落ち着くなら見た目から
雅が実は気の弱い女の子だった。
蓮香としては正直信じ難いが、今目の前にそんな様子の本人がいるのだから納得せざるを得ない。
それにその事を話してくれた雅に少し好感が持てた事も事実である。
「取り敢えず着替えますか、、、」
そう蓮香は雅に言った。
雅の今の格好はトレンチタイプのスプリングコートを着ている。
クリーム色で可愛らしいく裾はミニ丈だ。
中のトップスはキャミソールだけのようで、割とある胸の谷間が見える。
スカートは裾の短いコートで隠れる程短い。
その為、細くて白い太ももが露出して兎に角セクシーだ。
何故、蓮香が着替えるように雅へ提案したかと言うと、外出するような格好で室内でいるのは寛げないだろうと思ったからだ。
後付け加えるなら、ハイブランド過ぎて少し品が無いようにも感じた。
自身を見る相手を威圧するような、エゴの強さを漂わしている。
『おそらく強い自分を装う為に、こんなスタイルになってしまったのね、、、』
そう蓮香は雅の事が気の毒に思えた。
それは本来ある自分のしたい格好が出来ない事を指していたからだ。
桜が察したのか雅に尋ねた。
「どんな服が着たい?」
雅は少し恥ずかしそうに答える。
「桜さんが着ているような服が私は好きです」
「少し前に着ていたオフショルダーのニットワンピースとかは、とくに可愛くて良いなぁと思いました」
それを聞いた蓮香は「やっぱり」と内心で呟いた。
雅自体かなり小柄だし可愛らしい格好の方が似合う。
余りそれが過ぎて甘くなると、子供に見えてしまうので注意が必要かもしれないが、、、。
すると桜は明日香の衣装部屋に向かうと言って寝室を飛び出した。
雅がご要望の物に心当たりが有るのだろう。
この際、明日香の服を借りる事は事後承諾になってしまうが、そんな事で怒る明日香では無いと蓮香も桜も分かっている。
蓮香はおもむろに雅に近づき、コートのベルトを解き始めた。
突然の事に驚く雅。
「え、な、何をするんですか?」
「何って、服を脱がせているんですよ」
「桜さんが着替えを持って来てくれますから」
そう答えて蓮香は雅のコートを脱がしてしまった。
中はやはりキャミソールと超ミニのスカートのみだった。
雅は一見して子供のように小柄で華奢だが、胸もそれなりに大きくとても女性らしい身体のラインをしている。
更に蓮香は雅のキャミソールとスカートを素早く脱がしてしまう。
下着姿になり怯えてしまった雅が出来上がった頃、グレーのニットを持った桜が寝室に戻って来た。
「おまたせ〜!」
「これ着てみて〜」
と桜は笑顔で雅にそれを差し出した。
雅は恥ずかしそうに受け取ると、早速上から被るように着る。
下着姿のままが余程心許なかったのだろう。
昨夜、明日香と一緒に居た同じ人物とはとても思え無い。
そう思うと桜は笑みが漏れた。
雅が今着たグレーのニットは、オフショルダーでミニ丈のワンピースだ。
長袖で少し長めなので手元が隠れる。
いわゆる萌え袖で雅の容姿も相まって、とても可愛い。
逆に裾はお尻が何とか隠れる程度と短く、肩とデコルテも露出しているのでかなりセクシーだ。
色気と可愛さの融合と言った感じに仕上がった。
「あら、良く似合いますね」
と正直に褒める蓮香。
桜は雅に抱きつくと、
「や〜ん、凄く可愛いよ〜」
そう言ってお尻を撫で始めた。
桜の距離感が凄まじく近い事に驚愕して硬直する雅。
そんな2人を見て蓮香は苦笑した。
「諦めなさい雅さん、、、」
「桜さんには直ぐ慣れますから」
そして蓮香は脱がせた雅の服を拾いだす。
「あら、、、?」
意外そうな声を出す蓮香。
雅のコートからシガレットケースが出てきたからだ。
雅は少し居た堪れない顔をする。
シガレットケースを手に持って蓮香は、
「タバコは駄目ですよ」
「美容にも悪いですし、、、」
そう困ったように雅に言った。
それから身を翻して寝室から出ようと歩き出すと、
「私達は皆んな吸いませんから、これは処分します」
「いいですね?」
と殆ど強制的な言い回して告げた。
桜は雅を抱きしめたまま苦笑いをする。
「蓮香ちゃん、もっと優しく言ってあげなよ〜」
「雅ちゃん我慢できる?」
するとしおらしく俯いた雅は頷いた。
「はい、、、」
「あれは強い自分を演じる"道具"でもありましたから、、、」
「もし吸いたくてイライラしてきたら私に言ってね」
「イライラを忘れるくらい可愛がってあげるから!」
と桜は雅に告げた。
冗談と思いつつも桜ならやりかねないと怯える雅であった。




