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無題  作者: レインコート
1/2

絡まり始める運命

捏造とキャラ崩壊待ったナシです。


――――――――――――――――――

グリダニア 双蛇党 本部にて__

「お!きたきた!ツキクサさーん!はいこれ!イシュガルドまで配達をお願いしますね!」

重厚な鎧と腰に剣、背中に盾を背負った冒険者がやんわりと手を振り挨拶をする。

「久々に双蛇党の本部に呼びだされたと思えば…いきなりお使いですか…。」

「仕方ないじゃないですかー…!今他の冒険者さん達は各地の蛮神の討伐で忙しくて、職業がナイトで手空いてそうな人がツキクサさんしか思い当たらなかったんですよー!それに…タンクの方に運んで頂けると安心なので!!!貴重ですけど!!」

「まぁ、確かにそうそう死なないですからね。というか、私そんなに暇人に見えます???」

「みえるっ!!」

「………(グサッ」

「じゃあお願いしましたからねー!」

「はいはーい…。(ソンナハッキリイワナクテモイイジャン)」

私は双蛇党の隊員から荷物を受け取るとチョコボを預けてある獣舎まで歩く。


ここグリダニアはエオルゼア東部に位置する森林都市国家。神聖な黒衣森こくえのもりを守護する精霊に認められた人々が、美しい木々と豊富な水に囲まれたエリアに居住。工業にあまり依存せず、どちらかといえば昔ながらの暮らしを営んでいる国。


(ちなみに料理は全体的に薄味…他国からすると物足りなさが半端じゃない。そういう私も物足りなさを感じてよく1人で嘆いている。)


道行く人は今日も忙しなく日々の暮らしを営んでいる。グリダニアの民たちは精霊を愛し、守り、そして長い間共に生きてきた。だが、最近不穏な噂が後を絶たない。謎の仮面を付けた黒装束がなにやら精霊達を唆して蛮神の召喚をしているらしい…という話だった。帝国と手を組んでるのでは?等という話しも出てくる事もあり、信憑性は未だに低いけど警戒するに越したことはない。


(なんにせよ、巻き込まれるのだけはごめんだね)


私はそう心の中で呟いた。


そうこうしている内に、マイチョコボが居る獣舎に着く。

krsnaクルシュナ!!おまたせ!ちょっと重いけど、これを載せさせてねー!」

私はkrsnaの両サイドに配達物を入れていく。

「キュエー!キュ、キュエ?(おせぇよ!え、なんだよその量の荷物…まさか俺に持たせる気か!?)」

「ごめんねー!これ重たいよねー!さすがにこの重さだと今回は君の背中には乗らずに行くから安心して!」と、私は頭と顎下を撫でてやる。

「クェエー!クェエー!クェエ……。(重たいよねー!じゃねーよ!なんだよこの重さ…。)」

「よしよし!いい子いい子!よし、じゃあ出発しよう!」


イシュガルドへは黒衣森を北西に抜けてクルザスに入りそのまま北に向かうと着くのだが、正直飛空艇の方がめちゃくちゃ楽だし、早い。それは分かりきってる事なんだけど、なにせ料金が高い…。毎月ギルかつかつ生活の私には使えないルートなのさ…。


「はぁ…。あの極寒クルザスを抜けるのが1番キツイんだよね~…飛空艇ならもっと楽なのにぃぃ…。現実ツラ。そもそも、タンクの給料もっと上げてもいいと思うんだけど?!人一倍無駄に傷を負って、痛みに耐えて頑張ってるのにさー、あんなちょびっとしか貰えないの本当納得出来ないっ!ね!krsna!」


krsnaは「うるせぇよ、こっちはお前の荷物とクソ重てぇ荷物背負ってんだぞ!!」と言わんばかりの目線を向けてくる。


「…えっ…!そ、そんな睨まなくてもいいじゃん…。え、ごめんて!あとでギサールの野菜多めにあげるから機嫌直して!?」


krsnaは呆れたように「キュエ…」とため息のような鳴き声を出していた


「ため息じゃん…今の絶対…。にしても、krsnaは本当に綺麗な黒色になったよねー!拾った頃は灰色だったのにさ!まさかこんなイケメンに育つなんて!ママ感激しちゃう!!!」


私はkrsnaに歩きながら頬擦りする


「クェエ!?クェェェ…ッ!(おい!?や、やめろ!危ないだろ!)」


krsnaは私がまだウルダハで駆け出しの冒険者をしている時に拾ったチョコボだった。

サスタシャ洞窟の近くに何故か一匹ぽつんと佇んでおり、ダンジョンから戻ってきてもそのままだったので見捨てておけずに拾った。

まぁ、駆け出しの冒険者だったからエサ代稼ぐのもキツすぎて、良くクイックサンドで余ったパンとか色々分けて貰ってたんだよね…。懐かしい……。

羽の色が灰色だったから、てっきりそのままの色で大きくなると思ってたんだけど、ふと気付いた頃にはもう真っ黒だった!黒チョコボはイシュガルド産の飛べるチョコボ達も居るけど、あの子達とは別物。まさに漆黒と呼べる黒さで、珍しすぎるのか旅の途中で声を掛けられる事もそこそこあるくらい。


「ほんと2年でこんなに大きくなるんだねーチョコボって。うっ!さっむぅぅぅ!!!」 


krsnaとじゃれ付きながら歩いているとクルザスが近くなってきたのか風が冷えてきた。


「krsnaちょっと止まろっか!防寒装備に変えよう」

私はチョコボカバンからkrsna用の防寒着を取り出し、手早く着替えさせ、自分もコーティーを装備する。


「ちょっと動きづらいと思うけど、暫く我慢してね。」


「キュエー?キュエー…(どうせ文句言ったって脱がせる気無いんだろ…」


「私またなんかまた呆れられてない???」


そんなこんなであっという間に極寒雪景色!!!


「あぁぁぁぁ!!!さむすぎる!!!むり!!帰ろう!!」


グィッ!!


「いてててて!!!冗談だよ!冗談!!!進む!進むから引っ張らないでぇぇ!!」


krsnaが目を細めて私の髪の毛を引っ張り「戻るな。」と圧を掛けてきた。


「そんな暴力的にならなくてもいいでしょー?もう!(涙目)」


クルザスは年がら年中吹雪いており、かなり過酷な環境だった。それでもイシュガルドの民達は必死に生き抜き、しかもドラゴンと戦争を続けていた。


「ただでさえ過酷な環境なのに…竜と戦争って…」


私はなんとも言えない気持ちになってしまい、その場で少し立ち止まり深呼吸をした。


「…すぅ…はぁ…。いや、さっむっ…!こんな吹雪いてるときに深呼吸なんてするもんじゃない……ん?あれは?」


友人オルシュファンが駐在しているドラゴンヘッドの方向に小さい人影が2つ見えた。その2人はかなり疲労しているようで、ヨロヨロとした頼りない足どりだった。


「うわぁ…あれは見過ごすとマズそうだよね。krsna!あれ見えてるよね!助けにいくよ!」


「キュエーキュエー(へいへい)」


「返事は1回!!!」


krsnaと私は急いでその人影の元へと走っていく。


すると、若干背が高めの少年?少女が、「貴方はここの兵士の方ですか?僕達はイシュガルドへ亡命したいのです。どうか取り次いで貰えないだろうか。」


「…?え?亡命?あ、いや、ごめん。私、ただの冒険者なんだ。イシュガルドは今外からの来訪者をほとんど拒否しているのは知ってるよね?それなに何故イシュガルドに…?」


「そうか。貴方は冒険者だったか。間違えてしまってすまない。僕達は失礼するよ。」


「え?!ちょ!ちょっと!イシュガルドにはすぐに入れないかもだけど、取り敢えずゆっくり話せて暖かい場所があるからそこに行こう?このまま2人で凍え死ぬつもり?」


私は少年とララフェルの女性を焦って止めた。


「……確かに貴方の言う通りだ。ここは一旦その場所に行くとしよう。」


「うんうん!私も丁度寒さ限界だったし!あと少し歩いたらドラゴンヘッドだから、もう少し頑張って!」


「…あぁ。」


この2人は一体何者なんだろうか。竜と戦争しているイシュガルドに亡命だなんて、普通はありえない。

相当な理由があるんだろうけど、まぁ、関わるのはやめておいたほうが無難だよね。


15分ほど必死で歩き、ついにドラゴンヘッドにたどり着く。


私は門兵にオルシュファンに取り次いでくれと頼み、オルシュファンが居る建物へと案内してもらう。

「あ、この2人は私の連れなの!オルシュファンが今度は絶対連れてくるんだぞ!って前々から言われてて、今回やっと予定が合ったからさー!連れてきたんだー!」と門兵に言うと「そうですか。オルシュファン様が喜ばれますね」と変えてしてくれた。


(嘘ついてごめんね。)と罪悪感でいっぱいだったけど、この2人の為だから仕方なかった。


そして、少し大きめな扉を開くと奥に友人の姿が見えた。


「友よ!!!久々じゃないか!!よく来てくれた!!」


と驚きのハイテンションで挨拶してくるオルシュファン。相変わらず元気そうだった。


「声でっかい!!!ほんと久々だよね!今日はイシュガルドへ荷物運びで来たんだよー!あ、あとこの2人は私の連れなんだけどさ、ちょっと耳貸してほしいんだけど……」


オルシュファンはなんだなんだ?とウキウキした顔して耳を寄せてくる。


『この2人…イシュガルドへ亡命したいらしい。この状況のイシュガルドに亡命って普通の理由じゃないでしょ絶対。だから、4人だけで話したいんだけど…』


すると、少し目を見開いたオルシュファンは無言で頷き、「友の友はもう私の友だと言ってもいい!よくここまで来てくれた!ぜひ!色々と冒険談を聞かせてくれ!別室を用意しよう!こっちにきてくれ!」


と、状況を察したオルシュファンがファインプレーをみせてくれた。


(さすが、私の親友!!あ、やっべ…。krsnaの事外に置きっぱなしだ。)


「オルシュファン。私のマイチョコボがイシュガルド宛の荷物運んでるんだけどね、あれ冷やしすぎて良いものかどうか分からなくてさ、いや、まぁ、私が荷物だけこっちに一時的に持ってきたらいいだけなんだけど、なにせ重すぎて正直上げ下ろししたくないんだよね。だから、少しの間だけkrsnaをこの部屋の中に入れさせてもらってもいい?」


オルシュファンは「良いっ!」といって親指を立てて見せてくる。


「ふふっ!ありがと!!」


私はすぐさまkrsnaを迎えにいき、室内に入れる。


「クェエ…キュエ!?!クェエー!!?!」(なにお前だけぬくぬくしてんだよ?!あぁん!?)


「アアアア!ごめんって!ほんとごめん!すぐ迎えにいくつもりだったんだけど、ちょっと話しが長引いちゃって!!!」  


「クェエェェ…クェクェュエー…(今度やったからお前の荷物全部振り落としてやるからな。)


「なんかよくわかんないけど、絶対にやめてほしいって事はわかる!!まじでやめてね!?」


私がkrsnaと戯れていると、後から笑い声が聞こえた。


「あははは!!ツキクサ!君は本当にそのチョコボと仲がいいな!いいコンビだよ!!」そして再び親指を立てて見せてくるオルシュファン。


この状況についていけて無いあの2人は呆然としていた。


「うんうん!私達ほんと仲良いいよね!!」

「クェー!!!(仲良くねぇよ!)」

「なんだろう。謎に傷ついたんだけど???」


そして、krsnaを部屋に待機させて別室にオルシュファン達と入っていく。


そこはかなり長めの机にこれまた少し大きめの椅子が机を囲むように綺麗に置かれていた。


「まぁ、取り敢えずゆっくりくつろいでくれ!人払いもしておいた。これで話しにくい事も話せるだろう。」


オルシュファンは優しく2人に微笑んでいた。


「オルシュファン殿心遣い感謝申し上げる。そして、自己紹介が出来ていなかった事、お許し頂きたい。

私は暁の代表を務めさせて貰っているアルフィノと申します。こちらのララフェルは同じく暁のメンバーのタタルさんです。」


「うんうん。アルフィノ殿とタタル嬢とな。改めてになるが、私も自己紹介をさせてもらおう。私はオルシュファン・グレイストーンと言う。よろしく頼む。」


私は3人のやり取りを遠くに座って眺めていた。

すると、こちらに目線が刺さった。


「???え?私も???」


「えぇ。貴方は私達の命の恩人でもある。あのとき声を掛けて頂けてなかったから私達はもうこの世には居なかったでしょうから。」


「アルフィノさんの言う通りでっす!お礼が遅れてしまって申し訳ないのでっすが、本当にありがとうございまっした!」


「なのでお名前をお聞きしてもよいかな?我が友よ!」


「いやなんでオルシュファンが聞きたがるのさ!わかったよ!わかった!自己紹介すればいいんでしょ?」


「それでこそ我が友だ!さぁ!聞かせてくれ!!」


「いやだからなんでオルシュファンが1番生き生きしてるのさ!!」


アルフィノのタタルがくすくすと笑っている。

その表情をみて少し安心を覚えた私は少し咳払いをして自己紹介を始めた。


「コホン…。私の名前は碧 月草(アオ・ツキクサ。ただの冒険者で、職業はナイトだよ。あと、あの黒いチョコボはkrsna。私の自慢の相棒なんだー!」


すると隣の部屋から「クェー!!!!!(恥ずかしいからやめろー!!)」と聞こえてきた。


皆krsnaの鳴き声を聞いてクスクスと笑い、オルシュファンが話を振り出した。


「して、アルフィノ殿。イシュガルドへ亡命したいとの話だったが、なぜそのような事態になっているんだ?暁はエオルゼアでは有名だろう。行き場が無くなる程の事が起きたという事は察せるが、一体何があったんだ?」


確かに。暁といえばかなり手練れの賢人が集い各国の蛮神や蛮族を解決し、ついこの間アシエン・ラハブレアという敵を打ち倒したと話を聞いたばかりだった。その英雄の塊のような暁がなぜイシュガルドへ亡命したがっているのか。そして、なぜこの2人だけなのか。


そして、苦しむような表情をするアルフィノから語られた事の詳細は胸が抉られるような話だった。


まず、暁のメンバーがナナモ陛下と2人でお茶をしている時にナナモ陛下が毒殺され濡れ衣を着せられてしまう。


アルフィノや他の暁の面々もみなテレジ・アデレジの策略に嵌り、

クリスタルブレイヴ内にいたテレジ派の裏切りで捕らえられてしまった。

ナナモの死を知ったラウバーンは激昂しテレジを切り伏せ、ロロリトにより投獄されてしまったと。


ラウバーンにより逃がされた暁の面々はウルダハの地下通路から逃亡しようとしたが、

追っ手が多く上手く逃げられず、ミンフィリアを逃がすため、

パパリモとイダ、ヤシュトラとサンクレッド、それぞれが囮となり散り散りになってしまっている…


アルフィノはピピンに助けられなんとかウルダハを脱して、その後シドとシド一緒に行動していたタタルと合流し

シドがクルザス近くまで運んでくれたようだった。


そして、私と遭遇し今に至るとの事。


「……っく。……なんて酷い…。よし。そういう事なら今日から…ここを雪の家と呼んでくれ。暁は確か砂の家という隠れ家あるそうだな?通例的にいくと雪の家がぴったりだと思うのだが?」


そういいながら、アルフィノ君とタタルちゃんと私の分の暖かい飲み物を手渡してくれた。


しかし、アルフィノは自信をすっかり無くしてしまったようで、ずっと下を向いていた。


見かねたタタルちゃんが泣きながらアルフィノくんを奮い立たせるように声を掛ける。


「アルフィノさっま!!ミンフィリアさんは暁の灯火を消さないでとおっしゃってたんでっすよね。確かに、暁の血盟は壊滅じょうたいでっす。でも、でも!!まだ私達がいるじゃないでっすか!!ここから…私とアルフィノ様で、もう一度暁を始めましょう…!」


アルフィノ君は目を見開き、少し微笑みながら

「…タタル嬢。ありがとう。確かに、まだ私達が居る。この雪の家からまた始めよう…!タタル嬢…手伝ってくれるかい?」


そういうアルフィノ君の声はさっきの弱々しさを微塵も感じさせない程の芯の通った声だった。


「そうだ!その意気だぞ!アルフィノ殿!」


オルシュファンもいつものテンションで2人を励ましていた。


するとタタルちゃんが私の方をみて、

「気になっていたのでっすが、オルシュファン様とツキクサ様はどういう経緯でお友達になられたんでっすか?」


オルシュファンはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに目を輝かせ、タタル嬢に説明しだした。


「あれはだな!私がクルザスを定期巡回してる時だったんだが。どこからか、何かを呼んでいる声が聞こえてな?あとは、謝っていたり停止を促していたり、そりゃー色々と聞こえてきたんだ。すると、その方向から黒チョコボが走ってきて私は咄嗟に手綱を掴んで止めてやったんだ。すると、後からツキクサが来たのだ。凄く息をきらしてな?ハハハ!!」


「ハハハ!じゃないよ!あの時私ほんとに焦ってたんだからね!!イシュガルドで飼われてる黒チョコボだって勘違いされてkrsnaが連れて行かれたらどうしようって凄く怖かったんだから!まぁ、今となったら感謝はしてるんだけど…。で、私がkrsnaになんで逃げたんだって文句言ったらkrsnaも私に文句があったみたいでクェクェ煩かったんだよね。その様子をみてたオルシュファンが凄く笑ってた…。ね?オルシュファン君??」


「あ、あぁ…笑いすぎたと反省はしてはいるが、あれは中々の面白さだったぞ!未だに私の部下に話す程にはな!」


「は?!やめて!?チョコボと人間の喧嘩とかそんな人様に話すような事じゃないし、てか恥ずかしすぎるからやめて?!」


タタル嬢は楽しそうに話を聞いてくれていた。


「じゃあ、krsna君が2人が仲良くなったきっかけだったんでっすね!なんだか素敵でっす!」


「改まってそう言われると、ちょっとこっ恥ずかしいね……」


「ん?そうか?私は全然問題ないぞ!むしろ、大歓迎だ!」


「うん。君はそういう奴だからね。それでいいよ。うん。」

オルシュファンは何のことが全く分かっていないようだった。


「?????」


アルフィノはこのやり取りをみていて、かなり腹筋へダメージが入っていたようだった。お腹をずっと抱えて呼吸がままならなくなっていた。


「そこまで笑えてるなら大丈夫だ!それに、味方は君たち2人だけじゃないぞ?私とツキクサもいるからな!いつでも、頼ってくれ!!」


「へ?私も!?」


「あぁ!もちろんだとも!!友の友を救うのだからな?」


面倒事はいやなんだけどなぁーと内心思いつつ私は頷いた。


「私に出来る事があれば何でも言って?死んでくれとかは流石に無理だけど…基本選り好みはしないから。頼れそうなら頼ってね?」


アルフィノは嬉しそうに目を細めて微笑んでいた。


「お二人とも…ほんとうに…ありがとう…!」


私とオルシュファンは静かに頷いてみせた


その後、オルシュファンは神殿騎士団の統括、アイメリクを呼び出し、アルフィノ達の亡命を許可してほしいと一緒に掛け合ってあげていた。


その会談中私はkrsnaの世話をしていた。



「ねぇ、krsna。あの2人大丈夫かなー。イシュガルドに亡命出来たとして、そこからどうするんだろう。はぁ…。頼れって思わず言っちゃったけど、自信ないなぁ………。」


「クェー。クェクェ?クェ…。(じゃあなぜ仲間だと言われた時に否定しなかったんだ。面倒事は嫌なんだろ?このバカ。)」


私はkrsnaが少し心配してくれているのではないかと、感じ、ふっと目を細め感謝を伝えるようにkrsnaの顔に私の額をくっつけた。


「ありがとう…krsna。いつも一緒に居てくれて」


krsnaはフン!というような鳴き声を出して私から目を反らしていた。


それを見た私はふふっと笑いをこぼし、krsnaの羽根を整えてやる。


「ねぇ、krsnaって本当にチョコボなの??」


そんな意味が分からない突拍子もない質問にkrsnaは目をパチクリさせていた。


「いやさ、今もそうだけど。普通こんな事理解出来ないよね。精々出来ても、とまれ!走れ!とか何かしらの芸ぐらいでしょ?でも、krsnaって私の話す内容多分殆ど理解してるよね?ま、別にいいんだけどさ!」


「クェ…(こいつ偶に変に勘が鋭いんだよな)」


俺は元々アシエンだったらしい。黒い魔紋を出し何かと戦っていた気がする。星海を渡り転生したらこの黒チョコボになっていた。転生前の記憶はあまり無い。何をしていたのか、何を目的にしていたのか。そして、それは成し遂げられたのか。何一つ覚えていない。記憶が戻れば何か変化があるのだろうか。まぁ、いい。コイツとの旅は飽きないしな。


「あ、そうだ。krsnaは私よりエーテル感知早かったよね。やばいドラゴンとか近くに居たらこの間みたいに教えてね?」


というのも、以前魔導城プラエトリウムの近くに仕事で来ていたら突然後からkrsnaが私の装備を口で挟んでそこから離れろと言わんばかりに引っ張っていき、普段そんな事しない子だったから、取り敢えず付いていくといきなり背後で大爆発が起き、目の前にあったプラエトリウムはほぼ壊滅していた。そして、私が居た場所も爆発で大きく抉れており、恐怖と衝撃で腰が抜け暫くそこから動けなくなった事があった。


「あのプラエトリウムの時の事。ほんと一生忘れない。krsnaが居なかったら私あの時絶対死んでた。命の恩人だよー!ほんと!思い出度に感謝伝えるわ!ありがと大好き!」


私はkrsnaに飛びつくと、いつもなら「くぇぇぇ!!」とか言って機嫌悪くなるのに、今回は大人しく何も言わずに私を目で追っているだけだった。


krsnaはじっと碧を見つめてその時の事を思い出していた。


(プラエトリウムの周辺でアシエン・ラハブレアのエーテルを感知してから一応警戒はしていた。あいつらオリジナル達のエーテルは嫌って言うほどには知っている。だから、尚更危険視していた。やはり、悪い予感は的中した。コイツは普通の人間よりもエーテル感知能力が乏しいようでかなり危険な波長が出ていても何一つ気づきはしない。ビリビリと嫌なエーテルが空気中を支配していく。これは…大規模創造魔法の爆発の前兆に酷似しているっ!!まずい!ここに居ると巻き込まれる!!俺は急いでコイツの装備を口で咥えて爆発範囲から逃れるように走れとせかした。仕事の邪魔をするなと抵抗されたら見捨てようと思っていたが、割とすんなり従ったので若干面を食らったのを覚えている。変な女だ。)


「クェ。」krsnaは鼻で笑うかのように鳴いてみせた。


「ねぇ、それ鼻で笑ってないよね???」


このやり取りを近くで見ていたドラゴンヘッドの兵士がクスクスと笑っていた。


___________

話し合いの後、アイメリクの手配でイシュガルドへと亡命を果たす暁の2人。後々、シドもイシュガルド入りするそうだった。


そして、固く閉ざされていたイシュガルドへと続く門扉が開かれ、いよいよ中へ入っていく2人。私とkrsnaも後に続く。


これからそれぞれの運命が大きく動き絡まる事も知らずに歩みを進めた_______



神殿騎士団会議室にて_____________


「君たちの身元保証人なんだが、オルシュファンの友達だと言う事でフォルタン家伯爵のエドモン・ド・フォルタン氏が引き受けてくれることになっている。フォルタン家は上層にあるので、後で挨拶しに行くといい。ツキクサはいつも通り私が保証人だ。」


「ありがとうございます。アイメリク卿」


「いつもありがとね!」


「気にするな。あいつの友達なら私も喜んで歓迎するだけさ」


アルフィノ君とタタルちゃんは早速フォルタン家に行くとのことで、会議室を後にした。


「そういえば久々にこっちに来てアイツに会ったのか?」


「あぁ。エスティニアンの事?まだ、会ってないなぁ。ていうか、会える状況でもないでしょうに。最近また竜が活発化してるんでしょ?」


「あぁ。つい最近、ニーズヘッグの咆哮を聞いてから各地で竜の襲撃が増えてきているのが現状だ。正直、いつ大規模な戦争になってもおかしくはない。」


そういうアイメリクは深いため息を付き、椅子に深く腰掛けた。


「それに、教皇の行動もおかしい。」


「どういう事?」


「裏でコソコソとやっていると思えば、古代アラグに付いて調べていたようなのだ。」


「えっ。古代アラグってあの?」


「そうだ。アラグには私達が知らない力が数多く眠っているとされている。もし、何か手に入れようとしているのであれば、止めた方がいいとは思ってはいるのだがな…」


「それをやっている暇がないと?」


「その通りだ。度々襲ってくる竜達によって少しずつ戦力を削がれている。そんな状況じゃとてもじゃないが、身内の偵察なんてやっていられない。」


そりゃそうだと私は静かに頷いた。


「まぁ、なんかあったら手伝うから。言ってね!あ、そうそう!これグリダニアの双蛇党本部からのお届け物でーす」


といい、ドスン!!!と机の上に運んできた物を乗せた。


「す、凄い重量だなこれ。机が壊れるかと思ったぞ。」


「ほんと、krsnaが頑張ってくれたんだよね!あとでギサールの野菜いっぱいあげないと!!」


「krsnaはまた外か?」


「うん。流石にここの建物にまで入れるわけには行かないでしょ。」


「それはそうなのだが、泊まる場所は確保してあるのか?」


「あ、やっば。してない!まずい…」


「なら丁度いいな。私の隠れ家がある。そこを使ってくれ。室内にkrsnaを入れても問題はないからな。このまま案内しよう。」


「ありがとう!凄くたすかるよ!外で待たせたら物凄く機嫌悪くなるんだよねあの子…。」


アイメリクは困ったように笑い「どこかしら突かれている所を想像できるよ」と。


「あのチョコボは本当にみていて飽きないな。特にツキクサと共に行動している時が一番良いまである。ふふふっ。」


「アイメリクまで…そういうんだね…。皆好きすぎでしょ…。」


「さっ!ついたぞ。ここが隠れ家だ。さっきも伝えたが、自由に使ってくれ。鍵はこれだ。外に出る時は気をつけてくれよ。どうせこっちで暫く傭兵の仕事やるんだろ??」


「何からなにまでありがとー!うん、そのつもりー。

ありがと!気をつけるよ!」


「あぁ。では、またな。」


「うん!またねー!」


私はアイメリクと別れて、チョコボ獣舎へと向かった。


「おーい。krsnaー!待たせちゃったごめん!アイメリクがお礼を兼ねてって暖かいお家貸してくれたから、一緒に行こう!」


「クェ。(遅い)」


鞍に跨りkrsnaの頭を撫でてやり、来た道を戻っていった。


「さっ!ここが暫く滞在する事になるお家だよー!中入る前に一応足の裏だけ拭かせて?人様の家ではあるからね、出来るだけ汚したくないし。」


そういうと面倒くさそうに軽く片足ずつあげてくれた


「これでよし!ありがとう!じゃー中入っちゃお!!」


krsnaの手綱を引きながら中へ入っていく。


内装は、石造りの重厚な壁と高い天井が特徴で、ゴシック調の荘厳な雰囲気。

ダークウッドの家具やステンドグラスが多く、貴族や騎士の館を思わせるような空間で、

暖炉やランタンなど暖色系の灯りで寒冷地らしい温もりも感じた。

全体的に寒色+金銀の装飾で、落ち着きと高級感が漂っていた。


「寒いから取り敢えず暖炉に火入れよっか」


私は一旦動きやすいように鎧を脱ぎ、コーティーを着直した。


「えーと。薪は…。あ、あった!あった!で、マッチと着火剤の獣脂を使って……。よし、ついた。後は燃え広がるのを待つだけだねー!

で、krsnaは何処で眠りたい?良いところあれば毛皮敷いておいてあげるよ!」


krsnaはゆっくり辺りを見渡してから移動しはじめる。

そして、ある場所で止まった。ここだと言わんばかりに見つめてきた。


「………。暖炉の真ん前ね…。い、いい位置だと思う…。あ、文句は無いですすみません。荷物運びの件では大変お世話になりましたのでこれぐらいはお好きにして下さい…。」と顔を引き攣りつつ毛皮を暖炉前に敷いてあけだ。


私全然暖まれないじゃん!!!と、内心絶望したがそれは杞憂に終わる


私が自分用の毛皮をチョコボカバンから取り出し、コーティーの上にさらに羽織る。

そのまま火の調整をしていると後から「クエッ」とひと鳴き聞こえたかと思えばグイッと後ろに引っ張られてしまった。バランスを崩した私はそのまま座っているkrsnaの身体に倒れ込んでしまう。


「うゎぁあ!イタタタ…何するのさ急に…。思いっきり尻もちついちゃったよ」


と、お尻をさすりながら起き上がろうとすると装備を嘴で噛まれてるままだったようで身動きが取れなかった。


「えっ。ちょっとkrsna?離してよー。火の調整出来ないんだけど??」


また後ろから気ダルそうな鳴き声が聞こえてきた


「クェェ。クェ。(風邪引かれたら面倒くせーからこのままじっとしていろ)」


「あー、もうわかったよー。つまりは動くなって事でしょー?もうー!」


私は少し腹を立てたがkrsnaは気にしてないようで、そのまま寝る姿勢にはいった。


目の前に暖かい暖炉。後ろにkrsnaの柔らかくて暖かい身体に挟まれて、私はいつの間にか寝てしまっていた。


「…すぅ…すぅ…。」


穏やかな寝息と薪が弾ける音だけが聞こえる穏やか空間。

そして眠る碧を横目で見つめていたkrsna。

すると突然記憶の断片が蘇ってきた。


顔は分からないが、暖炉の前で赤い仮面を胸元にぶら下げている人達と一緒に自分も何かを語り合っていた。自分の胸元にも同じような色の仮面がぶら下っていたが、形は朧げで思いだせなかった。


(ッ!!な、なんだ今の記憶は。転生前のである事は確かだが、あいつらは一体…。そして俺はなんだったんだ?)


思いだせそうで思い出せない。

そんなやるせなさを抱えたまま微睡むkrsnaだった。


______________________













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