表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/134

急変、そして失踪

明日香はマンションから徒歩10分程の所にあるドラッグストアーに向かった。

明日香が愛用している化粧水が無くなってしまったからだ。



最近は何だかバタバタしていて、自分の身の回りを振り返る余裕が無かったように思えた。

余裕が無いと人間は色々と失敗してしまうので気を付けなければならない。

物理的にもだが、やはり精神的な面で。



この辺りは住宅街なので、それほど道幅も広く無く車通りも基本的に少ない。

夜の8時を回ると殆ど人通りが無くなってしまう。


しかし家々の明かりが見えるので、夜道を一人で歩いていてもそれ程寂しさも恐怖も感じない。

人が生活している息吹と言うのは重要で、そう感じさせる事が治安へとつながる。



明日香はそう思っていた、、、。

先程までは。



あと5分も歩けば国道沿いにあるドラッグストアーに着くか、と言うところで明日香はトラブルに見舞われた。

突如、横道から現れたスーツ姿の男性4人に取り囲まれて、背中に刃物を突き付けられたのだ。


正面に立つ男はスタンガンを手にして明日香に流れる電流を見せた。

「騒げば傷をつける事になる」

「静かに我々について来てもらおうか」



明日香は特に護身術などを体得している訳でも無い。

その上、女子のように非力だ。

身の安全を考慮すれば、下手に抵抗しない方が得策なのは明白だった。



無言で頷く明日香。



すると背後に居た男が明日香に目隠しの布を巻く。

そして手錠だろうか、、、何か両手を拘束する物をはめられた。



そのまま明日香は男達に抱えられて、脇道に止めてあったワンボックスカーに乗せられてしまう。

後部座席に座らされたようで、両脇をガッチリ屈強な男性に固められたようだった。


『うん?』

右隣からフローラルで清潔感が漂う香りがしてきた。



明日香が訝しんいると、右隣から女性の声がした。

「抵抗せずご同行していただける事に感謝します」

「手荒な事は致しませんので、そのまま静かに居てください」



思ったより丁寧な対応だ。

何か犯罪に巻き込まれたと言うより、何者かに拉致られたと言うべきか。

問題は私を拉致る用がある者に心当たりがないことだ。


どうしても気になって呟くように明日香は問うた。

「私は誰かに憎まれているのかしら?」

「それとも私に用があるという事なのかな?」



少し間が有り、そして女性の声が返って来た。

「後者です」

「直接お会いになって、ご自身でお確かめください」



これ以上の問答は意味が無さそうと思い、明日香は諦めて瞳を閉じた。

我ながら肝が据わっていると思うが、そのまま寝てしまう事にした。

どの程度で目的地に着くのか分からないし、焦ったところで解決しないのだから。


車の中でうつらうつらと船を漕いでいたようで、明日香は前に倒れそうになった。

慌てた左側の男性に支えられて怪我は免れた明日香。



右側の女性が小さく笑うと、

「話に聞く通り随分肝が据わってらっしゃいますね、、、」


そして明日香を誘うように女性の手が明日香の背に回された。

「私の膝をお貸ししますので、そのまま寝て戴いて結構ですよ」


明日香はお言葉に甘えて、そうさせてもらう事にした。

車の丁度良い揺れ具合と、最近の慣れていない賑やかさで疲れていたのか、明日香は直ぐに微睡に落ちてしまった。







ポンポンと優しく背中を叩かれる明日香。

「到着しました、、、車を降りていただきます」

と女性の声がした。



ゆっくりと膝枕から身を起こす明日香。

1時間以上は寝ていたように思う。

その間ずっと明日香を膝枕していたのだから、左側にいた女性の脚が痺れていないか心配になった。


そんな心配より自分の心配だよな、、、と苦笑する。



車から降りると、明日香はお姫様抱っこをされてしまう。

乗せられるときは結構乱雑に抱えられたように思ったが、、、なんだか扱いが変わった気がした。



そして建物の中に入った所で降ろされて明日香は目隠しも外された。

しかし相変わらず手錠はつけられたままだ。



横には膝枕をしてくれた女性であろうスーツ姿の人物が立っていた。

ショートヘアで如何にも仕事が出来そうな様相で、年の頃は30前といったところか。

明日香はその女性に背中を押され前へ歩くように促される。



歩きながら周りを見渡すと、どこか高級なホテルのような内装に見えた。

そのままエレベーターホールまで歩かされ、エレベーターに乗せられる。

スーツの女性は明日香の背中に手を添えたまま微動だにしない。



明日香が”女性と思われている”ので、付きそう人間を女性にしたのだろう。

そう思うと色々申し訳なくなって、不味い事になりそうで心配になる明日香。

もし自分が男だとバレたらどうなるのだろうか、、、と考えたからだ。


今までの経験上、明日香は男性に対して物凄くモテる。

そういった関連の事で拉致られたなら非常に不味い。

女と思って連れて来たのが、男でした、、、だったでは目も当てられないからだ。



そうして色々考えている内にエレベーターは止まり扉が開く。



この高級ホテルらしい場所をまるまる貸し切っている、または持ち主であろう人物にこれから会うのだ。

恐らくかなりの権力を持つ人物だろう。

その為か、皮膚が粟立つ感覚が明日香を覆った。



どちらにしろここで怯んでも仕方ない。

明日香はスーツの女性に優しく背中を押されて、前へ歩き出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ