行き過ぎた介護のような、、、
帰る前に明日香は服を着替える事になった。
それは良いのだが、蓮香と桜が着替えさせると一歩も引かないのだ。
明日香は困った様子で少し媚びるようにお願いしてみた。
「私、恥ずかしいから、、、一人で着替えさせて、、、」
すると蓮香は心配するように明日香を見つめた。
「そんなフラフラの状態で、一人にさせる訳にはいきませんよ、、、」
桜はと言うと少し嬉しそうに、
「そうだよ~」
「それにその恰好も”させられた”んじゃ無く、”して貰った”んでしょ」
「じゃあ私達も”させて”くれないと納得できないよ~」
『そう来たか、、、桜は中々に侮れない、、、』
なんて納得している場合ではない明日香。
何とかこの状況から逃げ出したい余りに、
「と、とりあえずトイレに行かせてくれないかな、、、」
と言ってしまう。
桜が「小さい方?」と真顔で尋ねる。
「うん、、、」と頷いて明日香は『しまった』と思う。
これでは千条の時の二の舞だ、、、。
明日香に寄り添いベッドから立つのを手伝ってくれる桜。
意外に普通だ。
まさかトイレの中まで着いては来ないだろう、、、。
と、さっきまで思っていました。
蓮香が桜と明日香のまえに立ち塞がると言い放った。
「桜さん、抜け駆けは駄目ですよ!」
「こんなお世話が出来る機会は滅多とありません!」
「ここは公平に決めましょう」
「う~バレたなら仕方ないよ~」
「じゃぁジャンケンで!」
と言い桜は片手を振り上げた。
「「じゃんけんぽん!」」
何故かやっぱり蓮香が勝ってしまう。
「やった明日香お姉様! 勝ちましたよ!」
何がどうして2人がジャンケンをしたのか明日香は分からなかった。
「え~と、、、よく分からないけどおめでとう、、、」
負けてしょんぼりとした桜は蓮香に尋ねた。
「じゃあ、下ろす役目は私でいい?」
嬉しそうな蓮香は頷いた。
「いいですよ、お任せします」
「まあ”お持ち”するのは私ですからね」
そのまま2人に支えられてトイレまで来る明日香。
一人にしてくれるのかと思いきや、やはり千条の時と同じく6畳ほどありそうなトイレに桜と蓮香も入って来た。
もう予定調和のような展開に明日香は項垂れて、2人に小便器の前まで連れて来られる。
確かに立っているのも辛い明日香だが、それなら洋式の便座の方に座らせてくれれば済む事なのだ。
そして桜が「てりゃ~!」と掛け声を上げて、一気に明日香のショーツを足首まで下ろしてしまった。
「ひっ!?」と小さな悲鳴を明日香は上げる。
更に特に気にせず蓮香が明日香の男性秘部を手で摘まんだ。
”それ”を小便器に向けて、
「さぁお姉様、どうぞ」
と言い放つ。
『男性と分かっていても、私の事を”お姉様”と呼んでくれるのね、、、』
としみじみする明日香のそれは現実逃避なのだろう、、、。
なんとか現実に意識を戻した明日香は、
「恥ずかし過ぎて、、、出ないよ~」
と情けなく主張した。
「大丈夫です、落ち着いて!」
「大丈夫だよ~心配しなくても零れないよ~」
と言う2人。
摘まんでいる蓮香は兎も角、桜までガン見している。
このままでは一向に開放してくれる様子が無いので、千条の時のように明日香は諦めて用を足すことにした。
しかし緊張と恥ずかしさで本当に出難くなってしまうのだ。
こんな事で何故私が頑張らなくてはいけないのか、、、と思いつつも明日香は頑張って用を足すに至る。
蓮香と桜も男が用を足している所を初めて見たのか、興味津々の様子だった。
そして先っちょを丁寧に蓮香に拭かれて、ショーツは桜によって履かされる事無く取り上げられてしまった。
『な、何故?!』
「どうせ下着も元のに着替えるから、これは要らないよね~」
と言い桜はさっさとトイレから出ていてしまう。
蓮香は明日香を支えつつトイレを出ながら、呟くように独り言を言った。
「くっ、その脱ぎたてを自分の物にするつもりですね桜さん、、、」
「油断しました、、、」
『そう言う事は、心の内で言ってくれ、、、』
と呆れて明日香は項垂れてしまう。
その後、寝室に戻った明日香は下半身丸出しの状態でベッドの隅に腰掛けさせられた。
その上、最後の一枚であったベビードールも蓮香に剥ぎ取られて真っ裸になってしまう。
「うぅ、、、こんなの酷いよ、、、」
と股間と何故か胸の辺りも隠す明日香。
そんな明日香の様子を少し離れた位置から見て、蓮香と桜は顔を紅潮させた。
「ほんと明日香さんって男とか女とかの枠を超えちゃってるよ~」
とウットリしながら桜は呟いた。
一方蓮香は、
「本当ですわ、、、綺麗すぎて性別なんてもうどうでも良い感じです、、、」
などと言う始末。
「あの~すみませんが、、、早く服を着せてもらえませんか?」
とモジモジしながら明日香は何故か敬語で要求する。
我に返った2人は申し訳なさそうに慌てて服を手に取ると、明日香の傍に駆け寄った。
そこからはどっちがショーツを穿かせるか、どっちがブラジャーを着けさせるか揉めた事は言うまでも無いだろう、、、。
そうして明日香が拉致られた直後の恰好に戻った時には、既に30分以上は過ぎてしまっていた。
時刻はAM4時。
自宅マンションに帰れば陽もすっかり昇ってしまっている事だろう。
自宅に戻れば戻ったで、またドタバタしそうで嬉しいやら悲しいやら。
そんな複雑な気分であっても、明日香はこの2人が助けに来てくれた事がとても嬉しかった。
『帰ったら2人に何かご褒美をあげないとね、、』