表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日影血戦  作者: 最上優矢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/7

第3話 イタズラ好きの能登兄妹 ~現実世界編~

 俺はリビングに足を踏み入れると同時、文字通り固まった。

 それはそのはず、日本人形を胸に抱きながら、独り言をつぶやく穂乃香の姿があったからだ。


 俺は恐る恐ると、穂乃香に声をかけた。


「おい、穂乃香……?」


 次の瞬間、穂乃香は閉口、それでリビングは静寂に包まれる。


 俺は穂乃香を正気に戻すべく、彼女の名を叫んだ。


「穂乃香たんっ!」


 するとどうだろうか、穂乃香の目に色が戻った。


「ゆず兄……? あれ、なんでアタシ……って、何この日本人形、こわっ」


 そう声を震わせながら叫んだ穂乃香は、不気味な日本人形をリビングのゴミ箱にシュート。


「あぁ! いかにも怪しそうなネット通販で買って、こっそり穂乃香の部屋の隅に置いておいた()夏子(かこ)ちゃんが!?」

「あんたの私物かいなっ。っていうか、そんなイタズラのような真似、しないで!?」


 ゴミ箱からはみ出た日本人形の由夏子ちゃんは、恨めしそうな目でこちらをにらんでいた。


 おお、こわっ。


「とまあ、由夏子ちゃんのことは忘れろ」

「忘れないわよ……? 実の兄から受けた嫌がらせは、永遠に忘れない」

「そんなこと言わずに、忘れておくれ、妹よ」

「無理。由夏子ちゃんとともに、アタシはあんたを呪う」


 ハッとゴミ箱に目を向けると、そこには先ほどよりも髪が何センチも伸びた呪いの日本人形、由夏子ちゃんの姿が。


「ヒエッ、どうかご勘弁を」

「ふふふ」

「クスクス」


 なんだか穂乃香以外の笑い声が聞こえたような気がするが……まあいい。


 俺は冷蔵庫を開けると、中から飲みかけのペットボトルコーラを取り出した。

 喉が渇いていた俺は、キャップを開けるなり、ゴクゴクと飲み――すぐに噴き出す。


 穂乃香は「何!?」と悲鳴を上げ、俺の元に駆け寄る。

 吐きそうになっている俺は、しばらく声が出せなかった。


「ゆず兄ったら、どうしたの?」


 キャップを閉めたペットボトルを流し台に投げてから、俺は穂乃香に説明した。


「コーラに……醤油、が混ぜられている件について」

「醤油ですって?」


 俺は忌々しげに醤油入りのコーラを一瞥した。


「そうさ、あの中に醤油がたっぷり入ってるんだ」

「……そういえば」

「なんだ、穂乃香よ。まさか、この事件の犯人を知っているのか!?」

「犯人は」

「犯人は……?」

「ア・タ・シっ♡」


 腰に手を当て、うふん、と妖しく笑う穂乃香。


 俺は衝撃を受け、膝から崩れ落ちた。


「な、なんと」

「ねえ、今どんな気持ち? どんな気持ち?」


 煽ってくる穂乃香。


 俺は弱々しくほほ笑むと、「やられた。ああ、参ったよ。降参だ」と両手を万歳した。


「さすがは俺の妹だ。賞賛に値するぜ」

「ふふん、ざまあみなさい」


 上機嫌にクルリと一回転する穂乃香。


 俺は未開封のコーラを冷蔵庫から取り出し、今度こそコーラをゴクゴクと飲んでから、自分の部屋に引っ込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ