応援部隊と山岸蛍
蓮香が実家に連絡をして応援を待つこと40分。
思ったより時間がかかって蓮香は焦ってしまった。
待っている間、警察に連絡する事も考えたが、事が大きくなって明日香に危険が及ぶことになりそうでそれは断念する。
実家には、「親友が事件に巻き込まれて助け出したいので人員が欲しい」、、、と連絡した蓮香。
するとワンボックスカー3車両に、人員12人の応援が駆けつけてくれた。
応援の人員を率いて来たのは蓮香の良く知っている人物だった。
幼少から蓮香の教育担当をしていた人物で、山岸 蛍と言う女性である。
年齢は38歳で歳の割には非常に若く見え、20代半ばでも通るほどの麗人だ。
そして長いであろう髪を行動しやすいように編み込んでいるのが印象的で、恰好もタイトなジーンズに革のジャケットを上に着こんでいる。
他の11人は皆男性で、中々に屈強そうな人たちばかりだった。
その中の一人が蓮香に笑顔を向けた。
「お嬢、お久しぶりです」
「大学入学以来ですね」
蓮香も笑顔で答える。
「お久しぶりです」
「皆さんよく来てくれました」
「急な招集でごめんなさいね、、、」
山岸が蓮香の傍まで来て、頭にそっと手を置いて優しくなでた。
「可愛い教え子のお願いは断れませんよ」
「それに蓮香さんの大事なご友人を助けたいのでしょう?」
真剣な表情で蓮香は頷いた。
「はい、、、私にとって一番大切な人です」
それを聞いた山岸は少し楽しそうな表情をした。
「へぇ~、、、それは恋人なのかな?」
「ご両親には報告しませんから、教えてくれるかしら?」
すると蓮香は恥ずかしそうに俯く。
「そ、そうなれたら良いなとは、、、思っています」
「でも状況は悪くはないかと、、、」
「お姉様も色々と拒否はせず受け入れてくれてますから」
山岸は驚いた様子で「ひゅ~」と口を鳴らした。
他の11人男性陣も「おおぉ、、、」と驚いた様子でそろって声を漏らす。
その時、蓮香の背後で桜がおずおずと喋り出した。
「あの~、、、急いだ方がいいんじゃ、、、」
蓮香も慌てた様子で我に返る。
「そ、そうでした!」
山岸は他のメンバーに車に乗るよう合図を送ると、桜に片手を差し出した。
「私は以前、蓮香さんの教育係をしていた山岸蛍と言います」
「お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
桜は差し出された手を取り握手をする。
「私は蓮香ちゃんと同じ大学に通う、新見桜と言います」
「立場的には蓮香ちゃんと同じ感じです」
蓮香はいそいそと一番前の車の助手席に乗り込む。
その後に続いて乗るように桜は山岸に促される。
桜は後部座席に乗り込み、その隣に山岸も続いて乗り込んだ。
そして桜の先程の言葉が気になったのか、山岸はニヤニヤしながら桜に問うた。
「さっきの話なのだけど、、、蓮香さんと同じ立場って、、、?」
ニッコリ笑みを浮かべて山岸を見やる桜。
「はい、今から助けに行く明日香さんを私も愛してます」
その瞬間、車内で「おおおぉ~」と蓮香と桜以外の声が響いた。
少し困った様子で山岸が桜に問う。
「え~と、、、それって、1人の女性を2人の女の子が取り合うって事よね?」
「大丈夫なのかな?」
「助け出した後に修羅場になったりしない?」
桜と山岸が後部座席でワイワイしている間に、蓮香はスマホのGPSアプリを起動して車のナビに行先を入力指定する。
そして蓮香は真剣な表情で運転手に指示を出した。
「このナビに従ってお願いします」
運転手の男性は頷くと早々に車を発進させ、マンションを後にする。
更に残りの車も蓮香たちが乗る車に続いて後を追った。
蓮香たちの乗る車の後部座席では、まだ山岸と桜が盛り上がっていた。
「蓮香ちゃんと私は共同体なんです」
と言い放つ桜。
首を傾げる山岸。
「共同体?」
桜は真剣な表情で話を続けた。
「はい、明日香さんが好き過ぎて2人でファンクラブも作りました」
「これは他の人間に明日香さんを取られない様にする為なんです」
「それから二人で話し合って、明日香さんを二人のモノにしちゃおうって決めたんです」
余りの内容に山岸は唖然としてしまう。
「ええぇ、、、それって本人の了承はどうなってるのかしら?」
「確かにそれが一番のネックになりますね、、、」
と前の座席から静かな蓮香の声が聞こえた。
すると桜は少し怒った様子で言い放った。
「私は明日香さんに、どちらかを選んで欲しいわけじゃ無いんです」
「私は、蓮香ちゃんも大好きだから、これからも3人で仲良く一緒に居たいんです」
山岸は頭を抱えた。
『3人の関係がこのまま上手く続けばいいけど、、、』
『一旦こじれたら大変な事になるわよ、、、、』
そして山岸は根本的な将来の事を2人に訊いてみた。
「将来的には、どうするのかな?」
「一応同性の結婚は可能ではあるけど、、、重婚は不可能だから、、、」
蓮香が後部座席に振り返ると、
「一般的な枠組みに捕らわれるのは私的には嫌なのですけど、、、」
「でもそうすべきなら、結婚プラス養子縁組も有りかと」
「だね~」と相槌を打つ桜。
再度、山岸は呆気に取られてしまった。
『事が上手く進んだ後、、、ご両親に何と説明してらよいか、、、』
と頭を抱えるばかりで有った。




