第三十話:闇オークションの主と父との再会
「……さて、シロ。準備はいいですか。父……九条厳吾が守ろうとした『秩序』を、ここで示しましょう」
「はい、レンさま! におい……します! 悪い奴らのにおいと……あ、あれ!?」
闇オークション会場、豪華絢爛なシャンデリアが輝くホール。 シロがクンクンと鼻を鳴らした瞬間、彼女の尻尾が激しく、それこそプロペラのように回転し始めた。
「レンさま! このにおい……おじさんです! 会場の奥……一番豪華なイスに座ってる美少女から、おじさんのにおいがプンプンします!」
「……は?」 蓮の冷静な仮面が、今度こそ音を立てて割れた。
会場の中央、黒いドレスを纏い、冷徹な美貌で参加者を圧服している少女。 名を『闇の聖女・イザベラ』。この界隈を牛耳る新進気鋭の支配者。 だが、カゲミツが影から這い出してきて、腹を抱えて爆笑し始めた。
「ギャハハハ! 九条様、これ最高! あのイザベラ様の中身……九条厳吾さんですよ! 転生する時に『悪を根絶やしにする力が欲しい』って願ったら、なぜか『闇社会を掌握して自浄作用を起こさせるための美少女支配者』になっちゃったみたいで! 今、心の中で『……あぁ、早くこの仕事(闇の元締め)終わらせて、ビール飲んで野球の結果が見たい』って、おっさん丸出しのこと考えてます!」
「……。………………父さん?」 蓮が呆然と呟くと、壇上の美少女(父)がビクンと肩を震わせた。
「……ッ!? その声、まさか蓮か!? 馬鹿な、なぜこんなところに……。いや待て、今の私は美少女だ、威厳を保たねば……。コホン! 何者だ貴様、不敬であろ——」
「父さん。その『ネクタイを緩める時の癖』で髪をかき上げるのをやめてください。……あと、言葉遣いが警察官時代の報告書っぽくなっています」
「……うぐっ。バレたか……。蓮、大きくなったな……。というか、お前まで転生して事務員なんてやってるのか? もっとこう、勇者とかあっただろう!」
「事務員(管理局)の方が、犯罪検挙率は高いですよ。……さて、父さん。あなたのやっている『闇オークション』、不当な生体売買の疑いで査察に入ります。……親子だからといって、事務手続きは手加減しません」
「……相変わらず堅苦しい奴だな。だが安心しろ、ここにいる『在庫』たちは、私が保護するために形だけ買い占めていた、更生待ちの連中だ」
美少女の姿をした父と、無機質な事務員の息子。 そしてその周りで狂喜乱舞する元警察犬。 カオスすぎる家族再会により、闇オークションは一瞬で「九条家・親族会議」の会場へと変貌した。
後書き
はい、発送課の女神です!
もう、展開が予想の斜め上……いえ、垂直跳びで成層圏まで行っちゃいましたね! 九条くんのお父様、まさかの「闇を牛耳る美少女」として転生していただなんて。 しかも中身は「ビールと野球」が好きな熱血デカのまま。 九条くんの冷静さが、物理的に崩壊していく音が聞こえましたよ!
でも、お父様。美少女の姿で「蓮、大きくなったな」って……。 ハタから見れば、年下の女の子が年上の男性を可愛がってる、 かなり危うい光景に見えて如月さんたちの目が死んでました。 シロちゃんだけが「おじさーん!」って大喜びで、 カゲミツくんは「ネタの宝庫だ!」って一生分笑ってますね。
さて、次回! 「九条家の共同戦線! 〜美少女(父)と事務員(息子)、闇の組織を合法的に解体して更生施設を作る〜」
親子で挑む異世界の浄化! でも、お父様(美少女)に言い寄る悪い貴族たちを、 蓮くんが「事務の鉄槌」で排除する、複雑な親子愛(?)が見られそうです。 お楽しみに!




