家族会議(3)
WorldTube配信者の雨音に直接会って話がしたいと、あの月城レインからメッセージが来た。
今は引退してしまったが、往年の大スターであり日本を代表する歌姫である月城レイン。
その憧れの人物に会えると大喜びする3人のお嫁さん予備軍。
会う日取りは明日香が決めていいと先方が言ってくれているので正直助かった。
今は色々ゴタゴタしていると言うか、明日香の体調も万全ではない。
月城レインも顔色の悪いWorldtuberの雨音になど会いたくないだろう。
と言う訳で来週の日曜に会う約束する明日香。
まだ一週間以上有るので雅が一緒に暮らす段取りと、明日香のコンディション調整は恙無く済む筈だ。
差し当たっての問題は、月城レインが何故明日香に直接会って話がしたいのか、、、と疑問だ。
メッセージの文面から察するに、悪い事ではないようだが、、、。
明日香が一人で考え耽っていると蓮香が突然質問を投げかけた。
「明日香お姉様の誕生日はいつなのですか?」
「あ、私も気になる~」
「お祝いしたいしね!」
と同調する桜。
雅も気になるのかジッと明日香を見つめている。
先程、養子縁組の話で明日香が3人に誕生日を聞いたのが疑問の引き金になったようである。
明日香としては教えるのは問題無いし、家族になる相手に”そう言った事”を黙っているのも忍びなかった。
只少し躊躇いもある。
それは他人の誕生日を祝う事があっても、自身の誕生日を祝ってもらう機会は皆無だったからだ。
こういった自身への祝い事をされるには、正直苦手なのだ。
少し戸惑いながらも明日香は答える。
「4月28日です、、、」
すると桜と蓮香が怒った表情で訴えた。
「えええ?! もう過ぎちゃってるし~!!」
「何故もっと早く言って下さらないのですか?!」
雅は同意見なのか明日香を見つめて少し悲しそうな表情だ。
そして蓮香は頭を抱える。
「あぁ~、もう少しお姉様と早く親しくなっていれば、誕生日をお祝いする事も出来たというのに、、、」
桜もしょげた様子で呟いた。
「そうだね~、誕生日なんて親しくならないと訊けないもんね、、、」
一方、雅は様子が違った。
「誕生日が過ぎてしまったらお祝いしてはいけないのですか?」
「今からでも問題無いのでは?」
などど言い出す。
『わ~、、、何だか面倒な事になりそう、、、』
と明日香は色々心配になって来た。
兎に角話題を変えようと試みる。
「それよりも蓮香、、、話があるって言って無かった?」
「桜がそんな事言ってたでしょう?」
「あ!」と思い出したように声を漏らす蓮香。
蓮香は少し改まったように明日香を見据える。
「実はですね、お姉様と一緒に暮らそうと思いまして、」
「色々準備をしていたんです」
「それで2,3報告と許可を頂きたくて、、、」
『暮らそうと思いましてって、、、簡単に言うわね』
『私の意思を挟む余地は無いってことかしら、、、』
と内心で明日香は苦笑してしまう。
「取り合えず話を聞くわ、、、、」
すると可愛らしく明日香の膝の上に収まっている雅を見やる蓮香は、
「雅さんが加わると4人になってしまいます」
「これでは今のベッドでは少し手狭ですから、もう一つ同じ物をくっ付けようかと」
と然も当たり前のように言った。
少し戸惑ってしまうが納得もしてしまう明日香。
「え、、、そ、そうね、、、」
「クイーンサイズのベッドが2個か、、、」
「なんだか凄いわね、、、じゃあそれは蓮香に任せるわね」
それを聞いた蓮香は自信満々で返事をした。
「ありがとうございます」
「実はもう既に発注をしておりまして、今日中に届く筈です」
『早ッ!』と蓮香の手際の良さに明日香は驚く。
蓮香は本当に躊躇いが無い。
気遣いや心配で躊躇う事はあっても、自身の目的と欲望の判断に躊躇いが無いのだ。
その辺りは”強気演出の雅”に通ずるところがあるのかな?、と明日香は少しほくそ笑む。
それから蓮香の話の続きを促す。
「2,3と言ったわよね?」
「他には何があるの?」
「少し強引な事になるのですが、、、」
と蓮香は前置きをした。
桜が補足するように言う。
「私達3人で話して決めた事なの~」
「明日香さん眠っちゃってたから、、、事後承諾になっちゃうけど」
何だか嫌な予感がしてきた明日香。
明日香が本当に困るような事は、この娘達は絶対にしないと確信はある。
しかし驚かされる事は間違い無いだろう。
結果、蓮香から話を聞いて驚かされる羽目になるのであった。




