第14話:大送還(グランド・デリート)と神の計略
「笑わせるな! 俺たちは神に選ばれた『最強の七人』だぞ!」
強制送還の濁流を真っ向から押し返し、七人の転生者が現れた。 だが、蓮はバインダーをめくり、一度も目を上げずに告げる。
「最強……。あぁ、損害賠償額の『ワースト七名』ですね。如月さん、ベルさん、桃華、カゲミツ。――ゴミの分別をお願いします」
「承知いたしました、九条様。非効率な輝きごと、粉砕いたします」
如月の手刀が『金剛の勇者』の無敵の肉体を物理法則ごとへし折り、上空ではベルが「著作権侵害」の公式文書を突きつけて『魔導王』の全魔法を「違法ダウンロード物」として強制削除した。地上では桃華が拳一つで三人の勇者を地層の深くまで埋め戻し、影ではカゲミツが残りの二人に「前世の黒歴史」を全世界放送して精神を崩壊させる。
わずか数分。 広場には、蓮の前に唯一人立ち尽くす『救世主』を自称するリーダー、天界から直接加護を受けたという『神光の勇者』だけが残された。
「……貴様、何様のつもりだ。俺は女神から直々にこの世界を任されたんだぞ!」
「女神から、ですか。……おかしいですね」 蓮は一歩踏み出し、バインダーに挟まれた**『天界・資産整理計画書』**を突きつけた。
「――『翻訳不全』。神域照会」
勇者の脳内に、あまりにも残酷な「天界の会議室」の風景が流れ込む。
そこには、ため息をつきながらシュレッダーに『勇者の履歴書』を放り込む女神の姿があった。 『あーあ、この子もハズレ。維持費がかかるから、適当に九条くんに処分させよっと』 勇者が信じていた「神の加護」の正体は、ただの**「廃棄予定の試供品」**に過ぎなかった。
「う、嘘だ……。俺は、愛されていたはずだ……!」
「愛ではなく、単なる『過剰在庫』です。あなたの輝きは、世界を救う光ではなく、ただの電力消費の無駄だったんですよ」
蓮がバインダーを閉じ、冷徹に「返品」のスタンプを虚空へ押した。 その瞬間、空に巨大な「シュレッダー」を思わせる次元の裂け目――大送還ゲートが出現する。
「九条です。不良在庫の一次回収、完了しました。……女神様、ゲートの『廃棄先』は地球のハローワークでよろしいですね?」
空から、女神の軽やかな、それでいて血の凍るような笑い声が降ってきた。
『あはは! さすが九条くん、仕事が早いわね。……でも、本当の「棚卸し」は、これからなのよ?』
ゲートが唸りを上げ、数千人の転生者たちが、絶叫と共に光の渦へと飲み込まれていく。 それを見送る蓮の瞳には、安堵ではなく、更なる「理不尽な残業」への予感だけが宿っていた。
【後書き】
はい、天界の発送課です! 九条くん、ついに「最強の七人」を文字通り在庫処分しちゃいましたね。 勇者くんたち、自分が「神に選ばれた」って信じてたみたいですけど……。私たちからすれば、ただの「発送ミス」か「おまけ」程度の存在なんですよね。
でも、九条くんが気付いた通り、今回のプロジェクトは単なるリストラじゃありません。 次元のゲートをこれだけ大きく開いたのは、実は『新しい在庫(世界のリセット)』を運び込むため……おっと、これ以上は社外秘でした!
次回、『定年退職はまだ遠い! 女神の「異世界合併吸収(M&A)」を却下せよ』。 九条くん、ついに神を相手に「訴状」を書く!? お楽しみに!




