表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/34

討伐依頼

 魔獣討伐の依頼は掲示板にまとめて貼られていた。



「あったあった、これだな」


「駄目鳥か」


「お、知ってんのか?」


「確か大型の鳥類だと聞いた」


「そうだな、奴らは宙に舞う。だから攻撃が届かない駄目だー! ってところから駄目鳥って名前になってんだ」



 身振り手振りで表現するガオリス。



「どうでも良いな」


「がははは、つっても駄目鳥の飛ぶは跳ねるの方だけどな」


「鳥なのに飛べないのか」


「そういう意味でも駄目鳥だ、面白いだろ?」


「別に」


「あらら、ひょうきんさも才能だぞ」


「それで強くなれるのか? なれないだろ」


「確かに魔獣相手じゃあまり意味が無いが、人間相手なら別だ」


「その予定は無いな」



 私が殺したいのは赤い竜だけだ。



「嫌でも出てくるさ、お前さんはウチの団に入ったんだ。腕試しを挑まれることもあるだろう」



 知名度の高い団に入ると名を上げる為に挑まれる事があるとは聞いた。

 その中でも新入りである私は狙われやすい位置に居るようだ。



「……話だけは聞いてやる」


「雑魚のふりをすると、相手が油断するんだよ。力量が近い相手なら利を取れる」


「力量が遠い場合は?」


「それでも可能性が生まれる。今すぐに俺様とお前さんが闘ったら必ず俺様が勝つよな?」


「いや、オレが勝つ」


「張り合うなよ……。だがまぁ、俺様が小便してる時ならお前でも可能性が生まれるだろ」


「気持ちが悪いことを言うな」


「解釈を拡大するとそういうことだな。んじゃ、依頼を受けてくるか」



 がはははっと笑って受付に向かうガオリス。

 なんて下品なおっさんなんだ。



「あら、ガオリスさん」


「おぉ、アンタは……」


「はぁ、また名前を忘れたんですか? メドイですよ!」


「メドイ、メドイなぁ。覚えておくからな」


「もう、そんなことを言っていつも忘れるんですから」


「あら、あなたはフルミスさんでしたね」


「あぁ」



 メドイという女性には面識がある。

 傭兵団を斡旋してくれた人だ。



「ガオリスさんの傭兵団はどう?」


「別に、強くなれるならどこでも良かったから」


「あらまぁ。でも、それなら良かったわね」


「……?」


「ガオリスさんの強さは斡旋所としても保証する所ですよ」


「有名なのか?」


「えぇ、この街では知らない人は居ないぐらいです」



 そう言えばさっきの詐欺師も名前を呼んでいたな。



「それに、武術大会の主催にして初代王者なのよ」



 そうだったのか。



「お前さんが一勝できるぐらいだから質は落ちてるけどな」


「ムカつく」


「がはははっ。相手を煽って有利を得る奴もいる、これも修行だと思うんだな」


「殴っていいか?」


「そういうのは聞く前に殴るんだよ。お前さんは対人戦で苦労しそうだな」



 想定に無いモノに苦戦するつもりはない。


 取り合えず横腹を殴っておいた。

 筋肉に弾かれたけれど。



「討伐依頼は受領した、行くぞ」



 私は先に歩いていく。



「おい、待てって。ホント、はねっかえりだなあの坊主は」


「ふふふっ」


「あぁん? どうしたんだ?」


「いえ、ガオリスさんが嬉しそうですから」


「まぁな、あれぐらいの方が強くなる」



 私達は傭兵斡旋所を出ると、街の外へと向かった。


リズムに乗るぜ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ