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第12話 正直でよか(よくなか)った!

7月12日 午前10時 モストホープ社 

本日も挑戦者の選定が始まる、その前に。

「最初のお知らせは、新たに1名、卑怯・ジャッカーが追加されました。」

「よろしく!」

ジャッカーはの姿はいかにも悪役っぽいパンクな雰囲気の衣装と髪形をした20代後半の男だった。

「それでは、本日の選定はスラッグラインです。」

「「スラッグライン!?」」

「この細いスラッグライン50mを一番早くゴールした人が今回の挑戦者です。」

スラッグラインの綱渡りが始まった。バランスが取れずに落ちる人がたくさんだった。

ゴールにたどり着いた人は、停止・氷の姫:3分10秒、愚直・単刀直入:30秒だった。

「今回の挑戦者は愚直・単刀直入、須田直哉さんです。」

気弱で貧弱な容姿をした十代後半の少年、須田直哉にスポットライトがあてられた。

強欲・元社長「まさか、ぶれることなく綱を渡りきるとは。」

傍観・モニター「氷の姫はグラグラ揺れて落ちそうになりつつもゴールしたのに。」

卑怯・ジャッカー「畜生、ずる使ったら失格になった!」

傍観・モニター「それはお前が悪い。」

「さぁ、あなたの願いは何ですか。」

「僕の願いは正直な言葉しか言えない世界にしたいです。」

「では、こちらをどうぞ。」

アウルートは細長い槍を須田に渡した。

「今回は今渡す地図上にあるチェックポイントに槍を突き刺してください。目標日数以内に槍を刺すと、正直な言葉しか言えない世界になります。なお、この槍は短く小さくすることもできます。また、一日3回投げてもまたいつの間にか手元に戻ってきます。」

地図上には国嶋市のそれぞれの国2個ずつチェックポイントが書かれていた。

「分かりました。」

「それから、他の参加者たちにはこちらのお守りをお渡しいたします。自分が挑戦者候補やここの住所を正直に言ってしまうと大変なので。」

参加者全員にお守りが渡された。

「今回の期限は2日間です。2日以内にチェックポイントを埋めてください。それではスタート。」

最初に須田は中央区のチェックポイントを刺しに向かった。


午後2時 中央区下通

街は混乱していた。

「その服ダサい!」

「その髪型ないわー!」

「俺、あなたの事が好きなんです!僕と付き合ってください。」

「私はお前の事、吐き気を起こすほど大嫌いなんじゃい、ぼけぇ!」

アイアスはテレビの中継を見て駆け付けた。

アイアスの電話が鳴った。

『アイアス君、どうやら挑戦者の仕業だ!ついさっき情報で槍を使って各区を回るという情報を聞いた。今中央区の所にいるらしいぞ。』

アイアスに助言を伝えたのは、足立拓(あだちたく)。過去の世界からやってきたアイアスに衣食住を提供しているものだった。彼は、アイアスの戸籍を作り、アイアスがどんなに失敗しても、彼を責めることはしない心が広い人だった。また、アイアスの挑戦者の粛清にも反対しなかった。

「はい!」

アイアスは返事をした。

すると、デパートの屋上に長い槍のようなものを発見した。アイアスはデパートの窓のへこみを足場にして上った。

屋上には気弱な少年が幟を刺す重石のようなものに槍を奥まで刺して、引き抜いていた。

「げっ!デビルハンター!」

「あなたを粛清いたします。」

アイアスは剣を須田に振り下ろした。

「隙あり!」

しかし、振り下ろす隙を突いて槍を如意棒のように伸ばしてアイアスの腹部を思いっきり突いた。

「ぶっ!」

運悪くみぞおちを突かれた。呼吸できず、動けずで苦しむアイアス。

「いまだ逃げろ!」

須田は駆け足で階段を下って逃げた。


須田は中央区のチェックポイント2か所を刺し終えた。デパートの屋上と中央公園の木の上だ。

次は市電に乗って東区へ向かった。

市電内でも本音を言い合っていた。

「あのおばはんの香水臭いよ~。」

「あのバカ娘さえいなければ・・・。」

「さっきのドーナツ美味しかったな。」

「どうしようどうしよう。」

「二股ばれへんかな・・・。」

東区に入ると急にピタッと本音が止まった。

しかし、その後は誤解を解こうとしたり、言い争いになったりと修羅場となってしまった。


午後2時半 市電終点

須田は市電を降りると、1.9kmの湖公園に向かった。


午後2時16分 湖公園

須田は湖公園に着き、休憩所に行くと、チェックポイントを発見した。

「あった。」

そして、槍を取り出し、チェックポイントに突き刺した。

刺した途端、急に人々の様子が変わった。

「奏さん!あなたの事が好きです。付き合ってください!」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」

「俺はお前の本当の兄だ。」

「あなたが兄さんだったの・・・。」

「お前の母親を殺したのは・・・、俺だ。」

「そんな・・・、健司さんが犯人だったなんて。」

それぞれ衝撃の告白を打ち上げた。

「やっぱり、正直が良いよね。」

須田は、この現状に満足していた。

その後、上湖公園に向かった。


午後2時50分 上湖公園

須田は歩き疲れた。

「一休みしよ。」

須田はベンチに座った。

「はぁ、どうして正直者は馬鹿を見るんだろう・・・、嘘つきだって泥棒の始まりなのに・・・。」


一方その頃、私、横田直子は管さんの店の警報で挑戦者が上湖公園にいるという情報を聞き、市電に乗って、近くの駅から徒歩3分で着いた。因みに黒田君とは別行動。美香ちゃんは家の都合で本日は休みだ。

5分くらい公園を歩いていると、「どうして正直者は馬鹿を見るんだろう・・・」とつぶやく少年を発見した。

もしかして、あの子かな?私は少年に尋ねてみた。

「あのー、もしかして君?挑戦者かな?」

「はい、愚直・単刀直入の須田直哉です。もしかしてハリセンの方ですか?」

あっさりと正直に自己紹介をした。私も正直に紹介した。

「私は横田直子。挑戦者を人間に戻しているの。」

「あなたがハリセンの人。あなたには悪いですが、僕の邪魔はさせません!」

須田君は手から槍を出した後、両手で槍を構えた。

そして、私に突撃してきた。

「うおりゃああああ!」

私は間一髪でよけた。そして、後ろにハリセンを一発入れた。

しかし、須田君は反撃するのではなく、そのまま私から離れて行ってしまった。

「しまった、撒かれた。おーい!」

私は彼を追いかけた。しかし、さっきの速さから今追いつくのは難しいだろう。


そして、須田は東区の2つ目のチェックポイントに槍を刺し終えた。


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