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第五章「ショッピングモールでの戦い」

少しだけ注意。

お食事中に読まないで!

 





 …ってなわけで、やって来ましたショッピングモール。




 受け取った鍵を使用して門扉を開けて中へと入る。

 門扉の傍にあった看板には大きな字で"ようこそ!"と書かれていた。


 殺風景なショッピングモール。

 まだ日も昇っている時間だと言うのに誰も居ない。

 ここは、閉鎖したショッピングモールなのか。



「[なんだか楽しそうなとこだな!]」



 シムが言う。


 シムにはどういう風に見えているのか知らないけど、何処をどう見たら楽しそうだと思えるんだ。



「…………」



 男は、ここで待て。と言った。


 男が何時来るのかわからないけど、待つとなれば目立つ所に居た方がいい。



 そう思い、歩き始める。


 すると突然何処からか銃声の音が鳴り響いて、同時に胸に鋭い痛みが走った。

 足元には血が飛び散り、俺はその場でよろける。

 胸からは大量の血が流れ出た。



 俺から出る血を見つめて、シムは舌打ちをする。




「[っ、…イオ!]」

「っ…大丈夫。何だ、いきなり?」



 胸を押さえて、首を動かす。


 何処から撃たれた?

 神経を集中させて、警戒しながら探す。

 するとそこでまた銃声の音がして今度は頭を撃たれる。



 ギリギリの所で掠れたけど、あと少しずれていたら確実に倒れていた。




「[おい!何処に居やがる!出てこい!]」

「……………」



 シムは叫ぶ。


 しかし誰も出てこない。

 何処に居るのか。

 未だに見つからずにいる存在に、俺は眉をひそめて舌打ちをする。


 次は右肩を撃たれ、次は左足。

 次は右腕。右足。左腕。脇腹。

 等、次々と撃たれる箇所が増えていって、俺はとうとう耐えきれずにその場に膝を付けた。




「[イオ!]」

「………っ、」



 心配そうに、シムが俺を呼ぶ。


 ヤバい。意識が薄れてきた。

 こんな所で気を失うわけにはいかない。



「ほぉ。まだ息があるか」

「!」



 奥歯を噛み締めて、なんとかギリギリの状態を保つ。

 誰かの声が頭上から聞こえた。


 顔を上げると、そこに居たのは屈強な肉体を持った異形。

 そいつは俺を見下ろして笑っていた。



 肩には銃。スナイパーライフルか。



「さすがだと言いたい。が、まぁこのまま放置しといてもてめぇはいずれ死ぬ。でもな」



 異形はスナイパーライフルを構え、俺の額に銃口を突き付ける。

 眉をひそめて睨み付ければ、異形は口元を緩ませた。



「念には念をって言うだろ?さすがのてめぇでも、脳天ぶち抜かれりゃあ…、なぁ?」

「………。やってみろよ」

「あん?」

「脳天ぶち抜きゃ俺は死ぬんだろ?なら、試してみろ」

「……………っ」



 言うと、異形は眉をひそめて怒りを(あらわ)にする。

 そしてそいつはライフルの引き金を引いて、俺の脳天に風穴を開けた。


 俺はその場に倒れて動かなくなる。

 血を流して倒れている俺を目にして、異形は舌打ちをしながらライフルを肩に担いだ。




「チッ、手間取らせやがって」



 踵を返して、異形は歩いていく。

 少しだけ離れた所で、異形はそこで自分の周りの空気が変化している事に気付き、足を止めた。


 異形の背後で、血を流し続けながらもゆっくりと立ち上がる。

 異形は気配に気付いて振り返った。



 そこには、確かに殺したはずの…。




「[おいコラおっさん!何してくれてんだよ!]」

「っ、…な!?」



 そこには、確かに殺したはずの俺が居た。

 異形は俺を見て目を見開く。


 あの状態で立っていられるはずがない。

 そういう目をして異形は俺を見ていた。

 俺は手を腰に当てて異形を見る。



 ……、俺。というより、シムと言った方が最適か。


 この時、俺の意識は何処かへ飛んでいる。




「おい、何で生きてやがんだ?脳天ぶち抜いたはずだぞ?」

「[そんくらいじゃ俺らは死なん]」



 はぁ。と、息を吐く。



「[知らないのか?人間って生き物はな、死なないように中身弄くられて改造されてんだよ。子孫繁栄ってぇの?…に、貢献するためにな]」

「はぁ?何言ってやがる?」



 異形は表情を歪めて首を傾げる。


 子孫繁栄(しそんはんえい)

 久しぶりに聞いたな、その言葉。



「[まぁでも、餓鬼作ったら人間そのままお陀仏だから意味ねぇけど]」



 言って、シムは笑う。


 異形は眉をひそめて、ライフルを構えた。



「意味わかんねぇ事言ってんじゃねぇぞ!死なねぇってんなら死ぬまで穴だらけにしたるわ!」



 引き金を引いて、異形は弾を乱発する。

 それを見てシムは再び息を吐き、面倒くさそうに手を伸ばして勢いよく飛んでくる無数の弾を寸でのところでピタリと止めた。


 弾はその場でふるふると震え、しばらくすれば音を立てて地面に落ちる。



 異形は、それを見て目を見開いた。




「は!?」

「[…超能力(サイコキネシス)って知ってるか?科学異説(かがくいせつ)を知ってりゃ一発でわかるんだが]」

「超能力…?」

「[どうやらてめぇはわかんねぇみたいだな。だったら教えてやる]」



 言うと、シムは手を異形の方に向けたまま指を小刻みに動かす。

 すると異形の身体は突然硬直したように動かなくなり、異形は再び目を見開いた。


 キシキシと身体の中から音が聞こえ、次第に異形の表情が崩れ始める。



「っ、…てめっ、何を!」

「[何って。返してんだよ、痛みをな]」

「……っぐ、!?」

「[言っとくけど、これより痛かったんだぜ?俺らはなぁ!!]」

「ぐ、ああああっ、!」



 ゆっくりと、手のひらを閉じる。


 完全に閉じてそれを解いた時には異形は死に絶え、シムはそれを見て肩を落として息を吐いた。



 そこでようやく俺の意識が戻ってきて、俺は目の前で死んでいる異形を見て眉をひそめる。




「…何だこれは?」

「[戻ってくるのがちょっと遅かったな。三途の川渡りかけたか?]」

「質問に答えろ」

「[…チッ。あのおっさんが俺ら殺そうとしたんで、その前にサイコ使って殺した]」

「は?………、あぁ、そう」



 一瞬よくわからなかったが、少し考えて納得した


 俺は息を吐いて、異形を見る。

 するとそこで背後から声が聞こえた。

 ビクッと肩を震わせて振り向くと、そこには仮面の男が。



 ついさっきもあったぞ、この流れ。




「っ、…!?」

「待たせたな」

「[っ、てめ!わざとか!?急に声掛けんなっての!!また三途の川行くだろ!!]」

「…三途の川?」



 いや。

 三途の川にはもう行かない。


 首を傾げて、男は俺を見る。



 俺は、こほんと咳払いをして男の方に身体を向けた。




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