第6話:神界解体! 宇宙最大のオークション、開催です
「……以上が、本日競売にかける『天界・不要資産リスト』です」
蓮がバインダーを開くと、天界の大広間には異世界の有力な商人、魔王軍の経理担当、そして他世界の投資家たちが所狭しと集まっていた。 壇上には、縄で縛られ、口に「検品済み」のシールを貼られたゼウスと女神が、涙目で転がされている。
「九条……貴様、ついに神宝だけでなく、俺たちの『座』まで売りに出すというのか……!」
「座ではありません。『未利用の過剰在庫』です。ゼウス様、あなたは先ほどのクレーム処理を500件残して居眠りしましたね。その債務超過分を補填するため、あなたの『全宇宙・雷権』を競売にかけます」
蓮が合図を送ると、カゲミツが黄金の箱に入った「パチパチと鳴る雷の種」を取り出した。
「さあさあ、始まりました! これさえあれば誰でも全知全能の雷が撃ち放題! 初期設定済み、神のサイン入り! 開始価格は金貨一億枚から!」
「一億五千万!」「二億だ! 我がドワーフ国の発電用にする!」「いや、魔王軍のバーベキューの火種に三億!」
「三億で落札。……如月さん、速やかに雷の権限をゼウス様から剥離し、納品してください」 「承知いたしました。……少々『電気信号』を無理やり引き抜きますが、ゼウス様、事務的な痛みですので我慢してくださいね」
「ぎえぇぇぇぇぇ!!」
ゼウスの叫びと共に、彼の神威が物理的に剥ぎ取られ、魔王軍の台所担当へと手渡される。
「続きまして、発送課の女神様の『特別個室』および『限定フィギュアコレクション』。こちらは……あぁ、管理状態が悪いため、『ジャンク品』として一括処分します」
「う、嘘でしょ!? 私の限定版“異世界の聖女・水着Ver.”がジャンク扱いなんて! 九条くん、せめてプレミア価格をつけてよ!」
「公式な鑑定士(如月さん)の評価は『ただの樹脂の塊』です。……カゲミツ、次。天界の『空き部屋』を格安賃貸として貸し出す広報を。魔族の皆さんの移住特区にします」
「了解! 天界なのに魔族が住む『ハイブリッド・ヘブン』、入居予約殺到中でーす!」
天界が解体され、神々の威光が「日銭」へと変わっていく。 蓮は無表情に、バインダーの赤字が少しずつ黒字へと転換していくグラフを見つめていた。
「……さて。これで負債の30%は回収できました。残りの70%は――ゼウス様。あなたの『肉体』を労働力としてレンタルすることで補填していただきます」
「……は? レンタル……だと?」
「ええ。他世界の農地開拓、及び土木作業員として。神の肉体なら、二十四時間無休で働けますからね。……如月さん、ゼウス様の派遣登録(首輪の装着)を」
九条蓮の「監査」は、神をただ倒すのではなく、神を「社会の歯車」として再利用するという、究極のリサイクルへと到達していた。
今回の後書き:女神(発送課・現ジャンク品扱い)
……ひどい。ひどすぎるわ。 私がコツコツ集めたフィギュアが、一括で「金貨10枚」の価値しかないなんて。九条くん、あなたに審美眼というものはないの!?
ゼウス様なんて、今や「神」じゃなくて「自走式の土木工事マシン」として、お隣の世界の荒野に飛ばされちゃったし。 天界のロビーでは、魔族の子供たちが走り回ってるし……私のオフィスは、如月さんに「資料保管室」にリフォームされちゃったわ。
でも、もっと怖いのは九条くんのあの顔よ。 「これでようやく、一週間分の残業代が確保できましたね」って……。 あなた、もしかして私たちが全部売れるまで、監査を止めないつもり!?
次回、『監査終了!? しかし九条蓮に「真の定年」は訪れない』 お楽しみに……誰か、私を買い戻してぇ!




