家族会議(1)
夕食を済ませた後、雅は桜と蓮香を呼びに同じフロアーの隣の部屋へ行った。
その間に明日香は食器を片付ける事にする。
どう話そうかと明日香が思案し半分ほど食器を洗い終えた頃に、蓮香と桜が部屋にやって来た。
すると雅が少し慌てた様子でキッチンまで駆け寄ってくる。
「お姉様、片付けは私がしますので安静にしておいてください、、、」
蓮香も少し心配そうにしている。
「そうですよ、、、また熱がでたらどうするんですか?」
桜はと言うとソファーに腰を下ろして、明日香を座らせようとポンポンと隣を叩いた。
蓮香と桜は既に寛ぐ気満々なのかパジャマ姿だ。
それは3人で買い揃えたワンピースタイプの寝間着である。
素直に明日香は従い、桜の傍に腰を下ろす。
そうすると嬉しそうに桜は明日香に抱き着いて来た。
「う~ん、、、少し微熱があるような感じだけど、、、」
「明日香さん随分顔色がよくなったね」
『抱き着いて体温計るとか器用ね、、、』
そう明日香が苦笑していると蓮香も明日香の隣に腰を下ろした。
そして明日香の額に掌をあてる蓮香。
「そうですね、、、ほんの少し微熱がある感じですね」
「やっぱり風邪の様ですし、薬を飲んでおきましょう」
目配せするように蓮香が雅を見た。
すると雅はウィーターサーバーから水を汲んで、そのコップを明日香の前に置いた。
『何と言うか、、、この3人の序列を一瞬見たような気がする』
と思いつつ苦笑を浮かべる明日香。
蓮香がパジャマのポケットから粉薬を取り出すと、飲みやすいように開けて明日香に差し出した。
「感冒に効果がある薬ですが少し怠くなるかもしれません」
「取り合えず、これだけ飲んで様子を見ましょう」
蓮香が何故、明日香の風邪薬を管理しているのか突っ込むのは横に置いておくとして、至れり尽くせりで自分が駄目人間になりそうで心配になる。
「余り私を甘やかさないでね、、、」
「調子に乗る気は無いのだけど、私はそんなに強い心の持ち主じゃないから、、、」
「どちらかと言えば弱いくらいだし、、、」
「もう、何でそんな謙虚な事を言うの~?」
「明日香さんホント可愛らしいんだから~」
と桜はウットリとした顔で明日香の頬に口づけをした。
明日香はくすぐったそうにしつつ薬を飲むと苦笑する。
「私より可愛らしさなら桜の方が上だと思うけど、、、」
蓮香も小さく苦笑した。
「そうですね、、、」
そして何故か自信満々で言い放つ。
「それよりも、お姉様の考えは杞憂かと思いますよ」
「自身で心が弱いと言える人間が、調子に乗る訳が無いですもの」
『何だか楽しそう、、、』
ソファーで仲睦ましく戯れている3人を雅は羨ましそうに見つめた。
それに気付いた明日香は、
「こっちにおいで」
と両手を雅に差し出す。
おずおずと明日香に近寄って行く雅。
それから明日香の両サイドに座る桜と蓮香を心配そうに見た。
察した桜が雅に笑顔で言う。
「いいよ~、私達に気兼ねしなくても~」
今頃になって状況に気付く明日香。
つまり桜と蓮香を差し置いて、明日香に甘えていいのか雅は躊躇ったのだ。
桜のその一言を聞いた雅は、嬉しそうに明日香に抱き着く。
それも明日香の膝の上に乗るように正面から抱き着いたのだ。
「あらあら、、、大胆ね雅さんは」
そう少し驚いたように蓮香が呟いた。
桜は特に驚いた様子も無く明日香へ話しかける。
「私達を呼んだのは、何か大事な話があるからでしょ?」
「蓮香ちゃんからも話があるみたいだけど、、、」
『そうだ、、、忘れる所だった、、、』
明日香は可愛い3人の娘に囲まれて舞い上がっていたようだ。
愛想笑いを浮かべて誤魔化すと、明日香はゆっくりと落ち着いて話を始めた。
「実はね、、、」




