介護か羞恥プレイか、、、
明日香は一人取り残された部屋で途方に暮れていた。
こんな恥ずかしい恰好をさせられた挙句に、ベットに拘束されて殆ど動けない状態なのだ。
しかも薬を盛られたらしく、身体が気怠くて余り力が入らない。
その時、千条百合絵が明日香のいる寝室に入って来た。
どうやら一人のようだ。
千条は笑顔で明日香に近づくと、
「何か困った事は無いかしら?」
「お腹とか空いていない?」
「喉は乾いていない?」
と心配するように訊いて来た。
明日香は差し当たって自由にして欲しいと思ったが、そんな事が許される訳でもなさそうなので言わなかった。
すると千条が、
「トイレは大丈夫かな?」
そう言われれば、少し行きたいかも、、、と思い明日香は頷いた。
千条はポケットから警察官が使用するような手錠をとりだす。
そして明日香の両腕を拘束するようにはめた。
それからベッドに明日香を拘束していた鎖付きの手枷を外すと、
「では、トイレまで案内するわ」
「ちゃんと立てるかな?」
少しふらつくが立てない程では無かった。
ベッドの隅まで明日香はお尻を這わす様に進み、床に足を下ろした。
立ち上がると、心配してくれたのか千条が明日香の背に優しく手を添えてくれる。
こんな綺麗な女性の前で、黒いショーツ1枚にスケスケの黒いベビードール1枚しか着ていない自分がとても恥ずかしくなった。
ある意味、裸より恥ずかしい恰好である。
そんな事を思い促されるようにトボトボ歩き出すと、千条が感心したように明日香へ言った。
「神宮司さんは、、、本当に男の子なのかしら?」
「もの凄く華奢だし、色も白くて女の私が羨ましいくらいなのだけど、、、」
この女性は面白い事を言うな、、、と明日香は思った。
お尻まで隠れるベビードールとは言えスケスケなのだ。
下のショーツは丸見えに等しく、しかも男性の膨らみも丸見えなのである。
「私が寝ている間にこの恰好にしたのは誰ですか?」
と明日香は訊いてみた。
千条は少し照れた様子で答える。
「あ、、、私です、、、」
「それでも未だに信じ難くて、、、」
明日香が溜息を洩らした時にトイレの前に着いた。
扉を開けて中に入ると、流石スイートらしくかなりの広さがある。
トイレなのに無駄に6畳くらいは有りそうだ。
奥に洋式の便座が有り、少し離れて隣にホテルには珍しく小便器が設置されている。
左には洗面台程の大きさがある手洗い器、右の壁には姿見が有った。
千条は「小の方ですよね?」と訊いて来た。
なので明日香は素直に頷くと、千条に背中を優しく押されて小便器の前に立たされる。
そして千条はおもむろに躊躇なく明日香のショーツをずりおろした。
「ぬわっ!」と変な声が出る明日香。
「申し訳ありませんが、ベッドに拘束している時以外は常に傍で監視するように指示を受けています」
「どうぞ、、、」と言い放つ千条。
『で、出来るかぁ~!!』
と明日香は心の中で叫んでしまった。
まさに顔から火が出そうとは、この事である。
しかし千条は一歩も譲る気はないらしい。
そのままの状態でピクリとも動かない。
仕方ないので諦めてそのまま用を足す事にする明日香。
恥ずかしさと緊張の余りか、なかなか出ない、、、。
そして明日香は思い立った。
『そうだ入院をしていて、尿瓶で用を足すのを看護師さんに手伝って貰ったと思えばいいんだ!』
「、、、、、」
『そんな訳有るか!!』
と内心で自分に乗り突っ込みしてしまう。
だが済まさない事には結果的に漏らしてしまう羽目になる。
それでは余計に恥ずかしい事になるので、仕方なしに羞恥心と戦いながら用を足すに至る。
その後、何事も無かったように明日香はベッドに拘束されるのだが、何か大事な物を失った気がして、枕に顔を埋めて泣きそうになった。
千条は特に気にした風もなく、明日香を監視するようにベッドの傍にある椅子に腰かける。
慣れた感のある千条に明日香は違和感を感じた。
「千条さん、、、私のような”待遇”にあった人って他に居たりするのかな?」
と、つい訊いてしまった。
小さく溜息をつくと千条は答えてくれた。
「雅さんがあんな方ですから、、、」
「もう何人も神宮司さんのような犠牲者は出てますよ」
明日香は呆れを通り越して唖然としてしまった。
「え、、、、」
「その人達って、、、今は?」
苦笑して千条は明日香を見つめた。
「雅さんに飽きられてしまい、放り出されましたよ、、、」
「大体、2,3週間から一月と言ったところかしら、飽きるまでね」
明日香は頭を抱えた。
雅がそんな事をして今まで警察沙汰になっていないのは、恐らく父親の権力と金の力に物を言わせたのだろう。
明日香としては、そこまで耐えれる自信が無かった。
それに雅には目的が有るようだし、”時間が過ぎて飽きて解放される”と言う単純な物では無いような気がした。
何とか雅を説得して身の自由だけは確保したい。
そう明日香が考えていた時、部屋の外で何か大きな音がする。
そして警戒したように千条が立ち上がった。




