第二十六話:強制労働監査、終了! 〜ブラック企業の最期〜
「な、なんだこの書類は!? 勝手に俺の会社の資産を凍結するな!」
悪徳社長が叫ぶが、蓮のペンは止まらない。 背後では桃華が、襲いかかってきた用心棒(営業最後通牒担当)たちを「ゴミの分別」と称して次々と中空へ放り投げている。
「悪徳さん。あなたが転生時に授かったチートスキル『絶対服従の契約』……。これを利用して、転生者たちの魂を不当に縛り、労働力を搾取していた証拠は揃っています。……如月、例のものを」
「はい。こちら、被害者百二十名による『集団訴訟受任通知書』、並びに管理局特選の『契約無効化呪文書』です」
如月が掲げた漆黒の魔導書が発光し、悪徳社長の手元にあった大量の契約書が、一瞬でただの塵へと変わった。
「あ……あぁっ! 俺の契約が! 俺の金がぁぁぁ!!」
「さらに、斉藤さん……シルバーセンター長への前世からの未払い賃金、及び慰謝料。これを現在の異世界通貨に換算し、さらに遅延損害金を含めると……。おめでとうございます、あなたの個人資産では一生かかっても返済不可能な金額になりました」
蓮は冷徹に告げ、ガクガクと震える悪徳社長の胸元を指さした。
「シルバーさん。……彼への『最後通牒』は、あなたが下すべきです」
シルバー(斉藤さん)は、一歩前へ出た。かつての恐怖に震えるライン工の姿ではない。今は管理局の物流を支える、誇り高きセンター長の姿だ。
「……悪徳社長。あなたはいつも言っていましたね。『代わりはいくらでもいる』と。……その言葉、そのままお返しします。あなたが始めたこのブラック企業に、あなたの代わりはいません。……これからは、私が管理する冷凍倉庫の『霜取り担当』として、その身で冷たさを学んでください!」
「ぎゃああああ! 寒い! 寒いのは嫌だぁぁぁ!!」
絶叫する悪徳社長は、そのまま桃華の手によって「マイナス四十度の霜取り現場」へと強制連行されていった。
「……九条主任。私、ようやく前世の呪縛から、本当の意味で『更生』できた気がします」
シルバーの晴れやかな笑顔に、蓮はわずかに口角を上げ、バインダーを閉じた。
「……そうですか。では、明日の朝礼から遅刻しないように。管理職には責任が伴いますから」
後書き
はい、発送課の女神です!
スカッとしましたねー! 悪徳社長、前世のツケを異世界で(しかも冷凍倉庫の霜取りで)払わされるなんて、自業自得とはまさにこのこと。 シルバーちゃんも、自分の手で過去にケリをつけられて、本当に良かったです。
でも、九条くん。 「一生かかっても返済不可能」って笑顔(?)で言うのは、 やっぱり誰よりもドSですよね! 如月さんも「あの冷たい瞳、ゾクゾクします……」って、 また別の意味で更生が必要そうな顔をしてましたよ。
さて、大きなブラック企業も潰して、異世界の労働環境は劇的に改善! ……と思いきや、次なる問題が発生。 あまりにもホワイトな職場が増えすぎて、 「異世界全体が、九条蓮を崇める『公務員教』になり始めている!?」
次回、第二部・終盤! 「信仰の対象は事務員!? 〜九条蓮、神格化を阻止するために自分の評価を下げる〜」
九条くん、まさかの「有能すぎて困る」事態に!? お楽しみに!




