第13.5話 アフタートーク
7月13日(日) 午後1時 喫茶加寺
須田直哉の異能解除をした私たちは、須田君を励ますためにランチを奢った。アイアスはそのままとぼとぼ歩いて去ってしまった。
お昼を食べた後は、須田君はタクシーでそのまま帰った。
その後、入れ替わって黒田君と美香ちゃんと合流した。
「ハリセンさん、ごめんなさい。今回は力になれなくて。」
「いいって、別に。家族の事情なら仕方がないわ。用事はうまくいった?」
「はい。」
美香は元気な笑顔でうなづいた。しかし、すぐに真剣な顔になった。
「まさか、私に言ってきたことが目の前で。それも一週間後に。」
「アイアスさんは何か言ったの?」
「はい。私の挑戦の時は、『無償の思いやりは生きるもの全員あると思っている』、と言っていました。」
「そんなこと言ってたの?」
「はい、清々しく。」
「じゃあ、ああなるよね。しかも、見返りが息子に求めていたものだったというケースだからショックでしょうね。」
「そうだな。まさか、薬のつもりで出したお父さんの本音が劇薬だったなんて。」
「そうですね。黒田さん半分ありがとうございます。半分ドンマイです。」
「後、須田のお父さん、アイアスさんに須田君を斬ってくれと直接頼んでいたよ。」
「えっ!?息子を斬れと・・・?」
「須田君のお父さんが?」
「アイアスさん本人がそう言っていた。アイアスさんは自分が利用されたことにも落ち込んでいるんじゃないかな。須田パパはアイアスさんを利用して邪魔だった息子を都合よく始末しようとしていた。アイアスさんは正義感が強いことだ。手を汚されかけたことにもショックだったんじゃないかな。」
「怖っ!?」
「どれだけ恨みを持っていたのでしょうか・・・。」
「まぁ、須田君には少しずつ立ち直っていってほしいね。今度塔子連れてお昼一緒に食べようかな?」
「そうですね。私も挑戦者だったよしみとして。後、彼の正直なところが活かせるところがあればいいのですが。」
彼も今までの元挑戦者の様に新しい人生が見つかってほしい、そう思ったのだった。
「ところでなんで須田君とアイアスさんは素手で殴りあっていたの?」
「私が武器を止めて仲裁しようとしたから。」
「あの剣と槍を片手で止めたのですか!?」
「うん、あの剣は人は切れないから破片持っても大丈夫だった。」
「うん、あれそういう仕様なんだよね。」
「黒田さんも止めたのですか。」
「うん、前に受けたけど平気だった。」
黒田君が受けたのは高井塔子の時だった。彼は塔子ちゃんを守るためにアイアスに挑発して時間を稼いだ。
その後も適当に注文して食べて会計をして解散した。
モストホープ社
虚無・くノ一「アウルート様。須田直哉に忘却のクナイを刺しました。」
アウルート「ご苦労様です。」
くノ一の無色はアウルートにモストホープ社の場所と主催者の記憶を消すクナイを須田直哉に差し終えていた。
強欲・元社長「それにしても、須田君パパひでぇな。」
卑怯・ルールジャッカー「俺並みに卑怯者じゃん。」
快楽・サイバー「アウルートさん、なんでこいつをスカウトしなかったの?」
アウルート「私もこんな人がいるなんて知りませんでしたよ!」
傍観・モニター「正義の味方を利用するなんて・・・、はははははっ!」
娯楽・バイオ博士「世も末だな・・・。」
部屋内は完全に須田直哉のお父さんに呆れていた。
風刺・芸術家「絵が出来ました。」
今回の絵は『心の鍵』
先が串のような針状になっている鉤がハートに刺そうとしていた絵だった。
「心を開こうとしているのかな?」
「でも、ブスッ!って刺されそう。」
「何それグロイ・・・。」
「開くやとどめを撃たれるかという一か八かを表しているね。」
「今回はばちだったけどね。」
そして、須田玄人はその日以来・・・、家に帰ることは無かった。
午前11時 市内某所
また誰かが、召喚魔法をしていた。そして成功した。
そして、今度は山奥の廃村に召喚された。