第4話:最高神、現場へ。クレーム対応の荒波に消ゆ!
「……ゼウス様。研修(朗読)の第一段階は終了です。ですが、知識は実践で使えなければ意味がありません」
蓮は、疲れ果てた最高神の前に、一足の「事務用サンダル」と「名札」を置いた。 名札には、金文字で『実習生:じぇうす』と書かれている。
「な……九条。今度は何だ。俺に、この安っぽいプラスチックの履物を履けと言うのか?」
「実習ですよ。現場を知らない経営者に、まともな判断はできません。本日、あなたは管理局の『勇者不始末・特別苦情処理窓口』に配属されます」
「苦情処理だと? この全宇宙の支配者である俺に、下等な人間や魔族の愚痴を聞けというのか!」
「いいえ。あなたがこれまで適当に送り込み、現地で暴れさせた『欠陥転生者』たちのせいで、人生を狂わされた被害者たちの“怒りの請求書”を受け取っていただくんです」
蓮が扉を開けると、そこには天界まで届くほどの長蛇の列ができていた。 かつてゼウスが「面白そうだから」とチートを与えて放り出した勇者が、村を焼き、畑を荒らし、挙句の果てに恋人を奪った……そんな被害者たちの怨嗟の声。
「さあ、如月さん。ゼウス様が席を立とうとしたら、即座に『物理的な減給』をお願いします」 「承知いたしました。……首筋の神経を、少しだけ『差し押さえ』ておきましょう」
「ひっ……! 待て、分かった、座ればいいんだろう!」
ゼウスが窓口に座った瞬間、第一の相談者が怒鳴り込んできた。 「おい! あの『爆焔の勇者』のせいで、俺の家は全焼だ! 神様だかなんだか知らねえが、どう責任取ってくれるんだよ!」
「……ふん、家の一軒くらい、俺の雷で新しく――」 「――ゼウス様」 蓮の冷たい声が響く。 「『力による解決』は禁止です。相手の言い分を正確に聞き取り、天界の予算から適切な『損害賠償額』を算定し、誠心誠意の謝罪を行ってください。一回でも逆ギレしたら、残業一万年追加です」
最高神の震える手が、慣れない万年筆を握りしめた。 かつて雷を下していたその手で、今は「謝罪文」を書かされる。 九条蓮による、神への「魂の減資」が加速していく。
今回の後書き:ベルフェリエ(魔王軍幹部・現管理局協力者)
お疲れ様です! 魔王軍のベルフェリエです。 いやー、まさか最高神ゼウス様が、私たちがいつも胃を痛めながら捌いていた「勇者のクレーム」を直接受けることになるとは……。 正直、あの傲慢な爺様が「申し訳ございません」って頭を下げた瞬間、長年のストレスが50%くらい解消されました!
九条さん、本当に性格が悪い……いえ、徹底されていますね。 如月さんが後ろで「首を傾けたら首を飛ばす」みたいな顔で監視してるのも、実習の緊張感を高めていて素晴らしいです。
さて、ゼウス様の謝罪行脚はまだ始まったばかり。 次はどんな「被害者の会」が乗り込んでくるのか、管理職として楽しみ(?)です!
次回、『天界倒産!? 差し押さえられた聖域と、女神の逆襲』 お楽しみに!




