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異常な愛の助平と初敗北のくノ一

前回のあらすじ

霧子が涼子の家に泊まりに来た。しかし、霧子の目的は涼子を排除すること。それなのに、涼子が張り切ったり、ヘタレになったりして一日目は排除できなかった。

しかも、涼子は無意識に霧子の心を読めるようにもなっていた。

(まさか、ここまでガードが堅いなんて。)


午後11時

霧子は目を覚まして涼子にクナイを刺そうとしていた。

涼子は寝ながら腕にしがみついている。

(邪魔だ・・・。)

そして、クナイを上に構えていた時・・・。

「うっ・・・、霧子ぉ・・・。」

涼子は泣き始めた。

(まさか、殺されることを読まれている!?いや、お香で寝ているはず。)

「ごめんよぉ・・・。君はこんなにつらい思いをしていたのに、浮かれちゃっていて・・・。」

「?」

霧子は寝言の言葉に引っかかってしまった。何故ここで自分に謝罪するのかに。

「君はお父さんとお母さんを殺されて・・・、首領のもとで兵器のように育てられて・・・、心を無くしたのに・・・。でも大丈夫・・・。私が君を笑顔にさせるくらい・・・、幸せにするからぁ・・・。」

(なぜ私の過去を!?)

この時、話してもいない霧子の過去を暴露されて霧子に衝撃が走った。

(あれっ、私、驚いている!?)

霧子はまた感情が芽生えた。

霧子は今まで対象に向けて感情を出してはいるが、それは演技で心なんてものはなかった。

しかし、涼子からの逃走で恐怖、今回の事で驚いている事が芽生えたことに霧子は気づいた。

(なぜ過去を知っているのか、排除しようにもできなくなった。)

こうして、霧子は涼子の排除を先延ばしにして眠ることにした。


1月12日 午前6時

涼子が起きると、そこには豪華な和食が用意されていた。

「おはよう、すごい!これ霧子ちゃんが作ったの。」

目の前の料理に驚いた。

「はい、腕を振るったので召し上がってください。」

霧子は偽りの笑顔でそういった。

「あれっ、霧子ちゃんそんな風に笑えるんだ。」

「まぁ、はい。」

因みに料理は本当に霧子が作ったものだが、料理にはじわじわと苦しませる毒を盛っていた。

「そうそう聞いて、霧子ちゃん。」

「何でしょうか?」

「昨日ね、霧子ちゃんの夢を見たんだ。」

(!?)

「本当の事だったら、心を覗くようで御免。なんか、霧子ちゃんの過去を見てしまった感じだったんだ。霧子ちゃんの両親が賊に殺されたとか、つらい修行で心が無くなったとか。」

(なんで私の過去を夢で!?そして、なんでそれを覚えているのですか!?)

(あっ、やっぱり本当の事だったんだ・・・。)

気まずくなった。

「ねぇ、もし何かあったら私を頼ってよ。力になるからさ。」

「はい。(まぁ、貴方になってほしいのは排除されることですけどね。)」

「よし、食べよっか。」

そして、涼子は霧子の作った(毒入りの)料理を食べた。

いくつか口に含んで飲み込んだ時だった。

「うっ!?」

涼子は体が苦しくなってたおれた。

「どうしましたか!」

霧子は心配するふりをして、かかったと思った。

涼子の所に霧子はむかうと、今まで通りの出来事とは一つ違っていた。

普段みる標的(権力を持った者や里を抜けた忍び)の最後は苦しんだり、無念の思いや訴えるような顔をしているのが基本だった。

しかし、今の霧子は苦しみつつも笑っていた。

(なんで笑っているの?)

「なんで笑っているかって?・・・ぜぇぜぇ・・・、君に殺されたい・・って。」

「何のことですか?」

霧子はここでもとぼけたふりをしていた。

「はぁはぁ・・・、最初から知っていたよ・・・。君が私を殺そうとしたり・・・、一緒に風呂入ろうと思ったり・・・、一緒にご飯食べて不覚と思ったり・・・、過去の事に知っていることをおどろいたり・・・。」

「じゃあ、仮に私が毒を入れたとして、なんで食べたのですか?」

「君が命を奪われていいくらい・・・、いや、奪われたいくらい好きになったんだ・・・。」

「じゃあ、どうして夕飯を作ったり、風呂に入ってきたりしなかったのですか?」

「夕飯は・・・、君が来て嬉しかったから張り切って・・・。風呂は・・・、私が興奮して君を襲いそうになりそうだったから・・・。」

「そうでしたか。」

「・・・早くここから出て・・・。君を犯人にしないようにっ!?」

涼子は窓に指を刺している途中で、謎の液体が入った瓶を口に突っ込まれた。

「何するんだよ!・・・ってあれっ、体が楽になった?」

「解毒剤を飲ませました。」

「そうなんだ、ありがとう。でもなんで?君は私を・・・。」

「・・・何でしょうか。私にもわからないのです。」

(ここで殺しても、涼子様の勝ちな気がします。)

こうして、霧子は窓から抜け出して去ったのだった。

「さて、病院に行くか。」


影山が勝手に作った忍者の隠里 首領の部屋

「おのれぇ・・・!まさか、霧子の排除を失敗させるとは・・・。」

影山は憤っていた。

「こうなったら、儂が始末するまで・・・。」

「「いやそれはやめた方が良い。」」

済陽と風間がふすま型のワームホールから出てきて声をかけた。

「お前たち、どこからやってきた!?何の術を使った!?」

「普通に空間を切ってワームホールできた。」

「いや全くわからん!それとなぜあの助平の排除を止めた方が良いというのだ!」

影山はワームホールに驚きつつも、本題の質問をした。

済陽と先生が答えた。

「彼女はね、過去を夢で見たんだ。霧子ちゃんを兵器のように育てる夢を。」

「最強の忍びにするためだ。それに何の文句が。」

「その霧子ちゃんの心を消したことに切れているんだ。忍者にするのは、良い。しかし、心を消すのは呪いたいくらい腹立つって言っていましたよ。」

「だから、どうして切れるんだ。あの助平には関係ないのに。」

「説明しても分からないか。まぁ、気をつけろよ。後、霧子ちゃんに危害を加えるなよ。霧子ちゃん絡みで起こった涼子はとっても怖いぞ~!」

そう言いながら、ふすま型のワームホールに入って閉めた。

そして、そこにはいつもの畳部屋となっていた。


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