~身勝手にもほどがある!16~
結人、ティス、リアの三人は一段小高くなった丘の茂みに隠れながら村の様子を窺っていた。
その村を、ぐるりと囲うような感じで魔物よけの柵が立てられていて、村に入れそうな所といえば門番らしき男が立っている一箇所だけのようだった。
村の柵や玄関先などいたるところに掛けられている水晶には魔物除けの効果があり、これのおかげで日々平穏に生活することができていると言うことだった。流石にノエルで直接村の中へ降り立つと村人が驚くだろうし、自分たちがすでにお尋ね者という話が広まっているのならできる限り目立つような行動は避けたかった為、ノエルは少し離れたところで待たせてある。
村はお世辞にも活気付いていると言う雰囲気ではなかったが、寂れているという感じでもなく、水車を使い水をひいたりしているうえに、過ぎ行く人の顔をみるとみな明るく笑顔が絶えない。それだけでここがいい村なのだと容易に想像することができた。
「ここからでは、はっきりとした状況は解らないか。結人殿とリアはここに隠れていてくれ。私が行って様子を探りながら、何とかして旅に必要な物資等を調達してこよう」
結人はティス一人では危険だともおもったが、自分が行ったところで足手まといになるだけだと思い直し、ひとこと「気をつけて」とだけいいティスの去り行く背中を見送った。わざわざ迂回して降りて行ったと言うことは、人目につきにくいところから中へ入る気なのだろう。
「ティスはああいってましたけど、いったいどうする気なのでしょう。捕まったりしなければよいのですが」
どうやらリアも同じ心配をしていたようだった。
「まあ、俺たちがぞろぞろついていくわけにもいかないだろうし、ここは大人しく彼女を信じて待つしかないよ。それより、ひとつ気になってることがあるんだけど」
リアは少し首をかしげながらほほえむ。
「千年の周期で魔王と呼ばれる存在が現れて、その都度勇者が召喚されてるってのはわかったんだけど、前回の戦いの結果ってどうなったの?」
「それは」とだけ言い、少し言いよどむ。
「それは私にも確かなところは分かりません。どの書物にも結果に関しての記載がないのです。言い伝えも様々で、勇者が勝利したというものから、魔王と勇者で条約的な取り決めを行ったと言うものまで多岐にわたるのです。ですが、王都ゲネシスの城下町へ行けば勇者の像が建てられていて、そこに彫られている内容で言えば「魔王は勇者の前に倒れ伏し、二度と立ち上がることはなかった」と記されていますよ」
これほど重大なことが記録に残されていないと言うのはどこか腑に落ちなかったが、これ以上追求してもリアを困らせるだけだろうと、これ以上の突っ込みは控えることにした。
「そうなんだ。その像もいつか見てみたいな。実際俺が勇者だっていう実感が持てなくて」
「きっと見られますよ。結人様が追われるいわれはないのですから。王はいったい何をお考えなのかしら」
その時、リアの後ろの少し離れた木々の上で何か光ったのを結人は見た気がした。今のはいったい、といぶかしむ間もなく、一本の矢がリアめがけて放たれる。今の光は見間違いなどではなく矢じりが太陽に反射した光だったのだ。
結人は反射的に危険を感じ取り、リアの体を突き飛ばす。空を切り迫り来る矢からリアの体は反れたが、リアと入れ替わるような形で結人の胸へ矢が吸い込まれる。リアも一瞬びっくりしていたようだが、何が起こったか理解したようだった。
しかしその矢は突き刺さることなく、結人の首から下がるペンダントを粉砕し地面へ転がった。その瞬間、ペンダントにより封じ込められていた禍々しい気が一気に爆発し、オルクスの奔流が結人の体を包み込む。
結人は頭の中に直接響くようなあの声と体中を焼くようなあの痛みをまた味わうこととなった。声にならない叫びをあげながら、必死に自分を保とうとするがだんだんと自分というものが分からなくなっていくのを結人は感じ恐怖したのだった。
~おもちろトーク~
結人 「あの魔物よけの水晶はどうやって作られてい るの? ただの石?」
リア 「いいえ、私のように聖魔法を使える神官が魔力を込めて作ってますよ」
ティス「そういえば前に一度リアが何かに語り掛けながら綺麗に並べているのを見たことがあるな」
リア (石に話しかけてるの見られてたの!?(恥))
ここまでお読みいただきありがとうございます。
皆様の声援や応援などのおかげで、執筆する元気をいただいております。
また、評価や感想、ブックマークなど大変うれしく感じており、大変感謝いたしております。
感想などで、こういった話が見たい! などありましたらお寄せください。いつか番外編として書くことが出来ればと思います(※絶対ではありませんのでご了承ください)。
今後とも「異世界召喚されたはいいが、魔物に食べられました!」をよろしくお願いいたします。





