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基本の確認

「まずは劣化魔術の基本からだな」


「その前に一つ疑問がある」


「聞こうか」


「オレはまだアンタの力をよく知らない、それを示してくれないか」



 私の師匠になる男だ、能力の一旦は見たが当てになるのかが知りたい。



「それもそうだな、よし見ていろ」



 ガオリスは剣を抜くと、近くの大木にゆっくりと刃をあてた。



「ふんっ!!!」



 木が揺れる。

 静止した状況から力を入れて剣を押し込んだのだ。


 剣は両手を伸ばしたよりも大きな木にめり込んでいく。

 だが刃は途中で止まった。



「普通の状態じゃ剣を動かすだけでは木を切る事はできない」



 そうは言うが、押し当てるだけで大木の半分は剣が進んでいる。

 振りかぶっていたら、一刀の元に断ち切っているだろう。


 筋肉だけの力でこれ程とは少し見直した。



「やっぱりちょっと歪んじまったな」



 抵抗を無視した結果か、刃が少し歪んでしまっている。

 ガオリスは刃を裏返した。



「次は劣化魔術を使うぞ」



 剣を先程より下の位置にあてると、空気が変わる。


 ガオリスの体から白いもやのようなモノが現れた。

 それは剣先まで伝っていく。



「ふっ!!」



 ゆっくりと刃を押し込むと先程よりも勢いよく剣が進んで行く。

 そのまま大きな木を横に両断した。



「よっと」



 ガオリスは木を蹴り飛ばして奥に倒す。



「これぐらいの差が出てくるんだ」



 剣の刃は歪みを見せていない。

 動作は同じなのに結果がまるで違う。



「これが劣化魔術……」



 ガオリスは歪んだ方の刃を指で挟むとなぞる様に整えていた。

 身体能力の向上が著しいと思う。



 これは良い。

 技術を鍛えてきたが筋力の足りていない私にはうってつけの様に思えた。



「早く教えろ」


「だからお前さんはどの立場なんだよ……。ったく、俺は師匠だぞ」



 ガオリスは頭を掻きながら苦笑いを浮かべた。










 劣化魔術の修行に入る。

 私は目を閉じて体の隅々に意識を巡らせる。



「集中しろ、強い自分を意識する感覚だ」



 強い自分。



「より強く、より速く、より高く。自分の限界を意識で突破する感覚を持て!」



 その言葉にハッキリと自覚する。

 私はアイツに復讐する為にならなければならない。



 より強い存在に。

 より速い存在に。

 より高い存在に。



 そう意識すると、今までぼやけていたモノがハッキリした感覚。

 私の体を、何かが身に纏う暖かい感触を覚えた。



「成功だな、やはり才能はある」


「当然だ。そうで無くては困る」


「結構、じゃあ木を切ってみるか」



 渡された剣で、木の前に立つ。



「白いもやみたいなものが出ないぞ。剣先に力が伝わっている気もしない」


「初心者が何を言ってんだ、俺様の境地はもっと先だ」


「すぐに追い抜いてやる」


「へいへい、まぁ今の出力でも切れるはずだ。振ってみな」



 言われた通りに剣を振るう。

 少し引っかかりを感じたが、木が簡単に切れた。


 木を蹴り飛ばすと奥に倒れた。



「ふん!」



 私は胸を張った。



「何で自慢気何だよ……。体は問題ないか?」


「あぁ、木を切った時の反動が思ったより少ない」


「そうだ、反動で自傷しかねない場面でもある程度衝撃を吸収してくれる。だから自分の筋肉量以上の攻撃を繰り出せる訳だな」


「筋肉があれば更に威力が上がるという事か?」


「だな、相乗効果ってヤツだ。だから筋肉を鍛えるのも続けて行くぞ」


「望むところだ。……ぁ」



 不意に劣化魔術が消えた感覚を感じた。

 途端、体に重りが乗ったかの様な錯覚を覚える。



「切れたか、まぁ最初はこんなもんだ」


「ぜぇ、はぁ……」


「がっはっはっはっ!」



 息切れをしている私を見て、ガオリスは大きく笑った。



「劣化魔術は体力を喰うんだ、こっちも伸ばさないとな」


「……ムカつく」



 再び劣化魔術を使おうとする。

 だが不安定で上手く纏えない。



「ちっ……」


「劣化魔術を極める為の基本は常に纏うことだ。取り合えずその練習からだな」



 それから常態化を目指す最初の一歩が始まった。


劣化魔術はあの作品よりも前に思い付いた設定です。


つまり、あの頃の自分が頑張って居たら億万長者だったのです!


(ほんとかなー)

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