分からない様な、何か
ねえ、愛してるよ。ずっと一緒に居ようね
真実の愛とは何だったんだろうと、今となっては思う。
貴方は言った
君のためなら何でもするよ。命でさえも惜しくない
君が一緒にあの世に行ってくれるのなら、俺は地獄に行こうが奈落の底へ落ちようがどうでもいい。君さえ居てくれるのなら。
力強くて揺るぎない言葉と真っ直ぐな声で私の心臓をまるで小さい仔猫を撫でるように優しく触れた。私のそれは爆発してしまうのでは無いかと思うくらいに鼓動が激しくなった。有り得ない。そんな訳ないと思いつつも本当だと信じてしまったのである。
君は言った。
何があっても離さない。貴方が居なくなるなんて私はどうしたらいいの?貴方は私のことを嫌う?私はずっと貴方のことが好きよ。例え私のことを必要としなくても。
不安そうに俺の顔色を伺う君は、まるで飼い主のいない捨て猫のようで愛らしかった。俺の奥底にある何かがふつふつと湧き上がってくる。なんだ、この気持ちは。俺は分からない。わかってはいけないような気がした。わかってはいけないこの気持ちを何処にぶつけていいかも分からず、俺は君を抱きしめた。
貴方はどうして、そんなに私を苦しめるのだろうか。
貴方は私の何もかもを調べ尽くして全て突きつけた
お前はどうしてこんな事をするんだ、こんなやつと関わる必要は無い。お前なんか誰も必要としていない。俺はお前が好きだ、お前が必要だ。頼むから俺の知らない所で見えないところで何もするな。俺がしてやるからもう何もするな。
そう言って、私のなにもかもを奪った
好きだった貴方は、別人になってしまった
私が知っていた貴方は遥か彼方へ消えてしまった
どうしよう、逃げなくては。こんな怪物と運命なんて信じられない。
しかし、もうそんな選択肢はないのだ。この運命に従うしかないのである。
君はなぜ、俺の事を蔑ろにするんだ
俺は不安でたまらない、毎日君のことを考えてはおかしくなるくらいに君を傷つけたくなる。いや、もう既におかしい。俺は狂った。気づいてはいけない、わかってはいけない気持ちに気づいてしまったのだ。
そう、この気持ちは。
そうだ、そもそもこんなに愛し合っているのに俺だけのものじゃないなんておかしい。こんなに愛を注いでいるのに何故他のものに楽しさや幸せを求めるのか。
俺だけでいいじゃないか、君の気持ちを分かっているのも味方なのも俺だけなのに、何故お前は俺だけを見てくれない?何故だ?
俺だけを見てくれない目など要らない、他のものに触れる手も他の奴に会いにいくその足も、俺だけのために使ってくれるのでないならば、俺が全て貰ってやる。
怖がるな、世話もするしずっと一緒にいるよ。全て受け止めてやるから、捨てたりしないから。
これが真実の愛、だよな?
愚かである。私は愚かだ。君が好きと言ったゲームも、ぬいぐるみも、ケーキも、君の跡を辿るように眺めてしまう。ああ、どうすれば君は俺の気持ちを分かってくれるのか。どうして君は俺をめちゃくちゃにしたんだ。愛おしい君が憎くてたまらないよ。
もう私は何も分からない。真っ暗な中で君の声がする。私は醜い人間だ。いや、人間なのだろうか。こんな得体の知れないものを愛してくれるのは君しかいない。頼むからどこにも行かないでくれ、もう抵抗も、逃げようともしないから。
2人だけの秘密の花園で、朽ちていこう