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黒幕はあどけない少女?

高級ホテルらしき建物の最上階まで連れて来られる明日香。

そしてそのフロアーの一番奥の部屋へ行くように、スーツ姿の女性に優しく背中を押される。



扉の前まで到着すると、背後にいたスーツ姿の女性が手を伸ばし扉をノックした。

「神宮司 明日香様をお連れしました」



すると直ぐに扉が開く。

中に通されると、もう一人スーツ姿の女性が立っていた。


明日香を連れて来た女性とは違い、随分と柔らかそうな雰囲気でその恰好には違和感が少しあった。

長い黒髪を緩くサイドに纏めたその雰囲気は、まるで保健室の養護教諭のように優し気だ。


その女性はこんな状況にも関わらず、自身の名と役割を告げた。

千条(せんじょう) 百合絵(ゆりえ)と言います」

「貴女のお世話をする事となると思われますので、お見知りおきを」



普通、拉致って来た相手に対して名前を名乗るような事はしない。

私が何かの切っ掛けで逃げ出す事が出来れば、その名前から足がつく可能性があるからだ。

であるなら偽名なのだろう、、、と明日香は思った。


それに”お世話”とはどういう事か?

まさか長期にわたって監禁するつもりなのか?!



嫌な思いばかりが明日香の脳裏を駆け巡る。

そして桜と蓮香が心配するだろうな、、、と場違いな事を考えてしまう。



明日香を連れて来たショートヘアーの女性は扉を閉めて去ってしまった。

恐らくこの優し気な女性、、、千条百合絵が担当に変わったからだろう。



明日香は千条に腰に手を回されて、部屋の奥へ連れて行かれる。

どうやらここはスイートのようだ。

パーラールームに着くまでの間にバスルームとトイレが個別に2つずつ有るように見えた。



パーラールームに着くと、ゆったりとした高級そうな1人がけのソファーに1人の女の子が座っていた。

それは明日香の見知った顔で、驚愕より唖然としてしまった。



そう彼女は同じ大学に通う、崇城 雅だったのだ。



雅は特に悪びれた様子もなく明日香に笑顔を向けた。

「待ってたわよ、神宮司さん」

「取り合えず座って頂戴」



明日香は千条に促されるまま、雅の正面にある2人掛けのソファーに座らされた。

千条はと言うと、明日香の直ぐ後ろに立ったままだ。

明日香が変な気を起こさぬ様に、背後から牽制しているのだろう。



正面にあるテーブルに用意されたグラス2個と水差しを手に取る雅。

片方に水を注ぐと、それを明日香に差し出す。

「喉が渇いたでしょ?」

「それでも飲んで少し落ち着いて」



確かに1時間以上車に揺られ、眠りこけていたせいか割と喉が渇いていた。

遠慮せず水の入ったグラスを受け取り、明日香はユックリと飲み干した。

手錠をかけられている為か、片手を動かそうと思えば片方も動かさないといけないので非常に不便だ。



空になったグラスをテーブルに置く明日香は、雅を見据えて問うた。

「私を拉致紛いに連れ出して、どうしようというのかしら?」



ニヤリと笑む雅は、

「私の要求は1つよ」

「貴女を私の物にしたいだけ」

と言い放った。



少し呆れた様子で明日香は答えた。

「私に何のメリットも無い」

「しかもこんな自分勝手で誠意の無い要求なんて、受け入れられる訳が無いでしょう」



雅は脚を組んで、踏ん反り返るようにソファーの背へ身を預けた。

「それはどうかしらねぇ」

「私しか貴女を解放する者が居なければ、いつかは私の言う事を聞いてくれるんじゃないかしら?」



言う事を聞かなければ監禁し続けるぞ、と雅は闇に言っているのた。

とても正気の沙汰とは思えない。

それに何故ここまで雅は明日香に拘るのか?



「何故そこまでして私に執着するの?」

と明日香は出来るだけ嫌悪感を出さずに雅へ訊いた。



雅は傍に置いてあるポーチからタバコを取り出すと、一本咥えて高級そうなライターで火をつけた。


『この娘、タバコ吸うのかよ!』

『だから小ちゃいんじゃないのか、、、?』

と明日香は驚くが堪えて口にも表情にも出さないよう努める。


だが、何となく雅に伝わってしまったようだ。



慣れた仕草で雅はタバコを吹かすと、「フッ」と小さく笑った。

「どうせ、こんななりでタバコを吸ってるのが滑稽に見えたんでしょう?」

「これでも私は今年で20歳よ」

「他人に咎められる理由なんて何も無いわ」



更に驚いてしまう明日香。

『え?! 私と同い年?』

『しかも今年でって、、、凄い曖昧、、、』



そして自嘲するように雅は語り出した。

「まぁ初めて吸ったのは中学生の時だけれど、、、」

「色んなストレスが切っ掛けでね」



『だからそんなに背が小さいのでは?』

と突っ込みそうになる。

だがそれよりも明日香は意外に思った事を口にした。

「見た目は綺麗にしているし、美容に気を使っているように思えたのに、、、」

「タバコなんて吸ったら台無しになってしまうよ」



雅はイラッとしたのだろう、吸っていたタバコを荒々しく灰皿で消す。

「そんな事分かっているわ」

「でも貴女には分からないでしょう?」

「大物政治家の娘が抱えるストレスを!」



その時、明日香はめまいを感じて目を開けて居られなくなった。

「?!」



そして明日香はそのままソファーに崩れるように横になってしまう。


「味見をするのに暴れられても困るから」

「ごめんなさいね」

と雅の声が聞こえた。


それと同じくして明日香の意識は微睡みに埋もれた。



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