暗闇の果てに
捏造とキャラ崩壊待ったナシです!
苦手な人は回れ右してね!
それでは続きをどうぞー!!
イシュガルドに来てから数日が経った。
傭兵の仕事はこちらでも相変わらずタンク職が不足しているのか選びたい放題でお陰様で寂しかった懐事情は解消されつつあった。
「ふぅ。だいぶと稼げたぁー。これで暫くは持ちそうかな」
「クェ‥クェェェ…(おい、俺の飯忘れるなよ)」
餌を買い忘れるなよと言わんばかりの鳴き声だ。
「大丈夫だって!ちゃんと買っとくからさ!!だいじな相棒のご飯を忘れるわけないじゃーん!!」
という私は過去に買い忘れてる事が何度かあり、その度にkrsnaに蹴りを入れられている。
「……(信用してないような目で睨むkrsna)」
「ちょ、怖いって!獣舎行ったときにちゃんと買うから睨まないでぇぇ」
そんなやり取りをしていると、後ろから声をかけられる。
「またやってるのかお前らは。よっぽど仲がいいんだな。」
驚き振り向いてみると、竜騎士エスティニアンが立っていた。
「エスティニアン!!すごい久々じゃない??元気してた??」
「まぁ、何とかな。お前らは…まぁ、聞かなくても分かるくらいに元気そうだな。」
なによーそれ!と笑いながらイシュガルドへと戻る支度をし、エスティニアンにも一緒に帰らないかと声をかけてみた。ちなみにエスティニアンと会うのは半年ぶりで、初めて会ったのはアイメリクとの晩餐会だった。
「これからイシュガルドに戻るんだけど、一緒に帰らない?」
彼は後ろを振り返り空を軽く見上げて少し考え、「あぁ。」とだけ返事をし、私達と一緒にイシュガルドへ帰還した。
お互い会って居なかった期間に何をしていたのかという冒険者ならではの会話に花をさかせたまま、重い門扉をくぐりイシュガルド下層に戻ってきた。
すると、奥からタタルちゃんが走ってくるのが見えた
「あれ?タタルちゃんだ。どうしたんだろう。」
彼女は息を切らして私の所までやってくる。かなり慌ててるようだったので、話を聞いてみる事にした。
「そんなに走ってどうしたの?もしかして、ずっと私の事探してた??」
「そうなのでっす!ツキクサさんと…。えっと、貴方がエスティニアンさんでっすよね?貴方にも関わるお話なのでっす!なので、お二人とも!神殿騎士団の会議室までお越しくださいまっせ!アイメリク様がお待ちしてまっす!」
「!?なぜ、お前、俺の事を知っている…。まぁ、いい。アイツが会議室に呼ぶ時は殆どが面倒事ばかりだ。今回も期待せず向かうとするか。それに、イシュガルド所属ではない冒険者のお前まで呼ばれてるなら尚更な。」
ニヤッと笑うように目線を向けてきたエスティニアン
「たしかに、面倒事のニオイがするよねぇ…。あ、タタルちゃん。早めにいった方がいいんだよね?」
「「至急皆を集めてくれ」と言われてるので、このまま、来ていただきたいでっす!」
「おっけー!わかった!じゃあ、krsnaを獣舎に預けちゃうね」
時間があればkrsnaを借りている家に置いてこようと思ったのに、流石に厳しかったか。
「krsnaごめんね!ちょっと寒いけど、獣舎で待ってて。あ、ギサールの野菜も買っとくね!」
krsnaは「へいへい」というような鳴き声を発して獣舎へと入っていく。
その後、アイメリクが待つ会議室へと合流した私達は衝撃な話を聞くこととなった。
_____神殿騎士団会議室にて
「よく来てくれた。エスティニアン、そしてツキクサ。」
私とエスティニアンは黙って頷く
軽く周りを見てみると、アルフィノ君とタタルちゃんとシド、そして1人見覚えのない人物がいた。
すると、私の目線に気付いたのかアルフィノ君が僕が皆に紹介しようと言ってくれた。
「この人は暁の灯火とも言える、光の戦士のミスリルという者です。彼女はあのアルテマウェポンも破壊したかなりの実力者なんです。」
私はただただ驚いた。暁に光の戦士がいる事は知っていた。むしろ、英雄と言われている人物だと認知していたがまさか生きていたとは。
不謹慎だけど、ロロリトの罠で死んでしまっていたと思っていた。今の今までのアルフィノ君達から英雄の話が出ていなかった事もあり、尚更だった。
「まさか、あの英雄とお会いできるなんて!私、月草 碧と言います。普通の冒険者ですがどうぞよろしくお願いします!」と、少し興奮気味に挨拶させて頂いた。
ミスリルさんはかなりクールなのか、「よろしくね」とだけ答えてすぐに視線をアイメリクへと変えてしまい、少しだけ淋しい気持ちになってしまう。
(おんなじ女の子同士で仲良くなれたらいいんだけどなぁ。)
「では、そろそろ本題へと入らせて頂く。単刀直入に言わせていただこう。イシュガルド教皇__ドールダンを止めてほしいのだ。あの方はイシュガルドの民を救うべく古代アラグ文明が眠っているとされる、魔大陸アジス・ラーの封印を解くつもりのようなのだ。表向き、ドラゴンを退ける為の力だと言っているが、実際はそうではないようなのだ。」
シドはマズイぞ言わんばかりに声をあげる。
「あの大陸は禁忌の技術が多すぎた為、封印されたんだぞ!その教皇は一体そこで何をするつもりだ?!」
アイメリクは両手の肘を机につき、手の甲の上に額を乗せて俯いたまま話を続ける。
「ドラゴンをも超える力…。まさに、神。つまりは、蛮神だ。あの方は古代アラグの技術を使い、蛮神になり、ドラゴンを滅ぼすつもりらしい。そして、イシュガルドの民をテンパード化し、反乱さえ起こさせないようにするつもりなのでは無いかと、我々は調査で突き詰めた」
アルフィノは黙って俯き拳を握っている
エスティニアンは腕を組み壁にもたれて居たがその表情は怒りと呆れが混ざっているようだった
アルフィノは決意したようで顔を勢いよく上げた。
「止めましょう。ドールダンがドラゴンとの戦争を終わらせたい気持ちは分かります。だが、そのやり方じゃまた新たな戦争が始まるだけだ!僕達はイシュガルドへ亡命させて頂いたお礼に何か出来ないかと思い、竜と共存できる道があるのではと彼女と一緒に探してきたのです!そして、見つけました!共存への鍵になる竜を。戦争を終わらせられるかもしれない、フレースヴェルグという竜を見つけたのです!」
アルフィノはミスリルさんとフレースヴェルグという竜を見つけ、話をしてきたという。
どうやら、その竜はニーズヘッグの兄であり、かつてシヴァという人間の女性と愛し合っていた竜だという。
正直よく見つけてきたなと思っていた。
暁の調査には毎度度肝を抜かれる。
「つまりは、そのニーズヘッグを止めて貰う為にフレースヴェルグに協力を仰ぐと?」
「えぇ。ツキクサさん。その通りです。兄であるフレースヴェルグに説得もしくは戦って貰えればニーズヘッグの怒りも少しは落ち着いてくれるのではと考えていたんです。そして、シヴァの心を継ぎし者イゼルという女性の手も借りてヴィゾーヴニルというフレースヴェルグの娘竜も説得に協力してくれています。なので、我々が竜と共存の道を見出してかけているのに、ドールダンの手によってその道を潰されようとしているのであれば、絶対に阻止しなければならない!」
あぁ…これは、エスティニアンが怒りそうだなと彼の方を見ると、拳を握り震わせている。
案の定キレていた。
「竜と共存だと?何をふざけた事を…。あいつらと何年何百年何千年と戦争をしてきたんだぞ…。確かに、過去に歩み寄ろうとした事はあったらしいが、それも結局竜の裏切りで再び戦いが勃発した…。無理なんだよ…!あいつらは殺す事しか頭にない獣だ!共存だの寝言は寝てから言うんだな!」
彼は会議室の扉を乱暴に開いて部屋から出ていってしまった。
無理もない。
彼は家族を竜に殺されているのだ。
復讐の相手と共存だなんてそう、やすやすと飲み込める話ではなかった。
アルフィノはエスティニアンの反応に驚きそして、傷ついてしまったのか、再び下を向いてしまう。
見かねたアイメリクがエスティニアンの過去を少しだけ話し、最後まで聞いたアルフィノは申し訳なさそうな顔をしていたが、共存の道を諦めたくはないと言い切ったのだった。
アイメリクもまた共存への道へは賛成しているようで、トールダンを止めたあと、暁に協力すると申し出でていた。
私も即答はせず少し考えてから皆に意思表示をする。
「竜との共存はちょっと規模が大きすぎて安易に手伝うよ!って言えないかな…。そもそも、言った所で私は光の戦士ではないから、大した力にはなれないと思うんだよね。でも、人間相手ならまかせてほしい!みんなでトールダンを止めよう!」
オルシュファンも私に続いて、「私も微力ながら手助けさせて頂く!!フォルタン家の名に掛けてな!」
アイメリクは私達の答えにとても嬉しそうに微笑んでいた。
その後、教皇庁強襲作戦会議が行われ、皆に敵情報や
内部の設計図を共有し、迅速に制圧出来るように頭に叩き込んでいく。
「作戦の決行は明日の朝だ。皆心して準備をしておいてくれ」
その頃獣舎にて_________
????「ほぅ。懐かしいエーテルを感じたから見に来てみれば、まさかチョコボに転生していたとは…ね?第八の座__ナプリアレス。」
krsnaは困惑していた。
目の前のオスッテが何故自分を知っているのか。
しかも、「懐かしい」とまで口にしており、まるで同胞であったかのような…そんな言い方だったからだ。
(なんだこの人間は…。アシエンの気配は全くない…だが、光の戦士よりもエーテル量が若干多い点が引っかかる…。しかも、なんだ…ナプリアレスという名前が妙に頭に残る。こいつは俺の何を知っている…?話を聞いてみたいが今の俺は喋ることができないっ…クソッ)
「……君、話せないの?」
オスッテは相手から思っていた返事が無かった事に困惑してるのか哀しいのかよく分からない表情でkrsnaに問いかける。
すると聞き覚えのありすぎる声が聞こえてきた
「すみませーん!!そのチョコボー!私の相棒なんですー!レンタルチョコボじゃないでーす!!」
碧は自分の相棒がイシュガルド産のレンタルチョコボと勘違いされてしまっていると思い焦って走りながら叫んで止めにきたのだった。
「あぁ。君のチョコボなんだね。あまりにも綺麗なチョコボだったから、つい見惚れてしまっていたんだよ。すまないね、勘違いさせてしまったようだ。」
そういうオスッテの男性は「では、またどこかで」といい、その場を去っていった。
その後姿をkrsnaが珍しく興味ありそうな顔つきで見つめていた。
「珍しいね。krsnaが他人に興味持つの」と言いながらkrsnaの顔を両手で優しく挟み私に顔を向けさせる。
「そんなに他の人を見つめられたら、私若干嫉妬しちゃうよ…」
「くぇ???(はぁ???)」とひと鳴きし、話せない苛立ちを込めて頭突きを食らわせる
「いっだぁぁぁい!!」
目の前のアホ飼い主は額を抑えて座り込む。
krsnaはそれを冷ややかな目で見下ろし眺めていた。
(こいつは一体何を言ってるんだ??チョコボ相手に嫉妬だと??バカバカしい。チッ…今日ほど話せたらいいと思った事はないぞ…色んな意味でな。)
アホ飼い主は赤くなった額を抑えながら俺の手綱を引いていく。
「もー。なんで頭突きするのさ!てか、明日朝早いから家戻ろう!!ほら、いくよ!」
私はkrsnaと一緒に家に戻り、ギサールの野菜を多めに与えて自分も軽くご飯を食べ明日に備えて眠りについた。
その晩、krsnaは夢を見ていた。
はるか遠い記憶。
同じようで少しデザインが違う赤い仮面をぶら下げ、同じようなローブを身に纏った12人。そして、汚れを知らないような白いローブを着ているやつが2人。
合計14人が会議室のような所に集まっていた。
白いローブの1人がこちらに向って何かを聞いてきている。それはノイズが酷く殆ど聞き取れはしなかったが、明らかに俺に向って話していた。そして、一つ思い出した事がある。
そう…それは
かつて14人委員会の1人
__第八の座 ナプリアレスであり、武芸や戦闘技能の発展を司る者__
その瞬間枷が外れたかのように身体が軽くなる。
目を開くと、いつも見えていた自分の羽根は見えず、代わりに漆黒のような黒いローブが見えていた。
俺は驚き立ち上がり両手を見つめる。
「人の姿になっているだと?いや、戻ったというべきか?ッ!?人の語を話せている……一体なぜだ。名前を思い出したからか?」
俺は自分になにが起きたのか正直よく分かっていなかったが、これであの謎のオスッテと話せるようになった事が少し嬉しくも感じていた。
「………くるしゅなぁー…」
(しまった!姿が変わる瞬間をみられたか!?)
「…ムニャムニャ。」
(…寝言か。しかし、こいつに俺はなんて説明をすればいいんだ。実はアシエンでしたと言った所でハイそうですかと納得するとは思えないしな。とりあえず、krsnaに戻るとするか。大ごとにされたら面倒だしな。)
俺はチョコボの姿に戻り、あいつが敷いた毛布の上で再び眠りについた。
____翌朝 教皇庁前
「よし皆、揃っているな?」
アイメリクが最終確認をしていると、krsnaと碧の喧嘩する声が聞こえてきて苦笑いを浮かべる
「おいおい、お前たちこんな時にいちゃつくのは辞めてくれ…。」
「いちゃついてないんだって!何故がkrsnaが一緒について行くつもりなのか全然家にも獣舎にも行ってくれなくて困ってるのー!こんな事今まで無かったのにー!ぐぬぬぬ…。」
「まぁいいじゃないか!戦力は多い方がいい!krsnaも一緒に行くぞ!」
と勝手にオルシュファンが決めてしまい、krsnaも「よし!」とひと鳴きして戦闘態勢を取り始める。
krsnaは少し警戒をしていた。
教皇庁の中から死んだと思っていたラハブレアのエーテルを感じていたからだった。
光の戦士ならまだラハブレアと戦えるかもしれないが、アイツはただの冒険者だ。
ラハブレアとやり合うにはあまりにも無謀すぎると思い、少しでも危険だと思ったらアイツだけ連れてすぐに引き返そうと考えていた。
当の本人は俺が言う事を聞かない事に腹を立てているようだが。まぁ、外とは違う危険な所に自分のチョコボを連れて行く奴はそうそう居ないだろうからな。キレられても仕方がない。エサ抜きぐらいは覚悟しておくかと心に決めたkrsnaだった。
「やはり、エスティニアン殿は来なかったんですね…」
アルフィノは悔しそうな顔をし俯く。
「仕方がない。あいつの説得には少々厳しいものがあるさ」
アイメリクも分かりきっていたように、苦笑いをしてアルフィノに伝えた。
「彼はきっと別の機会にでも手を貸してくれるはずさ。だから、今回は私達だけで行くぞ!!」
アイメリクの号令でいよいよ、教皇庁へと突撃する。
道中にはトールダンに不信を唱えていた民達が拘束されており、私とオルシュファンとkrsnaはその人達の救助をメインで行った。
「krsna!あとこの人を入り口まで運んだら救助は終わりだよ!頑張って!」
といい、krsnaの背に拘束されていた民を乗せ入り口に向って走らせる。
ふと、大きい柵の向こうをみると英雄様とアイメリク、アルフィノが戦っていた。
やはり英雄様は強い。
蒼天騎士達をいとも簡単に退けていく。
この調子ならトールダンも余裕で止められるのでは無いかと思っていた。
私達も救助を終えて3人に追いつき、いよいよトールダンが飛空艇に乗り込もうとしている所に間に合い、このまま阻止出来ると思っていた。
「トールダン!貴様はもう終わりだ!蛮神と同じようなものになったとしても、世界中の争いは終わらない!!貴様がやろうとしている事は新たな戦争を生むだけだ!」
アイメリクは叫び、英雄様と共にトールダンの元へ走っていく。
すぐ後を走っていた私とオルシュファンは気づいてしまった。
蒼天騎士団の1人が背後の塔の上からアイメリクか英雄様のどちらかを狙ってエーテルの槍を構えていた事に。
私は咄嗟に英雄様に飛びつき伏せさせ、すぐに盾を構えて槍の衝撃を待ったが、こちらには何も飛んできてはいなかった。
その時、隣からアイメリクの切迫する声が聞こえてきた。
「おい!オルシュファン!!!しっかりしろ!!」
「…え?」
すぐに横をみると、盾ごと身体を槍で貫かれたのか、彼の身体がゆっくりと後ろに倒れていく。
私はすぐに駆け寄り抱き起こす。
「ねぇ!オルシュファン!!しっかりして!!アルフィノ君!ヒールを!はやく!お願い!」
そういう私の頬にオルシュファンは震えた手を添えてきた。
私はその手を強く握りしめて必死に声をかけ続けた。
「オルシュファン!だめだよ!目を開けて!ねぇ!開けてよ…!死なないでっ!!」
「お前…は…笑って…いてくれ。笑顔が…1番似…合ってるから…な。」
彼の言葉を聞いた瞬間に走馬灯のように彼との思い出が頭の中に駆け巡り、涙が止まらなくなる。
そして、彼の身体から力が抜けていき私の手から彼の手が落ちていった。
「ねぇ…うそでしょ…だめ。いや!いやだよ!オルシュファン!死んじゃいやぁぁぁあ!!!」
この時、私の中で何かが壊れてしまったのだろう。
友人の死を自身の腕の中で経験し、後悔、恨み、哀しみ、絶望が身体の中を染め上げていく。
そして、その後の事はよく覚えていなかった。
フォルタン家侯爵に会って彼の訃報を皆で伝えに行き、侯爵が膝をついて泣き崩れていたのをみてから記憶が曖昧だった。
気付くと家に帰ってきていて、
krsnaは寄り添うように私の後ろで寝ている。
暖炉の火を見つめていると、オルシュファンが腕の中で息絶える光景が鮮明に蘇ってくる。
全身がとてつもない喪失感に襲われ、部屋は暖炉で温かくなっているはずなのに身体の震えが止まらない。
喉が締め上げられるような圧迫感も覚え上手く呼吸が出来ない。
そして、それは突然だった___
頭に響く様々な声__
何故助けられなかった。
お前が代わりに死ねばよかったのに。
お前が殺したんだ。
苦しめ…人殺し!!
気づけばフォルタン侯爵の幻影が目の前に現れ、「お前のせいだ…お前が私の息子を殺したんだ!!」と碧を責め立てる。
「いや…!やめて…!やめてぇぇ!!!!」
私は両手で耳を塞いで床で身体を丸め泣き叫ぶ。
身体から黒いエーテルのようなものが溢れ出し激しい痛みと共に身体を侵食していく。
「「――っ、あああああああああッ!!」
krsnaも流石に驚いたのか私から距離をとり警戒しだす。
(!?こいつ、エーテル量が突然増えだしたと思ったら、暗黒に囚われかけているのか…!チッ…!面倒な事になった。このままだとシ骸になっちまう。クソッ。仕方ない…。)
krsnaは元の姿に戻り、苦しみ暴れている碧を抱き起こした。
「おい、バカ飼い主!俺を見ろ!」
俺は必死に意識をこちらに戻すために揺さぶった。
「…ッ!…だ…だれ…?」
「そんな事は後で教えてやる!いいからそのまま俺の言うことを聞け!いいか?そのままその暗黒に飲まれるとお前はもうただの化け物に成り下がる。そう成りたくなければその絶望と苦しみを力にしろ!暗黒騎士になれ!!それ以外に暗黒に取り憑かれた者が助かる道はない!」
うまく理解が出来なかった。暗黒騎士??そんなの聞いた事がない。それに絶望を力に変えるなんてできる気がしなかった。イメージが湧かない目に見えない物を形にしてその場に作れと言われてるようなもんだった。
「…っ…!わかんない…よ!!…できないっ…私には何も…できない…」
その言葉に呼応するようにエーテルの侵食がさらに進み、痛みは身体の内部をえぐるように激しさを増していく。意識を失うことさえ許さない…まさに地獄であった。
(チッ。やはりあいつのように上手くはいかないか。……?あいつ?俺は前にも同じような事を誰かにしていたのか??クソっ…何も思い出せないっ…。いや、己の事は後回しでいい。どうにかしてコイツをこちらに引き戻さなければ…)
「おい。俺はいつでもお前から離れようと思えば離れられたんだ!だがな、お前は一応俺の命の恩人だ。あの草原で俺はあのまま死ぬつもりだった!しかし、どこぞのバカ飼い主が俺を拾っちまったせいで俺は死ねなかったんだよ!だからな、借りを返せないまま死なれるのは後味が悪すぎる…!癪だが手を貸してやるから今から言う事の通りにしろよ!いいな!?」
碧は一瞬何かに気付いたように目を見開いたが、身体を激痛に襲われているためすぐに苦痛で表情を歪ませる。
「っく…!…まさか…あなた…krsnaなのっ…?」
「あぁ!そうだ!!いいか?お前はあの筋肉バカの事をどう思っていたんだ?」
「…たいせつな…友達…だった…!!かけがえ…のない…!だいじな…人だった!!!」
碧は泣きじゃくりながら叫ぶようにkrsnaに伝える
「どうしたかったんだ?!あの時、アイツがもし死ぬと分かっていたらお前はどうした!?」
「そんなの…!護るにきまってるじゃん!!!私に…もっと…もっと力があれば!!!オルシュファンを助けられたのにっ!!!!悔しい…悔しい悔しい悔しい!!!!」
そのとき、碧の感情が哀しみと絶望から自身への怒りに変わる。そして、その瞬間を待っていたかのようにkrsnaはナプリアレスの魔紋を顔に顕現させ、自身のエーテルで碧を侵食していた暗黒を一旦外へと引きずりだし、そのまま闇のエーテルで暗黒の力を薄めていく。
(中々の力だな…っ。俺のエーテルまで持っていかれてやがる…!よし…このままソウルクリスタルに定着させていくぞ…。)
「碧!いいか、今からお前のソウルクリスタルに俺のエーテルで薄めた暗黒の力を定着させる。言ってしまえばお前の精神に俺が少し介入するという事だ。もし、お前がこの痛みに耐えれず気絶してしまえば俺とお前は共倒れであの世行きだ!だから、絶対に耐えろ!死んでもたえろ!!いいな!?」
「…今更…すぎる…よ。もう…どんな痛みがきても…驚かない…。」
先程まで何も出来ない等と言っていたのに、今度はえらく冷静だな。と改めて変な女だと実感したkrsnaは少し楽しそうに笑った。それでこそ、俺のアホ飼い主だと。
「ふっ…そうか。じゃあ始めるぞ。」
krsnaは否、ナプリアレスは精神介入の魔法を詠唱する。
__闇にこそ我が王座あり。汝の心を我に開け__
その瞬間碧の周りに魔法陣が展開され、ナプリアレスは碧の精神へと入っていく。
そこはまるで虫食いにあったかのように様々な思い出が色を失い、灰色と化していた。
(こいつは……思っていた以上に精神へのダメージが大きかったか。もしかしたら、もう元のあいつには戻らないかもしれないな…。)
ナプリアレスは少し目を細め、碧を少し哀れんでいた。
仲間達とバカ騒ぎし、謎にポジティブで俺に蹴られても楽しそうにしていたが、この精神状態をみるとあの明るさに戻る見込みは絶望的だったからだ。
「っああああ…!!…っ!!…はぁ…はぁ…」
ナプリアレスが精神介入を始めたとき、更に激痛が襲っていた。
(キツイ…。息がうまく吸えない…。視界が霞んでいく…。)
碧の体力は限界に近かった。それに気付いたナプリアレスはもう少しだけ耐えてくれと言い、ソウルクリスタルに暗黒の力を流していく。
光の加護を持たない碧のクリスタルはいとも簡単に暗黒の力を受け入れていく。
そしてナプリアレスの最後の詠唱が始まる__
___己が手を血で染められようとも
___己が世界に拒まれようとも
___その黒き剣を捨て置く事は赦されない
___叫喚も、嘆きも、憤怒も、慕情も
___すべてを糧とし、力と成せ
碧のクリスタルは完全に暗黒に染まり、自身のエーテルで黒く漆黒のような鎧が形成されていく。
そして、背中には黒き剣__アスフォデルが形成され、ここエオルゼアに新たな暗黒騎士が生まれ墜ちた__
今回も最後まで読んで頂きありがとうございましたー!
ナプリアレスってゲーム中ででてこなかったよね、とか思い調べてみたらガッツリ出てて自分の記憶力の無さを実感しました(笑)しかも、ムーンブリダが自分を犠牲にしてナプリアレスを白聖石に封じる哀しいストーリーを観て、うぉぉぉ最高にFFしてるぜ!とか思って泣いてたなっていうのも調べてから思い出し、今2重でダメージ受けました…つらい…(笑
碧ちゃん、ただのナイトから暗黒騎士になりましたね。この私の独断と偏見が渦巻く世界(小説)では、暗黒騎士は超絶レアな存在で、世間一般では近づくなとさえ言われてしまう程に嫌悪というか拒絶されてるんですよね。孤独な騎士で常に負の感情が自分に大きな力を与えてくれる。そんな彼ら彼女らは短命である事がほとんどで、最後には負の感情に負けてしまい、シ骸になってモンスターとして狩られてしまう。そんな運命を辿る人が大半を締めているんですよね。そんな悲惨な運命を果たして碧は乗り切る事ができるのか…。
という事で後書きは此処らへんにしておきます!
また次のお話でお会いしましょー!