第1話 鉞VSハリセン
6月7日(土)PM12:30 国嶋市北区商店街 ~怪人~
小野聖子の挑戦が始まった。
「お酒を破壊!」
彼女は国嶋市の北区から一軒ずつ酒場やコンビニ等のお店にあるお酒だけを壊していった。
「わしのお酒がぁ!」
「俺の大事な商品がぁ!」
店主、店員、お酒を買う客人は涙と酒を破壊され、悲鳴を叫んでいた。
「いや、まだだ!」
「床にあるものを吸え!」
それでも床にこぼれた酒を飲もうとする者もいた。しかし、床の酒を啜る途中でこぼれていた酒が消えてしまった。
「あぁ・・・、おしまいだ!」
「なんてこった・・・」
その後も聖子は北区のお酒売っている店を半分(80件)も破壊した。残り店舗は520件。
同日 PM15:00 国嶋市中央区繁華街 ~横田直子~
私の名前は横田直子。20歳。ロングヘアーと背丈が高いこと以外なんの特徴もない大学二年生の女だ。
今日は、繁華街で人と会う約束をしていた。その人は前に路地裏で不良にカツアゲされていた所を私に助けられ30代の男性だ。私は男性にお礼をしたいといわれて、今日は繁華街にある喫茶店でお茶をする予定だ。
10分後
「お待たせ!遅れてごめんね!」
「いえ!大丈夫です!」
後からやって来て謝った男性が管田良尾。若々しく明るい元気な男性だ。
「横田ちゃん、あの時はありがとう!お礼にこれを持ってきた。」
そう言って管は持ってきた約80㎝の大きな紙袋を私に渡した。
「わぁ!いいですよ!こんなに要りません。」
私は申し訳なさで遠慮した。しかし、彼は引き下がらなかった。
「いや、是非とも受け取ってほしい。君には本当に感謝している!良いから受け取って!じゃないとバイトに怒られる!」
管さんは小声でマシンガンの様に紙袋を押し渡してくる。仕方がないのでご厚意に甘えて受け取ることにした。
「分かりました。有難く頂戴します。」
「どうぞどうぞ、開けてみてよ。」
紙袋を開けて中身を取り出すと、袋から60㎝のハリセンが出てきた。
「なんじゃこれ!」
私は小声で驚いた。
「パーティグッズに使ってよ。他のも見てごらん。」
「いつ使うんだろ・・・。次は・・・。」
ばりん!ガシャン!ぼとぼとぼと・・・
「「ぎゃーーーーーーーー!」」
次の中身を取り出すところで喫茶店の外から悲鳴とガラスの破壊音が上がった。
窓を見ると、向かいの酒屋でシスター服を着たおばあさんが斧を強く振りかぶって中身が入った酒を壊しまくっていた。
「ナニコレ・・・。」
私は唖然としていた。目の前の暴動にシスター服を着たおばあさん、斧で壊すという3重の意味で驚いていた。
すると、先ほどもらったハリセンがピカーンと輝き始めた。その直後に管さんが真剣な顔でお願いをしてきた。
「お願い横田ちゃん!このハリセンであのおばあさんを叩いて止めて!」
「嫌ちょっと待ってください!ハリセンで叩いて止めるのですか!?それに斧がハリセンを切ったら終わりますよ!?」
「大丈夫だ!このハリセンは丈夫にできている。」
「そういう問題じゃないです!それになんで私なんですか!?もしかして、最初からこれが目的だったのですか?」
私はあわてつつも管さんにムッとしながら質問をぶつけた。
「ごめんね、そうなんだ。」
「おいっ!」
「でも、ハリセンであれを止めることができる。最初に僕はあのおばあさんを止めるから。」
「あっ、ちょっと!」
管さんはハリセンをもっておばあさんのところに向かった。
おばあさんは斧を大きく振りかぶって標的の酒瓶を壊そうとする。
その間に管さんがハリセンで斧を盾にして止めた。
そのハリセンは切れないどころか折れ曲がってもいなかった。
「ねっ、丈夫でしょ!」
管さんは自慢げに私に行った。しかし、その直後。
「邪魔!」
ドンッ!
「ごふっ!」
シスターのおばあさんは斧を横にスイングして、喫茶店の方向に管さんのお腹を打った。管さんは喫茶店の壁に直撃した。どかん!ぱららら・・・。
「管さん大丈夫ですか!?」
「ごめん、後は頼んだ。」
管さんは力尽きるかのように倒れてしまった。
私はため息をついた。そして、目の前のシスターのおばあさんと戦うことを決意した。ハリセンは丈夫であること、そして目の前の惨劇を止めなければと思ったからだ。
私はハリセンを持った。すると、力がみなぎってきた。
私はシスターのおばあさんに向かって走った。シスターは酒を壊すのに夢中で後ろを向いていた。
その背中にハリセンを叩いた。
「ぐわぁーーーー!」
ハリセンの攻撃はシスターに効いた。そして、シスターは私の方に向いた。
「痛いじゃないの、私の禁酒活動を邪魔しないでよ!」
「いいえ、あなたがやっていることは器物損害で悪いことをやっています。今すぐやめてください!」
「ふざけるな!私は神のお告げ通りにいいことをやっているのよ!取り消しなさい!」
「いいえ!取り消しません!」
私が彼女の行為を否定すると、怖い顔になり私に襲い掛かった。
「くたばれ!」
シスターは大きく斧を振りかぶった。
しかし、私はよけることに成功した。
その隙をついて私はシスターにハリセンを5発叩いた。
シスターはさらに怒り、横にフルスイングした。
「とうっ!」
管さんの時にならないように、私は素早くジャンプした。
「やぁあ!」
そして、そのままかかと落としで斧にあててシスターの手から離した。
「くっ、よくも伝説の斧を!」
丸腰になったシスターを私は6発叩いた。
すると、シスターから黒い火花が出てきた。
「くっ、よくもよくもぉ!」
「なにこの火花は?」
「今だ、正論や突っ込みを言ってとどめを刺すんだー!」
喫茶店の方から復活した管さんが大きな声で助言をした。
私はシスターのおばあさんに向かっていった。
「シスターのおばあさん!」
「小野聖子だよ!」
「小野聖子さん!あなたが目標としているその禁酒活動、残念ながら、達成することはできません。」
「なんだとぅ!」
「なぜならここは日本。この国は酒が必要な行事があるからです!そして、禁酒法時代は・・・、悪い結果で幕を閉じていますよ!」
バァン!渾身の正論とハリセンの突っ込みをシスターにぶつけた。
「ぐぅわわあああああああああああああ!」
小野さんはとどめを食らうと、体中から黒い煙を吹き出しながら、苦しんだ。
そして、10秒後にそのまま消えて倒れてしまった。
倒すと、砕けた瓶で散らかっていた酒屋が何事もなかったかのように酒を売っている綺麗な状態に戻った。
PM16:30 国嶋市中央区 玩具屋久田
騒動を終わらせた私たちはあの後、小野さんを救急車で病院に送った。
命に別条がなく後遺症も残っていないとの事だった。
しかし、今の私は怒りや不満が管さんにたくさんあった。私たちは場所を変えて久田さんのお店で問い詰めた。
「いったいこれはどういう事ですか!?はっきり教えてください!」
私が強く言うと、管さんは私に目を合わせて口を開いた。
次回へ続く
残り挑戦者39人 失敗者1人
挑戦者ファイル2
名前 小野聖子
年齢 61歳
罪名と肩書 破壊 禁酒シスター
好きなもの ごはん
嫌いなもの 酒
願い事 禁酒・酒の絶滅
実父と夫の酒飲みによってお酒が嫌いになった。
その後、キャリーネイションという人物の影響を受け、禁酒の署名活動を行っていた所アウルートにスカウトされ挑戦者になった。右手に鉞を持って攻撃する。
元に戻った後は料理を研究し、酒の必要性を知る。
訂正
×管田田良尾
〇管田良尾