~身勝手にもほどがある!13~
地の底を這うような重く低い怨嗟の声が脳に直接響いてくる。
「人間の分際で、我をいつまでも縛っておけると思うなよ。お前の命は我が手中にあるのだからな」
どこまでも続く深い闇に飲み込まれるような感覚に襲われながら、結人は片腕を必死に伸ばし何かを掴むようにしながら飛び起きた。
朝霧が包む涼しい河原とは裏腹に、身体中嫌な汗でびしょびしょになり気持ちが悪い。心配して駆け寄ってきてくれたティスの顔は少し青ざめているようだった。
「結人殿、何があった?」
今なお心臓が早鐘を打っているのを落ち着け、息を整えて結人は答えた。
「いや、よく覚えてないんだけど、とても怖い夢だった、と思う。なにか声が聞こえていたような」
叫んで飛び起きたと言うのに、大したことは言えずなんともあいまいな返事になってしまった。まだ眠たそうに目をこすりながらリアも目を覚ます。
「おはようございます。いったい何かあったのですか?」
結人はさっきティスにした説明と同じ説明をリアにもした。もう少しうまく説明できればいいのだがやはり頭にモヤがかかったようにどうにもはっきりと思い出すことが出来なかった。
しかし、その話を聞いたリアの反応は真剣そのものだった。リアは結人の首にかかっている赤色に透き通った宝石がはめ込まれたペンダントを近くに来てまじまじと見つめてひとつ息を吐き出す。
「結人様、その首飾りのこと覚えておいでですか? 」
結人もペンダントを見ながら返事をする。ぱっと見たところどこにも異常は見られないように思う。
「俺が寝てる間にリアが付けてくれたペンダントだよね。たしか、俺が再度魔物化するのを防いでくれているって」
「さすが結人様です。そのとおり、結人様が再度魔物化するのを抑えているのです。ですが、昨日までなかった濁りが混ざっているのをたった今確認しました。普通このようなことは起こらないのですが」
黙って聞いていたティスが口を開く。
「リア、濁りとはいったいどういうことだ? 」
「これはあくまで可能性の話ですが、結人様が聞いた声と、通常濁ることはない封印のペンダントに濁りが生じていることから、中に封じているオルクスが意思を持っているかのように外に出ようとしているのではないかと」
この宝石はリアの魔力を結晶化して作ったものらしく、再度同じ封印をしようにも教会内にある特殊な場所でしか作ることが出来ないということだった。
「魔力が意思を持つなんてことは聞いたことがない。だが、それが本当だとして、流石にこのままにしておくわけにはいかんな」
「そうですね。このまま時が過ぎれば濁りはどんどん増していき、最後には封印が解けてペンダントは砕け散ると思います。それが数時間後なのか、明日なのか、数年後なのかは分かりませんが・・・・・・」
このまま砕け散るようなことがあれば、またあの体の内側を焼かれているような、地獄のような苦しみを味わうことになる。それだけはなんとしても避けたい。それに、次また魔物化することがあったら今度は抑えきれるかどうか分かったものではない。あの声と痛みにさいなまれ何もかも殺しつくす怪物となってしまうかもしれない。
この間はたまたま上手くいったし、リアがいたおかげでどうにかなったのだ。三人はしばらく黙り込んでいたが、リアがあまり気は進まないと言う風な感じで話を切り出した。
「ひとつだけ、ひとつだけ現状を打開できるかもしれない知人に心当たりがあります! 」
~おもちろトーク~
結人 「ペンダントに濁りか。全然わかんないけど」
リア 「うーん、例えるなら悪人の瞳のような・・・・・」
ティス「いや、もっと良い例えが絶対あるだろ! 」
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今後とも「異世界召喚されたはいいが、魔物に食べられました!」をよろしくお願いいたします。





