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2人へのご褒美

山岸は雅を確保したまま蓮香の実家に戻る事になった。


言い方は悪いが、雅を”人質”にした状態で今回の落とし所を有利に進める為だ。

雅の父親である代議士 崇城巌は自分の保身の為に形振り構わない可能性がある。

故にこちら側が有利な内に相手が妥協しやすい状況に持ち込むのだ。



明日香の望みは、

”明日香に対しての直接の謝罪”

”明日香を含む周囲の人間に、今後雅が迷惑をかけない”

この2点に収束される。



詰まり、以上の事を約束すれば警察沙汰にしないと言う事だ。

崇城巌の名声に傷がつく事は無い。

恐らく今回の件は蓮香の実家である武野内家に任せておけば、上手く進むだろうと明日香は考えていた。



一方、明日香達は運転手の男性1人と蓮香と桜の4人で自宅マンションに戻る事となった。

マンションに戻れば夜も明けて朝になっているだろう。

『本当に、、、長い夜だったわ、、、』

明日香は一晩で起きた出来事の多さに溜息が出てしまった。



ふと明日香は助手席に座る蓮香を見た。

疲れたのか眠ってしまっていた。

かく言う明日香も雅に盛られた薬の効果が切れて来たとはいえ、眠くて仕方がない。


そんな明日香の様子に気付いたのか隣に座る桜が、

「いいよ~膝枕してあげるから横になって」

と自分の太ももをポンポンと手で叩いた。



お言葉に甘える事にする明日香。

桜の太ももに頭を乗せると、柔らかい感触とかすかに甘い女の子の匂いがした。

桜は明日香の事を良い匂いがすると言うが、自分では分からない。

桜のように居心地が良い香りなら嬉しいな、、、と思いつつ明日香は微睡に落ちた。







気が付くと体中撫でられている事に気付く。

こそばゆくて何だか変に色っぽい声が出てしまう明日香。


目を開けると桜と蓮香に体中を撫でまわされていた。

「ちょ、ちょっと何してるの!?」

と慌てて明日香は身体を起こした。



「マンションに着いたから起こしたんだけど中々起きなくって~」

「だから悪戯しちゃった~」

と悪びれる様子も無く、桜はあっけらかんと答える。



物凄く恥ずかしいのは明日香の方である。

しかし別に怒る事でも無いので、優しく注意するにとどめる事にする。

「私の意識が無い時に、余り恥ずかしい悪戯はしないでね、、、」



すると好機とばかりに桜が割って入って来る。

「じゃ、じゃぁ~、起きてる時なら恥ずかしい事してもいいの!?」

蓮香も釣られて目を輝かせながら訊いて来た。

「いいんですか!?」



どう答えたら正解なのか戸惑ってしまう明日香。

助け船を探そうと車内を見渡すと、運転席の男性が目に入った。

彼は彼で目のやり場に困ってバツが悪そうである。


『わ~ん、、、色々恥ずかしいよ~』

と内心で明日香は嘆いてしまう。



そして取り合えず2人を納得させる為に、

「無茶をしないなら、、、でも他人の目が有るような所ではやらないでね、、、」

と割と取り返しのつかない事を明日香は言ってしまった。



それを聞いた二人はニタリを笑みを浮かべる。


『あ、、、しまった!』と内心で後悔する。



桜は車の扉を開けて降りると明日香の手を引いた。

「じゃあ、続きは部屋にもどってからね!」

どうにもこうにも拒否権がない明日香は、慌ただしく車を降りた。

「えええぇ~」


最後に続いて蓮香が車から降りると、

「それに明日香お姉様を助け出した褒美を頂きませんと!」

などと言い出す。



確かにご褒美を2人にあげようとは思っていた。

しかし先にそんな風に言われては、2人が”欲しい物”を2人が指定してしまう流れになってしまう。



『わ~~嫌な予感しかしないよ~』と再び内心で明日香は嘆いた。



兎に角、話題を変えようと試みる。

「あ~そうだ、、、私が拉致られて連れて行かれた場所をどうやって特定したの?」


そのままマンションに向かって桜に手を引かれる明日香。

「そんなのあとあと~!」

明日香の背中を押す蓮香。

「そうですよ、、、今はご褒美が先です!」



明日香は諦めた。

『駄目だこりゃ、、、』



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