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無理は禁物

気が付くと明日香はベッドに寝かされていた。

いつ眠ったのか全く覚えていないのだ。

頭がボーッとして何だかふわふわするし、熱っぽくもあるようだ。



自身を確認するとパジャマはちゃんと着ている。

蓮香に買ってもらったお揃いの物だ。

下着はショーツだけ身に着けていて、ブラジャーはしていなかった。



右横を見ると蓮香が一緒に寝ている。

私がモゾモゾ動いたものだから気付いて蓮香が目を開けた。

「明日香お姉様、、、気付かれましたか、、、」

と少し心配そうに言った。



身体が凄く怠い。

明日香は起き上がれそうになかった。

「私、、、お風呂を上がったところまでは覚えてるんだけど、、、」

「どうしちゃったのかな?」



すると蓮香は身を起こし明日香の頬に触れた。

「お姉様は急に倒れられたんです、、、」

「私達が無理をさせてしまったせいで、、、」

そう言い申し訳なく俯いた。



明日香はびっくりして訊き返す。

「え?」

「どうして? 無理をした? 私が?」


少し混乱気味の明日香に蓮香はソッと寄り添うと、

「お姉様は誘拐されて薬まで盛られて、、、その上一晩ろくに眠っていなかったでしょう?」

「しかも帰って早々お風呂で、私と桜さんで無理をさせてしまいましたから、、、」

「本当にごめんなさい」



どうも熱が有るような感じがする明日香は、自分の状況を蓮香に尋ねた。

「私の状態はどうなってるのかな?」

「なんだか熱が有るぽいんだけど、、、」


蓮香は頷いた。

「はい」

「恐らく疲れから発熱したのかもしれません」

「風邪の症状も見られますので、お薬も用意してあります」



几帳面で神経質な蓮香に少し笑いがこみあげてしまった。

と言う事はひょっとして医者を呼んだ?

お金持ちの蓮香なら有り得る。

気になって再び明日香は尋ねた。

「蓮香、、、お医者呼んでくれたの?」



「差し出がましいと思いましたが、急に倒れられては流石の私でも肝が冷えましたので、」

「救急車か迷いましたが、側付きの医者を呼び寄せました」

と蓮香はおずおずと答えてくれた。



「ごめんね、蓮香」

「心配かけてしまって、、、」

そう明日香は言って蓮香の頭を優しく撫でてあげる。



すると小さく頭を横に振って蓮香は泣きそうな顔をした。



桜はどうしたのだろう?

急に思い出して蓮香に訊いてみると、明日香の無事を確認した後、食材の買い出しに行ったらしい。


「病人に食べさせる物が出前では、余り身体に良くありませんからね」

「栄養が有って消化に良い物を作るって張り切ってましたよ」

と蓮香が楽しそうに言った。



「桜は料理出来るんだね?」と尋ねる明日香。


「いえ、私は存じませんよ」

「張り切るくらいですから出来るのでしょう?」

そう少し小首をかしげて蓮香は答えた。



何だか嫌な予感がする、、、。

こういう展開は、滅茶苦茶料理が下手か、素晴らしく上手かの2択のような気がしてならない。

なので一応保険はかけておこうと明日香は思った。

「やばそうなら、蓮香が止めてね、、、」



真剣な表情で頷く蓮香。

「承知いたしました」


何かのミッションをこなすような感覚で笑いがこみ上げてくる明日香。

でも笑う元気も無く、ニヤリとしてしまい蓮香に不思議がられてしまう。




ふと時計を見ると昼の1時を回っていた。

帰宅したのが朝の6時位で、お風呂上りに倒れたので4,5時間は眠っていたのだろうか?

そして大学を休んでしまった、、、と明日香は少し項垂れる。



そんな明日香の気持ちを察知したのか蓮香が、

「お姉様、明日も大学は休んでくださいね!」

「私もお傍に居てお世話致しますから、早く体調をもどしましょう」

と明日香の身体を撫でながら言った。



『こうなると桜も大学を休みそうだな、、、』

『こればっかりは本人の意思だし、私がとやかく言えないか、、、』

そんな事を明日香が思っていると、蓮香が横になった状態で明日香に密着してきた。



「どうしたの?」と優しく蓮香に訊く。



蓮香は泣きそうな顔で答えた。

「私は明日香お姉様が好き過ぎて、愛しすぎて、、、」

「私自身が無茶をしそうで怖いんです」

「迷惑ならキッパリと拒否するなりして断ってくれてよいのですよ、、、」



明日香は困ってしまった。

好意を持つ相手に迫られたりお願いされて、断れない質で有る事を最近自覚したのだ。

桜と蓮香のお陰で、、、。

「それは少し難しいかな、、、」

「こんな可愛い娘を拒否する事はできないよ」



すると蓮香は静かに涙だけ零して泣いてしまった。

「そんな嬉しいことを素で言わないで下さい、、、」

「でもそうなると、私達が自制するしかないですね、、、」



「そうだね、、、私の事、大事にしてね」

と少し冗談ぽく告げ、明日香は優しく蓮香の頭を撫でた。



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