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日影血戦  作者: 最上優矢
3/3

第2話 ゾーン・ゼルネスの離脱 ~プレイヤー編~

 ~作者からのお願いと注意書き~


※睡眠薬は医師の処方の元、一度に服用する用量が上限を超えないよう、正しい使用目的で服用を!

※睡眠薬は薬剤師の服薬説明の元、正しい使用方法で正しい用量で服用を!

※睡眠薬は医師の処方や薬剤師の服薬説明の元、正しい使用目的や正しい使用方法や正しい用量を守り、処方の範囲内で正しく服用を!


※ストーリー内に出てくるゲーム世界の安室令奈のように、医師の処方や薬剤師の服薬説明を受けることなく、睡眠薬を間違った目的や使用方法や用量で服用する行為は大変危険ですので、絶対おやめください!!!

 ゲームにログインした俺の目に飛びこんできたのは、ログアウトしてからの自動戦闘で得た経験値や資源を入手したときに流れるログだった。


 直前にログアウトしたのは、二時間くらい前だったので、自動戦闘の報酬はやはり少なかった。

 それでも圧倒的リソース不足だったので、ゲーム内通貨のシャイン(硬貨)をはじめとする資源が少しでも増えるのは、喜ばしいこと。


「課金さえできればなぁ、ホープ(紙幣)とかいうガチャを引くためのゲーム内通貨ががっぽり手に入るんだが……もしそうなら、十連UR(ウルトラレア)一体確定の有償ガチャを引いたのに」


 俺は消えゆく自動戦闘報酬のログを眺めながら、ため息をついた。

 ログが消えたゲーム画面には、主人公の安室令奈も所属するギルド(部隊)「日影防衛」と生存者が暮らす日影地区の一枚絵マップが表示されていた。


 ちなみに日影地区の「地区」とは、バイオハザード発生後、日影市内に散らばっていた呪人(のろいびと)ゾンビ(怪物)ウイルスによる適合者の中でも、超人能力に覚醒した者のこと。感染者だがゾンビにはならず、人に感染させることもない。複数の超人スキルと超人能力を得る)たちによって安全地帯となったいくつかの場所のことであり、ギルドという呪人で構成された部隊が統治する安全地帯となった場所を指す言葉だ。


「ってか、日影地区って、案外狭いな。ほかの地区も、こんな感じか?」


 そう俺はつぶやいてから、あらためて日影地区の一枚絵マップを見てみる。


 一枚絵マップで見る限り、日影地区はさほど広くなく、端から端まで移動するのには、数キロ程度で横断できそうなくらいの面積だった。


 そんな日影地区より先には、今は亡き「日影防衛」初代ギルドマスターの呪人による超人スキル――(じゅ)()という呪いの霧が一キロメートル以上に渡ってかかっているそうで、簡単には呪霧を抜けることはできないという。


 ふと、俺は戦闘パーティにいるキャラクターたちを愛でたくなり、四人編成のパーティ画面を開いた。


「光属性のSR(スーパーレア)眠爆(みんばく)呪人(のろいびと)』安室令奈、善属性のSR『心傷式(しんしょうしき)治療(ちりょう)の呪人』宮野(みやの)()()、闇属性のSR『()(ねん)の呪人』木原(きはら)(かん)()、無属性のN(ノーマル)『巨躯の黒幕風ゾンビ』ゾーン・ゼルネス……って、おいこらっ! パーティ内にさらっとゾンビが入ってんぞ、今すぐにパーティから外せぇぇぇ!!!」


 俺はゼルネスをパーティから外す代わりに、闇属性のUR(ウルトラレア)『素人ゾンビ研究者の研究成果』大山(おおやま)(てい)()をぶっこんだ。


 ……さて、次は戦闘パーティの人物紹介と立ち絵について見てみよう。

 もっとも、野郎の人物紹介や立ち絵は見たくないので、今俺が見るのは女性メンバーだけだ。許せ。


 早速、俺は「日影血戦」の主人公であり、「日影防衛」所属の呪念師(じゅねんし)(特殊系能力者)でもある眠爆(眠気を爆発に変換する)の呪人――安室令奈の人物詳細をクリックした。


 背中にまで達する長い黒髪を持つ長身の令奈は、血まみれになったボロボロの黒の学生服を着ていた。

 真っ赤な瞳の彼女は、見るものすべてを凍りつかせる無表情。

 極度の寝不足で片頭痛でもするのか、令奈は左手でこめかみを押さえていた。


 年齢は二十歳。バイオハザード後はカフェイン剤が手放せなくなるが、昏睡状態から覚醒したあとは眠爆の威力を高めるため、短時間型の睡眠薬を一日に二回服用する。


 切り札は、超短時間型睡眠薬の服用。壮絶な眠気を催すことで、眠爆の威力を爆発的に強化するが、令奈いわく、切り札は黒幕相手に使用するという。


 俺からの一言コメント! ……大人しく寝とけ。


「……世の中の良い子と悪い子の諸君、彼女のような使用目的で睡眠薬を飲まないように」


 さてお次は、日影防衛きっての呪念師衛生兵であり、病んだ天然女性でもある心傷式治療(心の傷で人を治療する)の呪人――宮野眠美。


 ピンクの髪を鎖骨の位置まで伸ばした高身長細身の眠美は、緑色のジャージの上から血や泥などで汚れた白衣を着ていた。

 キレイな緑色の目を持つ彼女は、割れた眼鏡をかけていて、どこか歪で空虚な笑顔でこちらを不気味に見つめていた。

 胸が痛いのか、それとも心が痛いのか……眠美は左手で胸を鷲掴みにし、右手は救いを求めるかのように手を伸ばしていた。


 年齢は二十三歳。バイオハザード後は精神的に深いダメージを受けて病み、自己の心を防衛するために天然なキャラになる。


 自身が受けた心の傷で他人を治療することができると知ったとき、彼女はこの絶望の世界で生きる意味を見つけ、それ以来、心が傷つくことを恐れなくなった。


 切り札は、自身がこれまでに受けた心の傷を体の痛みとして転換し、いっぺんに痛みを味わったあと、そのすべての痛みを複製&転写することで、対象者一人に絶大な痛覚を与える能力スキル――「死神(リーパー)一撃(ショット)


 俺からの一言コメント! ……諸刃の剣はつらたん。


「あまりに彼女たちが可哀そうで、なんだか気分悪くなってきたぞ……? ここは一度、休憩でもするか」


 俺は独り言をつぶやくなり、ゲーム画面を閉じて、パソコンをスリープ状態にさせた。


 休憩のため、俺は狭くて薄暗い部屋から広くて明るいリビングに移った。

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