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不幸青年と混血吸血鬼2

7月20日(日) 午前6時 喫茶長寿

目覚ましの音が部屋に響き、僕遠藤西尾は目覚めた。

目覚めた時は最悪だった。昨夜は悪夢を見てしまったからだ。それもまた、何回も見たことがある夢だ。僕は何度も3種類も同じ悪夢を見る。

一つは、白昼堂々と侍に斬り捨て御免をされてしまった夢。もう一つは魔女狩りで魔女じゃないのに魔女として処刑された夢。そして、最後はお城を建てて、機密保持として処刑される夢だった。

何度も見る夢は命を落とす夢で最悪だった。

それでも僕は、気持ちを切り替えるために顔を洗って着替えた。


「おはようございます!」

「西尾君、おはよう。」

僕に挨拶を返してくれた人が喫茶長寿のマスターの長田勇さんだ。この人は腰が低く、とっても優しい人だ。その人柄からかたくさんのお客さんから慕われている。

「西尾君、店内の掃除お願い。」

「はい、分かりました。」

今日もここで与えられた業務を始める。


午前8時20分

掃除も下準備も終わり、もうすぐ開店。その時だった。

ぷるるるるるるる!

電話が鳴った。僕は受話器を取った。

「はい、長田です。」

『こちら、高井病院です。遠藤さんはいらっしゃいますか?』

「はい、私が遠藤です。」

『先日あなたが連れてきた吸血鬼の患者様が回復しました。』

「そうなんですか!?」

そうか、回復したのか。それは良かった。

『それから、吸血鬼の患者様があなたに面会を求めています。明日からの面会に来ていただけないでしょうか?』

「彼女が・・・、分かりました。時間があり次第、面会に行きます。」

僕は、電話を切った。その直後、長田さんに声をかけられた。

「昨日の吸血鬼の件ですか?」

「はい、回復した事と面会に来てほしいとの事でした。」

因みに長田さんには昨日の出来事を話している。

「・・・すみません、明日のシフトなんですが・・・。」

「行ってきなさい。」

「いいんですか?」

「うん、会った方が私はいいと思う。」

「ありがとうございます!」

僕は長田さんに礼を言って今日の業務に打ち込んだ。


7月21日(月) 10時 高井病院

翌日僕は、お見舞いの果物セットを持って、病院の面会に来た。受付の方から病室の番号を聞いてそこに向かった。番号は929号室。

引き戸を開けると、部屋の奥にあの時の吸血鬼がいた。

「こんにちは。お見舞いに来たよ。」

「・・・・・・。」

吸血鬼は黙ったまま僕を見つめた。もしかして、警戒心があるのかな。自己紹介しよう。

「そういえば、名前を言ってなかったね。僕の名前は遠藤西尾。君の名前は。」

名前を言うと、吸血鬼は答えてくれた。

「サチコ・・・。」

「サチコっていうんだ。いい名前だね。」

「ダッドが名付けたんだ。」

ダッド・・・、あっ、お父さんの事か。サチコ、ずいぶん和名だな。

その後、サチコは少しうれしそうな顔で話した。

「この国で言うハッピーという言葉なんだ。」

「そうなんだ。お父さんはもしかして、日本の人なのかい?」

「うん、日本人で人間だったんだ。海で漁をしていたら難破していたらマムと結婚したんだ。」

日本の人間で、難破して結婚!?ジョン万次郎よりすごいことになっているな。

「ちなみに、お母さんは・・・。」

「マムはイギリスのヴァンパイアだ。だいぶ前に亡くなった。」

サチコは悲しそうな顔で言った。じゃあ、サチコはイギリスの吸血鬼と日本の人間ハーフなのか。すごい特殊なハーフだな。海どころか種族の壁を越えちゃってるよ。

「そうだったんだ、ご愁傷様。」

「ああ、その後、住処を追われてしまい、気づけばここに来ていたんだ。」

「そうなんだね。本当に大変だっただろうね。」

「そうだな。西尾、聞きたいことがある。」

「何だい?」

「どうして、私を助けたんだ?」

「そうだね、ほっとけなかったんだよ。」

「どういうことだ。」

「君は傷だらけで汚れていたでしょ。しかも、消されそうになっていたでしょ。なおの事ほっとけないよ。」

「だけど、助けたら襲ってしまうかもしれなかったんだぞ。」

サチコは恐い顔をして質問した。しかし、答えた。

「けど、君はあの時、僕をスルーしようとしていたじゃないか。それに昔からの性分でね、目の前の困っている人は助けたいんだ。」

「変わってるな。」

サチコは微笑んでいった。

「まぁ、そうだろうね。それと、アイアスだっけ。気に食わなかったんだ。」

ぼくは苦い表情を出していた。

「どういうことだ。」

「なんというか、前に夢で見た魔女狩りの司祭みたいな感じだったんだ。人間じゃないものを排除する精神や自分たちは絶対的に正しい、私たちは何一つ間違っていない感があったんだ。俺はそんな感じに見えて、君を助ける方に選んだ。」

「なんだそれは、夢なのに実際に会ってされた感じに言うなぁ。」

「やっぱり、おかしいかな。」

サチコは、笑顔で言った。

「いや、そういってくれて嬉しかった。ありがとう。」

僕は仕事以外でお礼を言われたのは初めてだった。僕はうれしくて涙を流していた。

「・・・どういたしまして。」

その後僕は、サチコと少し雑談した後、病院を後にした。


西尾が病院から出た後、サチコはお見舞いの一つのバナナを食べながら一人でつぶやいた。

「西尾・・・、ダッドみたいな感じだったな。」

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