第14話 出オチ挑戦1
7月19日(土) モストホープ社 午前10時
熱くなった7月中旬。最初に一人参加者が追加された。犠牲・廃村司祭だ。黒く汚れた祭りごとに着そうな着物を着ていた。虚ろな目をしていた。
今回の選定はフリーダンスバトル。部屋内では、ブレイクダンス、完コピ、日本舞踊、新体操など白熱したダンスの戦いが繰り広げた。。
しかし、民族系の儀式的な踊りで周りを(困惑の意味で)圧倒させ、反逆・動物将軍、河徳綱吉が挑戦者となった。
外見は60代のおじいさん。服装は江戸時代の偉い人が着ていた着物。
望みは、絶滅動物種の復活と繁栄だった。
アウルートは、彼に筆で書かれたお札をたくさん渡した。
「このお札は復活させたい絶滅動物の種類名を書いて床に貼ると、絶滅動物が一体ずつ復活します。最初は骨の状態で復活しますが、2日後には肉が付いた状態になります。また、種類名が書かれたお札が敗れるとその種族の絶滅種は消えてしまいます。」
攻略条件は、肉の付いた状態で40種以上復活させる。
午前10時30分 中央区
河徳綱吉は、お札に一枚絶滅種の名前を書いた。
デビルハンターに対抗するために強い肉食絶滅動物を召喚することにした。
『ティラノザウルス』と。
床に貼ると骨の状態でティラノザウルスが地面から現れた。
河徳は喜んだ。しかし、喜んだのも束の間。
なんと、ティラノザウルスが河徳を捕食しにかかったのだ。
河徳は逃げる。ティラノザウルスは河徳に噛みつこうと追いかける。
「助けてくれぇ~!」
河徳は冷静になれず、挑戦どころではなかった。
もし、冷静な判断が出来たら、他の絶滅種を書いて、蘇生召喚すればよかったのに。
午前10時40分
挑戦者が事件を起こしたという警報を聞いて、私たちは駆け付けた。
事件が起こっている場所に向かうと、そこには骨の恐竜に食べられかけていたお爺さんがいた。
お爺さんは食べられまいと、両手で恐竜の上あごを抑えていた。
「お願い!助けてくれ~!」
「ハリセンさん、あいつ挑戦者です。」
「じゃあなんで挑戦者が骨に食べられかけてるの。」
「この恐竜はいう事を聞かない方なんじゃ!頼む!命だけは~。」
私は呆れた。自分で蒔いた種に襲われるお爺さんに。身から出た錆だ。
「今からあなたを助けます!しかし、助かる方法はあなたの異能を解除することですが、よろしいですか!」
「嫌じゃ、これはわしの夢なんじゃ!絶滅動物を蘇らせるごとが。この夢を消すことなんてできない!」
「じゃあ、食べられちゃいなさい!」
「クークー!」
ティラノザウルスの噛む力がさらに強くなった。
「ぎゃあああああああ!」
恐竜はついにお爺さんが入った口を閉じた。
お爺さんはなんと、命乞いもせずに恐竜にパックンされた。
「えっ!本当に食われた!?」
私は驚いてしまった。前言撤回もせずに食われたことを。お爺さんは自身の命より動物の命を優先した。
しかし、恐竜はその後一回も噛むことは無かった。
「もしかして、まだ生きているかも。」
そう予想して、その隙に私は恐竜にハリセンを叩いた。すると、恐竜は灰になって崩れてしまった。
「よし、恐竜撃破。」
お爺さんは灰がクッションとなって助かった。また、気絶していた。
「よし、今のうちに解除しよう。」
「そうですね。」
私はお爺さんにハリセンを何回も叩いた。
「命は大切に。」
とどめの言葉を刺してお爺さんは一般人に戻った。
午前10時50分 モストホープ社
アウルート「最短記録の失敗ですね。」
窃盗・才能泥棒「早いよ。恐竜なんてすぐ出すから。」
替玉・おばけ「もっと虫とか草食系出してからにしないと。べローザとかネオヒとかさ」
快楽・サイバー「なんでそれが出てくるんだ。」
替玉・お化け「特撮に出てきた。」
快楽・サイバー「そういう事か。正しくはクジベローサ・テルユキイ、ネオヒボテリス。」
挑戦者残り36+1名 成功者1名 失敗者6人
挑戦者ファイル10
名前 河徳綱吉
年齢 61歳
罪名と肩書 反逆・動物将軍
好きなもの 人間以外の生命全て
嫌いなもの 人間、人類の繁栄、人間の化学
願い事 絶滅動物の復活と繁栄
動物大好きなお爺さん。昔は飼育員だった。
動物を調べるうちに絶滅動物や徳川綱吉に興味がわいた。
その代わり、自分を含めた人間すべてに憎しみが沸いてしまった。
小さい絶滅種から地道に増やしておけば挑戦成功していたかもしれない。
主戦力を求めて焦って恐竜なんて出すから、失敗した残念な人。
郷田元社長がスカウト。