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蓮香と桜の明日香包囲網

明日香は自宅の右隣にある、蓮香の部屋の前に来ていた。



扉を開けて玄関を抜ける。

明日香と同じ部屋の間取りになっているので、特に目新しい事はない。

だが蓮香のセンスらしいシックな様相で、壁紙が白からグレーに変えられている。


何となく蓮香らしいなと明日香は思ってしまった。



如何にもハイブランドな家具が並んでおり、そのどれもが機能性重視のシンプルな物だ。

リビングは黒のソファーが設置されており、全体的なイメージも相まって男性の部屋ぽく見える。

更に言えば機能美を重視している為か、お洒落な社長室のようだ。



そして蓮香が頼んでもいないのに嬉しそうな顔で寝室を見せてくれた。

人の事を言えないが、、、蓮香、一人で寝る気ないだろ、、、。

そうベットのサイズはクイーンサイズだった。



蓮香は明日香に笑顔を向ける。

「いつでも泊まりに来て頂いても大丈夫です」

「ちゃんとお世話いたしますから!」

これは泊まり来いと言っているのだろう。



明日香は優しく蓮香の頭を撫でる。

「うん、近いうちにお泊りにいくから」

と蓮香の機嫌を損なわない様におべっかしておく。



桜は言うと服を脱ぎだした。

少し驚いた明日香は桜に訊く。

「え? 桜、、、何してるの?」



キョトンとした顔で明日香を見る桜。

「ほぇ? シャワー借りようかと思って」


そ、そうですか、、、。

なんと言うか家主に許可なく勝手にお風呂を使うとは、、、流石自由人。



蓮香はそんな桜に気にした風も無く、寝室の隣にある部屋に明日香を案内する。

「こちらは明日香お姉様が利用できるように、IT機器であるパソコンなどを用意してあります」

「WorldTubeでのライブ配信もこちらで可能ですよ!」



明日香が部屋の中を見渡すと、色々置いてあるのに気付いた。

ちゃんと仮眠用のベッドも置いてある。

そして衣装をかけておく用の大きなハンガーラックも有った。

パソコンもかなり高性能で、最新型のゲーミングPCだった。



几帳面そうな蓮香の事だ、私の家に来た時に詳しく調べたのだろう。

そして一番気になったのは、仮眠用のベッドの隣に棚があり、そこにアロマオイルらしきものが並んで置かれていた事だ。


明日香が何を見ていたのか気付いたのだろう蓮香が、何も言わずにニッコリ微笑んだ。

これは、泊まりに来た時にアロママッサージは覚悟しておくべきか、、、。

そう思い明日香は項垂れそうになった。



蓮香は再び明日香の手を引くと、リビングまで連れて行く。

「今お茶を淹れますので、少々お待ちを」


帰るタイミングを逃した明日香は、仕方なくフソファーに腰を下ろした。

「う、うん、、、」



手慣れた様子でお茶を用意する蓮香。

そして出されたのは紅茶のようだが、凄くフルーティーな香りがした。


「カモミールティーです」

「リラックス効果があって、ノンカフェインですので就寝前などにもおすすめですよ」

と蓮香が説明してくれた。



飲んでみると、ほんの少しだけ苦みと渋みが感じられた。

好みも有るかもしれないが香りとのバランスが良く、明日香にとっては苦にはならなかった。

その香りの方も、甘酸っぱいフルーティーな物だ。

明日香は、女の子が好きそうなお茶だな思ってしまう。



アロママッサージもそうだが、蓮香はこういったリラックス効果のある物に詳しいようだ。



そして何気なくお茶と一緒に出された物に気付く明日香。

鍵だ。

それもこのマンションの部屋の鍵である。



「え~と、、、これは何故ここに出されたのかな?」

と明日香は蓮香にぎこちなく訊く。



すると蓮香はカモミールティーを一口飲み、然も当然と言わんばかりに答えた。

「勿論、それは明日香お姉様に渡すこの部屋の合い鍵です」

「ご自由に出入りして下さって構いませんよ」



当然の様に言われて、ここで拒否してしまえば蓮香はきっとガッカリするだろう。

それに合い鍵を渡されて嫌と言う訳でもない。

何と言うか、、、彼氏に合い鍵を渡された女子になったような錯覚に囚われる。


そこで明日香は、今の自分の気持ちに自嘲してしまう。

『これじゃ私がまるで蓮香の彼女になったみたいじゃないか、、、』

『このままじゃアドバンテージを取られかねない』



そう思っていると蓮香がジッと明日香を見つめている事に気付く。

何かを待っているような様子だ。


そして業を煮やしたのか蓮香が喋り出す。

「お姉様の合い鍵は、いただけないのでしょうか?」


「え?!」

『渡したのだから、私のも渡せと言う事?!』

と少し驚く明日香。



すると更に蓮香は押して来た。

「私は明日香お姉様のお世話がしたいのです」

「部屋の掃除や、お洗濯、料理もそれなりに仕込まれていますので自信があります」

「いただけませんか?」



少し上目遣いで言われたものだから、明日香からしたら可愛くて仕方ない。

その上慕ってくれる可愛い娘がお願いしてきたのだ、流石の明日香も嫌とは言えなかった。

「うん、、、わかったよ、、、」



明日香は財布にいれてあった合い鍵を蓮香に差し出した。

いつもは鍵を使わずスマホで扉の開け閉めをしているのだ。

このマンション自体IT管理されていて、事前に自身のスマホへ部屋のIDを登録しておけば、アプリにより扉の開け閉めが可能なのだ。


合い鍵はスマホが使えなくなった時の予備的な感じで持っているだけで、今まで予備として使用した事態は一度も無かった。



蓮香は物凄く嬉しそうな顔で明日香から鍵を受け取る。

「有難うございます!」

「頑張ってお姉様のお世話をさせていただきますね!」



明日香は愛想笑いが出てしまう。

「そ、そう、、、」

「まぁ、でもそんなに肩肘張らなくても良いからね」

「程ほどにお願いね、、、」



自分のプライベートが侵食される事に項垂れる明日香。

それと同時に女装している事がバレる恐怖に心が支配された。


他人に怯えるなんて自分らしく無い、、、。

これも他人を好きになってしまう副作用という物なのだろうか。


そう自問自答していると、嬉しそうに明日香の合い鍵を見つめる蓮香が目に映った。

そんな彼女の喜ぶ様子を見ていると、自分の悩みなど小さい物なのかもしれないと思ってしまう。



バレたらバレた時だと、、、明日香は今更ながらに腹を括った。



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