雅との触れ合い(1)
喉が渇き目を覚ます明日香。
まだ身体がフラフラするが頭痛はすっかり治まり随分楽になった。
いつの間にかパジャマ用のワンピースに着替えさせられている事に気付く。
しかもいつベッドで寝たの覚えていない。
恐らく桜と蓮香が面倒をみてくれたのだろう。
『そう言えば雅は、、、』
気を失う前に雅を迎えた事は覚えていた明日香。
桜と蓮香が上手くやってくれているとは思うが、蓮香と揉めそうで少し心配ではあった。
ヨロヨロと寝室から出てリビングに来ると、ソファーに座る雅と目が合った。
慌てて明日香に駆けよって来る雅。
「明日香お姉様!」
「無理をしないで下さい」
『お、お姉様?』
明日香は自分の事を蓮香のように、お姉様”と呼ぶ雅に色々と違和感を感じる。
雅は明日香を支える様に寄り添うと、
「お手洗いですか?」
少し恥ずかしそうに訊いて来た。
『いや、、、確かにトイレも行きたいけど、、、』
そう思いつつも一番気になった事を明日香は訊く。
「桜と蓮香はどうしたのかな?」
「お二人は隣の蓮香さんの家に戻りましたよ」
「私はお姉様のお世話を任されまして、、、」
とニッコリ笑顔で雅は答えた。
何だか全然様子が違う雅。
「取り合えずトイレに行くわ」
「それから私が寝込んだ後、どうなったのか詳しく話を聞かせて」
そう明日香が告げると、雅は頷いてトイレまで付いて来てくれた。
『別にトイレまで付いて来なくてもいいのだけど、、、』
『そんなに今の私は頼りないのかな、、、』
と一人事を言いつつ小を済ませる明日香。
その後も雅はソファーまで付きっ切りで寄り添ってくれる。
しかも喉が渇いているのを察して、明日香が言わずとも直ぐにウォーターサーバーから水を汲んで差し出してもくれた。
「雅、、、何だか雰囲気が全然違うようだど、、、」
そう言って明日香は自分の隣に座るよう、スファーをポンポンと叩く。
雅は可愛らしくチョコンと明日香の隣に腰を下ろすとオズオズと話し出した。
「それも含めて、桜さんや蓮香さんと話したことをお伝えします」
雅の話によると、桜と蓮香は上手くやってくれたようだ。
つまり2人は雅を受け入れたのだ。
そして”今”の雅の様子が違うのも、本人から詳しく説明してもらい明日香は納得する。
『強気なワガママ娘を演じている時もややこしいと思ったけど、、、』
『今はこれはこれで難しそうだわ、、、』
明日香は頭を抱えた。
その様子を見た雅が心配そうに明日香の額に掌を当てた。
「熱の方は下がったようですが、まだ気分がすぐれませんか?」
「え? いえ、、、そうね熱は下がったみたい、、、」
「でもまだフラフラしてるわね、、、」
「汗を沢山かいちゃったからシャワーを浴びたかったのだけど」
そう言って気持ちを悟られない様に明日香は誤魔化す。
するとホッとしたのか笑顔を浮かべる雅は、
「蓮香さんが、お姉様の熱が下がったのならシャワー程度なら問題無いと言ってました」
「私がお世話しますので、参りましょうか」
と明日香へやる気満々で告げる。
正直一人でシャワーを浴びたかったが、万が一立ち眩みを起こして転倒するのも怖いと思った。
それにここで断って雅のやる気を削ぐのも気が引ける。
『少し恥ずかしいけど、雅に任せるか、、、』
「じゃぁ、お願いしてもいいかな?」
そう雅に笑顔で明日香は言った。
言い方が悪かったのか、それとも良かった?のか、雅は嬉しそうな顔でウットリとしてしまう。
何だか色々心配になり雅に尋ねる明日香。
「ど、どうしたの?」
「私何か変な事言ったかしら?」
雅は顔を赤らめるが憚る事無く言い放つ。
「いえ、、、病み上がりのお姉様もまた美しいと思いまして、、、」
「少し見惚れてしまいました、、、」
『え!?』
『ひょっとしてこの娘は百合的な、、、』
『いや、、、私が男と知っているからそうはならないのか?』
と明日香は混乱してしまう。
兎に角頭の中を整理する為に、先ずは本人に訊いて確かめるのが一番。
「え~と、、、雅は私の事が好きなの?」
「女としての私の才能が欲しいと言う事だったのでは、、、?」
申し訳なさそうな表情で弁解するように雅は言った。
「確かにそうは言いましたが、それは明日香お姉様に傍に居て欲しくって、、、」
「え?」
「じゃぁ、芸能事務所を作って私をタレントとして使いたいと言うのは、、、」
少し驚きつつも更に明日香は尋ねる。
雅は真剣な表情で明日香を見つめハッキリと言った。
「嘘では無いです!!」
「親の庇護から抜け出したかったのは本当なんです!」
そして力無く俯いてしまう。
「でも美しくて才能が有って、そんな明日香お姉様に惚れ込んだのも事実で、、、」
「だから、、、」
「う~ん、、、」と考え込む明日香。
「え~と、つまり私に対して恋愛感情が有ったって事だよね?」
小さく頷く雅。
「最後に一つ、、、」
「雅はレズなの? ノンケなの?」
性癖の核心的な事を訊いているようで、明日香も色々と恥ずかしくなってきてしまう。
雅は俯いたまま小さく首を横に振った。
「分かりません、、、」
「ですがお姉様が女だろうが、男だろうが関係ないと思っています」
桜や蓮香と同じような状況で状態である、、、。
明日香としては困ってしまうばかりだ。
それにこんなに女の子らしくしおらしい雅をみていると、不思議と可愛らしく見えてきてしまった。
実際、雅の容姿は小柄なだけで非常に美人なのだ。
『預かって面倒を見ると言った以上、これは色々腹を括るしか無いのかもね、、、』
そう思い明日香は溜息をつく。
それは問題児であったこの小柄な美少女の全てを受け入れる、、、そんな決心が溜息に現れたのかもしれない。




