レンさま)!!」」」」
結以外の全員の声が重なった。 「ええっ!? お兄ちゃん、私へのガードが硬すぎない!?」
結のブラコンパワーを事務的正論で封じ込めつつ、管理局の平穏(?)を守るための戦いは、まだ始まったばかりだった。
後書き
はい、発送課の女神です!
もう、応接室の室温が上がりすぎて、冷房魔法が追いつきません! 結ちゃんの「お風呂」爆弾に対抗する、シロちゃんの「添い寝(?)自慢」。 そして如月さんの、事務員としての意地……。 九条くん、あなた本当にモテすぎですよ!
でも、最終的に「執務室への立ち入り制限」という、 一番効果的な事務手続きで結ちゃんを牽制するあたり、 やっぱり九条くんは、どんな最強の聖獣よりも「ルール」が最強だって分かってますね!
さて、次回! 「管理局、初の社員旅行! 〜行き先は『魔界の温泉』、九条蓮を巡る水着の査察が始まる〜」
慰安旅行という名の一大イベント! 混浴、覗き(カゲミツ)、そして温泉卵の原価計算……。 九条くんのバインダーに、新たな「旅の思い出(在庫)」が刻まれます!
お楽しみに!




