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突然の転機

雅が食事の用意をしてくれると言うので明日香は任せる事にした。



明日香が寝込んでいる間に色々と物色してしまったのを雅は謝って来た。

「お姉様ごめんなさい、、、」

「お世話するにも環境を把握しないと何も出来ないので、、、」



明日香は笑顔で首を横に振る。

「別にそんな事きにしないわよ」

「一緒に生活するのだから、自分の家だと思えばいいわ」



それを聞いた雅は嬉しそうに「はい」と答えると料理を続けた。

そして思い出したように告げる。

「そう言えば先程、お姉様のスマホに着信がはいってましたよ」



『桜か蓮香かな?』

そう思いながら明日香はリビングのテーブルに置きっぱなしにしていたスマホを手に取った。


見慣れないDM(ダイレクトメッセージ)がWorldTubeのアカウントに届いていた。

企業からの案件なども届くので、その辺りかなと予想したがメッセージを開いて驚愕する事となる。



スマホを見つめたまま更埴する明日香。

それを心配そうに雅は見つめて声をかけた。

「お姉様、、、どうかされたんですか?」



明日香は呆然とスマホを見つめたまま呟くように答える。

「つ、、、月城レインが、、、」

「私に会いたいって関係者の人から連絡が来た、、、」


今度は雅が驚いてしまった。

「え?」

「月城レインって、、、あの引退した歌姫ですよね?」


まだ信じられない様子の明日香は心ここに在らずで頷いた。



実は雅も月城レインのファンで、当事者は明日香であるにも拘わらず胸が躍ってしまう。

『生の月城レインが見れるかもしれない、、、』

『あ、、、その前に夕食夕食、、、』

少し動揺しつつもテキパキと食事をテーブルに並べる雅。



「と、取り合えず、落ち着きましょう」

「そして食事を済ませましょう」

そう言った雅は動揺したままだ。



「うん、、、」

一方、明日香は直ぐに落ち着いて何か考えている様であった。

そしてテーブルの上に並べられた食事を目にして、

「美味しそうだね」

と雅に嬉しい一言を呟く。



雅が作った夕食は病み上がりの明日香用の物だ。

消化の良さそうな雑炊と、ホウレンソウの胡麻和え、それにだし巻きとなる。

雅は少し申し訳なさそうに言った。

「お昼に雑炊を食べられたと蓮香さんから聞きましたが、夜も同じものが良いと指示されましたので、、、」



ニッコリと笑顔を雅に向ける明日香。

「ありがとう」

「元々胃腸は強くないので、この方が助かるわ」



ホッとした様子の雅は冷蔵庫からお茶のボトルを取り出すと、グラスへお茶を注ぎ明日香の目の前へ置いた。

何だか色々と明日香は感心してしまう。



桜も蓮香もそして雅も、基本的に良く出来る娘なのだ。

美人だし可愛らしいし世話まで焼いてくれる。

もはや両手に花どころではない。

逆に世話してくれと甘えられる時もあるが、それはそれで嬉しいし楽しい。



恐らく自分は今、幸せなのだろうなと明日香は思う。

自分が幸せなら周囲のこの娘達にも分けてあげないといけない。


そう考えてしまうと、将来を完全に定めていない自分が少し情けなく感じた。

今は安定したWorldTubeの収入が有るが、この先どうなるか分からないからだ。



そして月城レインと直接会う事が出来る。

明日香にはこれが何かの転機のように感じてならなかった。

自分が憧れて、その歌をカバーし歌い続けて来たのだから余計にそう思うのだ。



明日香が抱える将来的な不安を、月城レインに会う事で何かが変わるかもしれない。

自分勝手な妄想に過ぎないが、そう思う事で心が軽くなる。




考え込んで一向に箸が進まない明日香を雅が心配そうに見つめた。

それに気付いた明日香は、雅に申し訳なさそうに言う。

「ごめんね、ボーっとしちゃって」

「冷めないうちに食べちゃうね」



そうして明日香は少し真剣な表情を浮かべて続けた。

「それから食事が済んだら蓮香と桜を呼んできて欲しいの」

「さっきの件を2人にも話しておかないとね、、、」


さっきの件とは月城レインの事だ。

すぐに察した雅は頷くと、いそいそと食事を始めるのであった。



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