第60話 消えた挑戦者たちの行き先 風刺画も見てね。
無事、何とか竹長尾を倒した直子たち。
倒して帰る時、安部は直子に話しかけた。
「直子、先週の挑戦者だが・・・。」
直子は振り返った。
自分があずかり知らぬところで挑戦者が企んでいたことに。
自分が妨害対象にされていたとはいえ、挑戦者を斬らずにして元に戻せなかったことを。
「あの時の挑戦者はどっちにしろ斬られる奴だった。」
「えっ・・・。」
直子は少しカチンときた。安部もアイアスと同じことを言うのかと思った。
しかし、安部は違った。
「あいつは本来いないはずの本だった。更に、人々を困らせた上にも持ち主の奥さんの体を乗っ取っていたんだ。アイアス関係なく、あいつは消滅になる者だった。だから、直子。自分に落ち度があったって思うな。」
安部は安部なりに励ました。しかし、直子は複雑な気持ちになった。
(どちらにせよ、斬られるか・・・。)
直子はあの本がもともと存在しないはずとかそんな感じの言葉に、じゃあ人間以外はいるはずがないのと言いたい気持ちになった。
しかし、安部なりのフォローであることには直子も分かっていた。
「あっ、そういえば!」
真紀久が大きな声を上げた。
「どうしたの?」
直子は聞いた。
「思い出したんだ。挑戦者がアイアスに斬られるときの事。」
「何を?」
「前に生贄司祭がいたよね。」
「大蛇召喚した人だっけ?」
「そして食われたよな。」
「また大蛇が出たのかよ!?しかも喰われた!?」
安部は直子たちの話に驚いた。
少し安部に生贄司祭の事を説明する。
その後、続きを真紀久が話した。
「司祭が喰わ死亡したことになったんだ。大蛇に食われて消化したことで。翌週は葬式があったんだ。」
「悪の組織が葬式って・・・。」
「まぁ、特撮でも国葬があったからなぁ。」
「「あったんだ!?」」
直子と安部は2つの事に驚きつつ、話を聞いた。
熊田も心の中であったなぁと思った。
「しかしね、アイアスに斬られた時は、葬式なんてなかったんだ。」
「えっ・・・。」
「どういう事?」
参加者の熊田も思った。
(そういえば、やっていなかったなぁ。)
「僕はね、思ったんだ。もしかしたら、アイアスに斬られた人は消えただけで生きているんじゃないかと。」
「う~ん、可能性はありそうだけどなぁ。」
「非科学的~。」
「・・・。」
真紀久の考察に賛否両論だった。
「他にも根拠があるんだ。あの神は一週間に一人とか割と特撮のお約束的なものを守っているじゃん!」
「まぁ、一週間に一人のペースなら確かに・・・。」
「あいつのことだ・・・。きっと再生怪人とか敗者復活とかでまた出てきそうなんだよね。」
「何をこん・・・、あぁそうか。依り代だったもんな。」
安部は真紀久が自称神の済陽に依り代にされたことを思い出し、納得した。
「だから、もしかしたら大丈夫なんじゃないかな?」
真紀久の安心に直子は唸った。
「まぁ、確かに生きてては欲しいわね。」
一方、モストホープ社は・・・。
アウルート「竹長尾さん、リタイヤですか・・・。」
済陽「そうだね、春にやれか・・・。春だったらよかったかな。」
アウルート「おいおい・・・。」
済陽「それにしても、真紀久。敗者復活と考えたか・・・、良いところに入ってるねぇ。」
アウルート「済陽様、もしかして・・・。」
済陽「それは内緒♪」
済陽は嬉しそうな笑みを浮かべていた。
ここで風間先生の風刺画?
最初は替え玉・カブお化けの黒田真紀久。『ハロウィンの原点』
今回は絵ではなく彫刻。カブでジャック・オー・ランタンが彫られていた。
顔は原典仕様で見る人によっては顔が怖いとの感想があった。
次にモストホープ社の社長こと、怠惰・ぐーたら黒幕のアダーク。『玉座の魔王』
絵の一番上の玉座に座っている魔王。しかし、下では手下たちの悪魔が惨い姿で人間たちにやられていた。
3枚目は独善・滅私奉公の徳田良子。『可愛くなると思って』
絵は長髪の寝ている女の子とハサミを持っている短髪の女の子。
短髪の女の子は頭の中で長髪の女の子が短髪にしたら可愛くなると想像している。しかし、長髪の女の子は、今以上に髪を長くして喜んでいる夢を見ていた。
4枚目は挫折・苦痛の努力家の土田積夫。『越えられない壁』
絵は3人の少年が高いグラフの上にそれぞれ立っていた。
一人の少年は『努力』と書かれたグラフの上に立っていた。結構長い。
しかし、残りの二人は『努力』と『才能』のグラフと『才能』だけのグラフに立っていた。
『努力』のグラフよりも長かった。
5枚目は狂言・サスペンス脚本の伏木。『事実は小説よりも奇なり』
絵は、温泉旅館で起こったサスペンスの内容だった。
旅館の中で死んだふりをしている二人の男性とナイフを持った犯人と会社の偉い人、前科1000犯以上の一般人。旅館の上の空はたくさんの幽霊たちが描かれていた。
6枚目は浸食・キノコタケノコ農家の子の竹長尾。『茶色だけど春』
春のキノコとタケノコの絵が描かれていた。