第三十三話:九条家、集結。〜聖獣と騎士と事務員〜
闇オークション会場の「清算」を終え、管理局へと戻る蓮たちの前に、一筋の聖なる光と、地響きのような蹄の音が迫っていた。
「待てェーッ! その『闇の聖女(父)』と『謎の執事(母)』を確保するのは、我ら帝国騎士団の役目だ!」
土煙を上げて現れたのは、黄金の甲冑に身を包んだ威風堂々たる集団。その先頭に立つのは、帝国最強と謳われる騎士団長、九条 勇……蓮の長兄であった。
「……兄さん。相変わらず、暑苦しい登場の仕方ですね」 「蓮か! 貴様、こんなところで何をしている! 事務仕事はどうした!」
勇は前世でも「猪突猛進な自衛官」だったが、異世界でもそのまんまの性格で騎士団長に登り詰めていた。彼だけは性別も種族も変わっていないが、中身の「ガチ勢」っぷりが加速している。
しかし、一同の視線は彼の隣に釘付けになった。 勇が跨っているのは、純白の毛並みに黄金の角を持つ伝説の聖獣――ユニコーン。だが、そのユニコーンは、蓮の顔を見た瞬間に「ヒヒーン!(お兄ちゃん!)」と叫び、猛烈な勢いで蓮に突進して、その角を蓮の脇腹にグリグリと押し付けた。
「……痛いです、離してください。……まさか、妹の結ですか?」
カゲミツが影から這い出し、もはや笑いすぎて酸欠状態になりながら解説を始める。
「大正解ですよ九条様! 末っ子の結ちゃん、前世では『お兄ちゃん大好きっ子』でしたけど、『もっと清らかな存在になって、お兄ちゃんの悪い虫を追い払いたい!』って願ったら、清らかさの象徴、ユニコーンになっちゃったみたいで! しかも『処女(きよらかな乙女)』にしか懐かないはずなのに、なぜか兄さん(勇)と蓮さんにだけはベッタリ! さっきも勇さんの股間で『お兄ちゃんの太もも、最高!』って顔を擦り付けてましたよ!」
「ヒヒーン! ブルルッ!(カゲミツ、バラすな! 殺すぞ!)」 ユニコーン(妹)が角から聖なる雷を放ち、カゲミツを黒焦げにする。
「……勇兄さんに、結か。父さんと母さんも、そこにいますよ」 蓮が指差すと、騎士団長(長男)は「美少女(父)」と「イケメン執事(母)」を見て、持っていた聖剣を落とした。
「……父上!? なぜそんな……可憐な姿に! そして母上、そのイケメンぶりは何だ! 俺よりモテそうじゃないか!」
「勇、お前も相変わらず筋肉バカだな。……まあいい、これで九条家が全員揃ったわけだ」 美少女(父)が腕組みをして頷き、イケメン執事(母)が優雅に全員分のお茶を用意する。
帝国騎士団、魔王軍、管理局、そして聖獣。 異世界の主要ポストを九条家が完全に「身内」で固めてしまった瞬間、この世界のパワーバランスは事実上、「九条家のリビング」へと移行した。
後書き
はい、発送課の女神です!
もうダメです、笑いすぎてお腹が痛いです! 九条家、これでフルメンバーですね。 ・父:美少女(闇の元締め) ・母:イケメン執事(最強の影) ・長男:騎士団長(ただの筋肉) ・次男:事務員(この物語の主人公) ・長女:ユニコーン(重度のブラコン)
……どんな家族構成ですか!? 特に結ちゃん、ユニコーンになってまでお兄ちゃん大好きオーラが隠せてません。 如月さんなんて、伝説の聖獣(妹)という「絶対に勝てないライバル」の登場に、 「……角を折れば、ただの馬……?」と不穏な独り言を呟いてましたよ!
さて、次回! 「九条家の家庭内紛争、勃発!? 〜世界を揺るがす兄妹喧嘩を、次男が事務的に仲裁する〜」
家族が揃えば、揉め事も世界規模。 蓮くんのバインダーに、新たな「家庭内在庫」が積み上がります! お楽しみに!




