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虚勢と真実

何故、雅が蓮香の事が苦手なのか詳しい話しを聞く事にした。


”性格的に合わない”、と本人は言っているのだが今一要領を得ない。

これから一緒に暮らすと言うのに、お互いの事が分かっていなくては上手く道理もないだろう。



「私のどの辺りを指して”合わない”と思ったんですか?」

と率直に訊く蓮香。



雅は少し戸惑いながらも話し出した。

「そう言ったストレートな所です、、、」

「強気と言うか、、、相手の事を説き伏せてしまいそうな、」

「そんな所が傍で見ていて怖いなって思ったんです」



そして雅は気絶するようにベッドで寝込んでいる明日香を見やると、

「でも明日香お姉様は、お嫌いでない相手にはいつも優しく接して、決して傷付ける事は言いません、、、」

「例え良く思えない相手でも不敬なことをしなければ、ちゃんと話を聞いてくれます」

「私の時が良い例ですね、、、」

そう愛しそうに言った。



それを聞いた蓮香は困った表情を浮かべた。

そうして少し考え込むと意を決したように雅へ話し出す。

「私は白黒をはっきりさせる癖があるんです、、、」

「自分ではこれを悪い事だとは思っていません」

「気持ちの切り替えが早くできますし、損得の計算も素早くできて”私自身”にはストレスのかかりにくい生き方と言えます」


蓮香は雅の傍に来ると、

「家業の関係で私はそう言った性格に成らざるを得なかった」

「でも貴女には、そんな私が合わなかったのね、、、」

「何だかごめんなさい、、、」

そう申し訳なさそうに言った。



雅は慌ててしまう。

明日香とはまた違ったタイプだが、凛としてクールな蓮香に謝罪されてしまったのだから。

「そんな、、、謝らないで下さい」

「蓮香さんには非は無いですから!」

「結局は私の受け取る気持ちの問題な訳で、、、」



どうも噂に聞く雅とは違う事に、蓮香は納得がいかない。

只のワガママなじゃじゃ馬娘なら、ここで説き伏せてギャフンと言わせる所だったのだが、、、。

そういう訳で、気になっていた事をもう少し深く尋ねてみる事にした。


「雅さん、私の知るイメージとは全然違うようですけど」

「正直に答えてもらえませんか?」

「貴女は”今”を偽っているの?」

「それとも”今まで”を偽っていたの?」

出来るだけ蓮香は優しく雅に問うた。



すると少し驚いた表情を雅は見せた。

「本当に物事をシンプルにしようとしますね」

「それに率直で、、、それが蓮香さんの”素”であるなら羨ましい限りです、、、」

そう言って少し俯いてしまう。



そして俯いたまま雅は独り言のように話し出した。

「今の私が、本当の自分なんです」

「気が弱くて、いつも他人の顔色を窺っていて、、、」

「優柔不断で判断力が無くて、、、」

「でもそんな自分が嫌で、、、」



すると桜が雅を優しく抱き寄せて、その頭を「よしよし」と撫でると、

「だから真逆の自分を演じていたんだね?」

そう語り掛けた。



小さく頷く雅。

「はい、、、」

「父も私に"強く"あるように望んでいたんです」



静かに雅の話を聞いていた蓮香が、困ったような訝しむような複雑な顔をした。

「だからと言って噂通りの感じでは、度が過ぎるかと思いますよ」

「強気とワガママ自己中は同義では無いのですから、、、」



雅は俯いたまま喋らなくなってしまった。

「、、、、、、」



見かねた桜が蓮香を見つめて「めっ!」と怒った顔で言った。

今度は本当に困った表情になる蓮香。

(このこ)は思った以上に打たれ弱いのね、、、』



そして蓮香は思考を巡らすように口元に手を置いて黙り込んでしまう。



『え〜、蓮香ちゃんまで黙り込んじゃうなんて、、、』

『私が困っちゃうよ〜』

と雅を抱きしめたままぼやく桜。



暫く沈黙が支配したが、突然蓮香が話し出した。

「雅さん」

「私達の前では強がる必要も、別の自分を演じる必要も有りません」

「リラックスして自分らしくいらして下さい」



それを聞いた雅は少し唖然とした表情を浮かべた。

しかし直ぐに心配そうに蓮香に告げた。

「弱気で優柔不断なせいで、イライラさせてしまうかもしれませんよ?」

「いいのですか?」



蓮香は少し屈むと、小柄な雅に視線を合わせて微笑んだ。

「心配しないで雅さん」

「全くの見込みが無ければ、お姉様は貴女を預からなかったと思うの」

「だから私はお姉様を信じるわ」


そうして雅の頭に手を置いて優しく撫でると、

「貴女が成りたい本当の自分を目指すなら、私は協力を惜しまない」

そうきっぱりと言い放つ。



桜も雅に抱き着いたまま笑顔で告げる。

「私もだよ~」



雅は今まで色々とトラブルも有ったが、ようやく本音が話せる相手が出来たのかもしれないと未来に希望が見えた。

そして泣きそうになり、

「お二人とも、有難うございます、、、」

そう小さく呟くように言った。



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